児童虐待を防止 2010年8月8日
児童虐待を徹底的に防止することについて、予算を使って効果を上げるためには、どんな具体策が考えられるのか、また予算の増額に頼らなくてもできる施策はあるのかという提案がされています。
児童虐待を徹底的に防止することについて考えます。
私は、虐待が起きる仕組みそのものを改善するという提案に、全面的に賛成します。
1.児童相談所だけでは対応できないことを認識するべき
日本では、児童相談所は195ヶ所、児童福祉士は2146人です。 日本の小中学生数千万人から発生する問題に、児童相談所が一手で対応しているのが現状です。 そのために、以下のような大きな問題が存在します。
・実際に近隣住民が虐待を通報しても、初動体制が不十分である。
・児童虐待以外に、養子縁組等の問題も処理しなければならない。
・警察のような強制捜査力がなく、対応に限界がある。
これに対し、米国では警察、児童相談所、病院、裁判所、NGO等が、総合的に対応しています。 それらの職員には、大学院出身の専門家も多数います。 職員数でも米国は子ども2500人に1人に対し、日本は1万数千人に1人です。
私は、児童相談所への通報もさることながら、児童相談所自体の処理能力を増加させることが、愁眉の急であると思います。
また、民事・刑事警察力以外に保護警察力を新設し導入すべきであると思います。 米国の警察官は、目の前の危険な状態を解消することが仕事であるため、逮捕につながります。
警察力を持った児童相談所というのが効果的な姿ですが、それらの整備と拡充の予算として、特殊法人等の無駄な事業見直しから生じた余剰を充当するべきです。
2.日本の風土と国民意識の変化を認識するべき
以前の日本には、3世代同居にみるように、老人が子どもの養育を介助しまた子どもは老人を敬うという、家庭内での道徳教育を育む環境が長く存在しました。
さらには、町内会のように、地域コミュニティとしての青少年の監督・育成効果も期待される環境がありました。
しかし、家族間の関係も大きく変化し、近隣住民との関係も希薄化して、住民も異常に気付いても関わりを避けるような傾向が強くなっているのが現状です。
そのような変化の中において、ボランティアの町内会長や民生委員に、以前と同じように大きな期待と責任を押し付けることは、今や行政と国民全体の責任のがれです。
私は、日本にも、子どもの危険を排除することと、親が子どもを育てることができない場合は、社会全体で育てることというアメリカの虐待防止対策の方針を参考にして学ぶときが来ていると思います。
米国では、幼児放置は、自宅であろうと自動車であろうと何処であろうと保護者がいない場合は幼児虐待の重罪で逮捕されます。 発見者に通報される習慣もあります。
まず、上記の警察力を持った児童相談所創設と同時に、近隣住民としての国民がこの意識を学習し習得するべきです。
また米国では、虐待の疑いの無記名連絡を24時間受け付ける体制が整備され、その疑いがあるのに通報しないと罰せられます。 学校の先生等38業種の人は1500ドル以下の罰金または禁固刑という厳しいものです。
これも、教育関係者を中心に、体制を整備するべき内容です。
さらに米国では、事前予防の観点から、産婦人科病院で行われている育児教室、家庭環境等から医師が判断し、育児教育を勧めています。
日本でも、子ども110番の家と同様に、地域コミュニティ毎に病院等を中心とした子育て世代の緊急避難的相談所を整備するべきです。