前原ガンバレ!

 

前原ガンバレ!    2010年11月3日


 日中首脳会談の状態を踏まえ、日本の国家としての威厳と尊厳について考えます。


 ベトナムを訪問中の菅首相と中国・温家宝首相との首脳会談が急遽、中止された。 中止の理由について、中国側は日中外相会談のメディアの報道ぶりを挙げた。 日中首脳会談が予定されていた場所で、菅首相と前原外相は30分、待ちぼうけを食わされた形となった。 その間、中国外務省の幹部は香港メディアを呼び、「首脳会談を開く雰囲気を日本が壊した」と会談キャンセルを発表。 その上で「この責任は前原外相が負うべきだ」と激しく批判した。 悪化した日中関係改善の糸口を見つけたかった菅首相だが、結果として中国との溝はさらに深まった形となった。 ぶれる中国外交は、対日関係修復を重視する国際融和派の胡主席や温首相が、国内で保守強硬派に押されて主導権を失いつつあるとの観測を招いている。
ベトナム訪問中の菅首相は30日午前、ハノイ市内で温家宝首相と約10分間、非公式に会談した。 日本政府関係者は「懇談」と位置づけている。 会談は、東アジアサミット前に会場内の首脳控室で行われた。 両首脳は(1)今回、首脳会談が行われなかったことは残念だ(2)日中の民間交流が再開されたことを評価する(3)戦略的互恵関係の推進に努力する(4)今後、ゆっくり話す機会を作る-の4点で認識を共有した。


(1)何かに怒ったり腹を立てたりするのはできることなら無い方が良く、たいへん心のパワーが必要とされる行為です。 すなわち、何かに怒れる間はまだまだパワーに溢れているという証左です。

 9月7日以降、日本人の中には、毎日無性にイライラしてしょうがないという人も多数いると思います。 それは決していい状態とはいえないのですが、まだ怒るだけのパワーがあることはマシと考えます。
 
 少なくとも菅政府のように、「知は力なり、逆もまた真実、すなわち無知は無力なり」と海上保安庁ビデオも公開せず、中国の真意も読みきれず、「男芸者」のごとく待たされ続け、怒ることすらできないという状態にはなりたくありません。

 更に懸念することは、菅政府は、被害者が強盗団と手を組みたがる「ストックホルム症候群」に陥りかけているのではないかということです。

 民主党は、もともと社会党・民社党・労働組合といった左派系の集団を構成母体としており、自民党政府と比較して中国・ロシア寄りであることは否めません。

 しかし、これだけ日本の国家としての威厳と尊厳を毀損する行為が繰り返されようとも、侮辱とも恥辱とも思わず、あたかも共産党員のイニシエーションのように国家財産を献上する心境になっているとすれば、陳腐化表現ながら『国賊・売国奴』と呼ばなければなりません。

 尚一層懸念することは、このような「政府の体たらく」による日本国民のストレスが忍耐の限度を超えると、2.26事件的な暴発の可能性さえ現実味を帯びるということです。

 文民統制は重要ですが、それがマイナス方面に働き過ぎると、内部からクーデター的に崩壊する怖れさえあります。 1960年代以前の日本国内で発生した闘争史を顧みても、決して日本人は温順だけの民族ではありません。

 菅政府は、これ以上日本国民に「負け犬」的なストレスを蓄積しないように、一挙一動することが焦眉の急です。


(2)誰も佐々木小次郎には喧嘩を売りません。 近寄れば一刀の元に斬られる剣豪には近付きません。 

 日本は、世界の0.3%の陸地面積ながら、世界の9%のGDP5兆ドルを生み出す能力を有しています。 このGDPを平和利用する威力を世界に見せつけるべきです。「こども手当て」にチマチマと3兆円を撒き散らし、親が遊興費の足しにして喜ぶ程度の政策などさっさと破棄して、アジア諸国ひいては世界が溜飲の下がる中国・ロシア撃退行動をするべきです。

 菅政府は、日本が独自専守防衛に十分な軍事力を有すると、またぞろ帝国侵略主義に逆戻りするかもしれないという無管理能力の亡霊に絆され続けています。 中国・ロシアに、日本に近づくと危険だと思わせることに、何の躊躇する必要もありません。

 西郷隆盛と大久保利通が征韓論争をしたようなエネルギーが、21世紀の日本に枯渇し尽くしたとすれば、政府と日本国民の子孫に対する存亡の責任です。

 ヒットラーのチェコスロヴァキア領ズデーテン割譲要求に対するチェンバレン外交か、ロシアの満韓交換要求に対する小村寿太郎外交かを選択するときです。 ベルリンオリンピックの前畑ガンバレ! ならぬ 前原ガンバレ! と糾合蹶起するときです。


(3)在日米軍に頼らず日本独自で防衛力を整備した場合、防衛費の増額分は最大で単年度あたり約1兆5500億円で、現行の約4兆6800億円(平成22年度予算)の1・3倍程度になることが、元航空幕僚長の田母神俊雄氏と 自衛隊OBらがまとめた試算で分かった。 20年間で計約15兆2千億円の増額となり、この試算で必要最低限の防衛力が自衛隊だけで備えられるとしている。
 試算は、中国やロシアに対して軍事バランスをとるために必要な抑止力を検討。 「専守防衛」を原則とする現在の自衛隊では抑止力にならないとして、「攻撃力の整備が急務」と分析、戦略爆撃機を領空内に待機させるなど必要最低限の攻撃力を想定している。
 核兵器についても、最大の抑止力である核武装は経済大国には必須と指摘。 日本近海に配備する原子力空母、 原子力潜水艦、戦略爆撃機、トマホーク巡航ミサイルを20年かけて新たに開発・配備する。
 具体的には、空母3隻と艦載機の開発や維持で計6兆円596億円、同様に戦略ミサイル原子力潜水艦4隻と 護衛の攻撃型原子力潜水艦4隻で7兆5436億円、トマホーク巡航ミサイルとイージス艦などで1兆1500億円 -などとなっている。  ミサイルに装着する核弾頭や国産技術にない空母のカタパルト発射装置などについては、米国からの技術供与を想定して費用計上したが、田母神氏は「すべて国産化すべきであり、そのほうが結果的には割安」という。

日本の対中国・ロシア政策を総括すると、

1.防衛力増強計画策定と発表(帝国国防方針に相当)

 専守防衛に徹するも、尖閣諸島・千島列島を十分にカバーできるだけの軍事力を保有し、そのために事業仕分けから得た余剰財政はすべて防衛力強化に充当します。

 明治時代の欧米列強を相手とした不平等条約改正は戦勝結果によるしかなかったように、現在も「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して話し合いで解決」しようとしても埒はあきません。

 なぜなら日本国民が、「国家の名誉にかけ、全力をあげて崇高な理想と目的を達成しよう」と頑張っても、中国やロシアが少しの領土でもこそげようとする強盗団・暴力団だからです。 菅政府は、いい加減にその実態を認識し、態度に表すべきです。

 「抜かずの太刀」として、相当の軍事力を見せつけるしかありません。

2.国防予算計上と増大
  
 アメリカ合衆国の国防予算は60兆円/年、GDP比5%です。 これを日本にあてはめると、25兆円/年となります。 田母神俊雄氏と 自衛隊OBらがまとめた試算では6兆円/年、GDP比1%です。 日露戦争の戦費が現在価値で2兆円、「八八艦隊」の維持費用が6千億円/年であることからすると、空母3隻、原潜8隻、核ミサイルその他合計で6兆円/年は、最低限必要な軍事力です。

3.領土確定宣言と実効支配

 上記の防衛力増強と国防予算計上の上で、尖閣諸島・千島列島の実効支配を世界に宣言し、それらの近海を日本海軍艦隊に遊弋させます。 日米韓合同軍事演習も実施します。 
中国とロシアに、日本および日米安全保障条約を相手に、このような島嶼ぐらいで戦争状態になるよりは、経済的に解決した方が得策と考える環境を整備することが必要です。

 当然、アメリカ合衆国とは沖縄普天間基地問題も含めて、確固たる民主主義の同盟関係を構築することが必要です。

 日本国憲法前分の、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占める」ということは、アメリカ合衆国と共同で「世界の警察官」の役割を担うことにほかなりません。

21世紀は、世界が「カンタン」するような日本国平和方針として牽引するべきです。