いまさら非常の覚悟で?

 

いまさら非常の覚悟で?    2019年7月14日


 韓国の文在寅大統領は7月10日、国内の主要30企業や経済団体のトップらを大統領府に集め、「政府は日本の不当な輸出制限の撤回と対応策の準備に非常の覚悟で臨んでいる」と述べ、政府として最大限支援する姿勢を強調した。
 文氏は「外交的解決のために最善を尽くしている」とし、「日本政府も回答してくれることを望む」と日本側に規制強化に関する協議に応じるよう求めた。


 1.日本は大日本帝国の時代に、戦艦大和・零式戦闘機という船舶・航空機製造技術で世界を制覇したが、一方でそれを運用するための燃料確保という大きな戦略課題があった。

 そのため東南アジア諸国を制圧することによりその確保をもくろんだのであるが、その戦略は当該諸国の欧米植民地政策からの解放という面と、欧米諸国との利害対立という両面を持つものであり、とりわけ最大の燃料輸入国であるアメリカ合衆国との対立は避けがたいものとなった。

 そこで、日本はマレー半島とハワイの奇襲攻撃で優位に立ち、講和に持ち込む短期決戦の戦略を描いたがそのようには進まず、欧州勢を駆逐するも物量優勢のアメリカの前に、4年後の大敗北を迎えたというのが近代史の教えるところである。


 2.比較優位(comparative advantage)とは、経済学者であったデヴィッド・リカードが提唱した概念で、自由貿易において各経済主体が自身の最も優位な分野(より機会費用の少ない、自身の利益・収益性を最大化できる財の生産)に特化・集中することで、それぞれの労働生産性が増大され、互いにより高品質の財やサービスと高い利益・収益を享受・獲得できるようになるという概念である。

 この概念は、まさに2000年以降の韓国の半導体産業に符合するのであり、安価な労働力と日本からの政策的技術移転により価格競争力をつけた結果、1980年代に40%のシェアを有した日本が現在では10%に低落し、逆に日本以外のアジア諸国は60%になっている。


 このように、歴史と経済論を少しでも学習すれば、行うべき政策は判断できるのであるが、第二次大戦当時日本の植民地政策下にあった韓国はそのような経緯を知らず、また後々経済論ともども学習して手本とすることもできなかった。

 歴史から学ぶべきは、常に講和を前提に考え、不利な条件のもとに戦いを挑んではならないということ、比較優位から学ぶべきは、優位にある条件を変えることにより得るものと失うものを較量しなければならないということである。

 科学的に見て、韓国が行うべき政策は、

 ・韓国経済の屋台骨である半導体産業を高シェア維持するべく、日本からの輸入化学部材の安定調達に努めること。

 ・比較優位のもとに得られる利潤と、戦後処理の残骸に要する費用とを較量し、どうすることが得策か判断すること。

 ・その判断のもとに反日無罪勢力を弾圧し、国内統治を行うこと。

である。

 日清戦争で日本が清国に勝たなければ、韓国は中国の属領であった。 日露戦争で日本がロシアに勝たなければ、韓国はロシアの入植地であった。 近年に独立戦争ともなれば、犠牲者数は朝鮮戦争の比ではなかったであろうことは、実証はないもののチベット、チェチェンの現状を見れば容易に想像できる。

 入植者が中国でもロシアでもなく日本であった故に現代に独立し得たのであり、戦後補償も十全に整備し、復興援助により本家を凌駕するまでに技術移転した。 その代表例が、半導体・液晶(シャープ、三洋電機)・自動車(三菱、マツダ、日産)・鉄鋼(新日鉄)生産である。 

 そして、日本は韓国に累計6000億円、中国に6兆円の借款・ODAを行い、現地の産業インフラの整備も居ながらにして達成することができたのである。 アセアン首脳が、『日本の近所にいれば誰でも韓国程度にはなれる』と言う所以である。

 文在寅もタイランドへ逃亡する準備をしつつ、己が行状の悔悟に暮れていれば少しは知恵もつこうが、すでに時遅しである。

 ・従軍慰安婦問題に関する2015年の日韓合意に基づいて韓国で設立され、元慰安婦らへの現金支給事業を担った「和解・癒やし財団」が解散した。

 ・大法院が高裁判決を覆し「請求権は残っている」との徴用工判決に対し、韓国政府として積極的に解決に乗り出す意思は示していない。

 ・規制対象のフッ化水素が北朝鮮に流出したのではないかについて「いかなる根拠もなく、対北制裁と結び付けた発言をするのは両国の友好と安全保障上の協力関係に決して望ましくない」と指摘した。 自衛隊哨戒機に火器管制レーダーを照射した件と同様、「脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威である」というように科学的反証がない。

 ・文大統領は日本の制裁が始まった7月4日、該当事案を国家安全保障会議(NSC)の正式案件に上げ、青瓦台関係者は「政策だけでなく、汎政府、政界、民間まで国家の総力を注ぐべきだという意味に受け止めた。」

 ・日韓双方で誤解に誤解が上乗せされ、韓国国民は日本製品の不買運動すら 展開し始めている。

 ・韓国・京畿道の教育庁は道内にある2300校以上の小・中・高校に対し、「学校生活の中の日帝残滓発掘調査」を実施し、「修学旅行」や「ファイティング」「訓話」といった日本由来の言葉を「清算」対象として位置づけた。

 ・文大統領は15日、大統領府で会議を開き、「半世紀にわたって積み重ねてきた韓日経済協力の枠組みを破壊するものだ」と述べ、即時に撤回すべきだとの考えを改めて示し、「最終的に、日本経済により大きな被害を与えるものだ」と強調した。

 ・韓国は国連安全保障理事会の決議を順守していると説明、「重大な挑発だ」と不快感を示した。

という事実のもとに、トランプ大統領の腹では、このまま韓国の経済を破綻させて南北の格差をなくし、そのまま北主導の統一を狙っているのかもしれないという真偽定かではない情報も錯綜しているが、そこまで一足飛びはないであろう。

 確実なことは、日本政府は77年前のアメリカと同様、もはや講和のできない経済封鎖執行体制にあり、「不適切事案も複数発生していた」と明言する事象が存在する。

 そのため韓国は、規制対象のフッ化水素が北朝鮮に流出したのではないかという疑惑について、口先でさえずるのではなく、日本からの輸入量と生産消費量に基づく在庫量の適正性を実地棚卸を行って証明しなければならず、経済論の暗愚な韓国にとってはこれまた難行苦行であるほかない。

 10月の徴用工判決以来、三権分立だの未来志向だのと好都合の御託を並べ立て、日本大使館前に並ぶ怪奇な銅像は放置し、日本からの再三の協議要請にも素知らぬ顔を決め込んだ分際が、ここに来て積み重ねた枠組み破壊や日本経済の心配をしてくれるとは、いかな宗旨替えかと笑いたくなるが、大した余裕であるものと感服もする。


 過去の熱い戦争ではないが、日本は

・科学力、軍事力で凌駕し続ける
・韓国との経済関係を太くし、産業のキーを抑え、利潤を吸い上げる
・遡及行為には「目には目を」の対応 
・文喜相のような、無能者への集中攻撃と排除活動
・文在寅への弾劾、罷免キャンペーン

のような半平和的手法により、親日政府を樹立し、再度韓国民を教化する時が来たということである。