早婚の推奨

 

早婚の推奨    2009年5月10日


 日本の合計特殊出生率は2007年度で1.34と、OECD諸国中最低水準です。
この原因として、

1.育児・教育費を筆頭に経済的負担大
2.仕事との両立が困難
3.晩婚化

ということが考えられます。

 これに対し、
結婚による果実をなるべく早めに得られる早婚を推奨する
という提案がされています。

早婚化について考えます。


 私は提案に、そうあるべきという期待から全面的に賛成します。

(1)2人暮らしにより、生活に関する1人当たりの固定費を切り下げられる
(2)子どもへ投資することで、子どもが親に精神的・経済的なリターンをもたらす
(3)収入が低くなりがちな女性にとって、収入の安定化など、生活保障をもたらす
(4)結婚・子育てすることで、「社会的成長」という最大の価値が得られる

 確かに、このような経済的・社会的・そして生理学的な点で「結婚」「早婚」のメリットは大きいです。 ただ、その利点の前に立ち塞がる障害も、以下のように存在します。

(1)固定費は減りますが、比例費は増加します。 独身時代の生活レベルを落とさないために結婚を遅らせる人が多いのも事実です。
(2)子どもが親にリターンできるくらいに教育するためには、相当な教育費を必要とします。 おそらく、これが最大の障害と思います。
(3)結婚生活が継続した上での話であり、離婚率の増加にも考慮が必要です。
(4)むしろ忍耐力が必要のため、「社会的成長」する前に逃避・ネグレクトとなり、大きな問題を生じるケースも多発しています。

これらの障害と幾つかの懸念事項を踏まえたうえで、サポート策を考えたいと思います。

 まず、仕事への執着と収入確保および趣味・レジャー費用を犠牲にしてでも、育児・教育を優先できるかどうかという点です。

 正規雇用の場合に限定して考えますが、日本の賃金制度は年功序列制度を基本としている以上、早婚であればあるほど収入は少ないということになります。 従って、夫婦共働き世帯も増加し、そのあおりで、夜10時を過ぎても就寝できない幼児も増加するという不健全さが想定されます。

 以前は、3世代同居でカバーできていたのですが、現在はそれが十分に機能せず、その代わりとなる保育所・託児所の体制も不十分です。 また日本の教育費は、学校以外の習い事も含めると、世界にも例がないくらい高額です。 現在は少額の児童手当があるだけで、所得税制には育児・教育に関する優遇措置は全くありませんから、その費用はすべて親の負担となります。

 次に、現代人は年齢相応に、親となるにふさわしく熟成しているかどうかという点です。

 親は、若くて元気であれば良いということではありません。 誰よりも子どもの身近にあって、たとえ形式だけでもあらゆることにお手本でなければならない存在です。 ところが、昨今親世代にも職務のストレスや離婚等が直接間接の原因となって、モンスターペアレント、ネグレクト、虐待等の大きな問題が多発しています。 

 現在は近隣住民との関係が希薄化し、住民も異常に気付いても関わりを避けるような傾向も強く、親自身をケアする体制も不十分です。
早婚であればあるほど、このような問題が多発しがちであるとは一概に言えませんが、年齢と熟成度が比例するとすれば、考慮すべき点です。

 親のためではなく、子どものために育児・教育の機会は平等でなければなりません。また親の年齢を問わず、育児・教育は相応に行われなければなりません。 こう考えると、早婚を推奨するためのサポート方法は次の2点です。

(1)親の収入に左右されないように、育児・教育費という経済的なサポートをする。
   そのシステムは、補助金制・優遇税制のどちらが良いか、育児教育税という財源
   をどこから確保するかは、今後十分な検討が必要です。

(2)親世代を孤立させず、ストレス対策を行う精神的なサポートをする。
   地域では、学校PTA・民生委員・ケースワーカー等による早期の異常発見活動
   広域では、児童相談所・調停委員等による子どもの保護と親世代のケア活動
   という社会的機能を、何倍にも強化することが必要です。

 このような体制を充実させることで、「早婚」ひいては少子化対策に有効となると思います。