ネット選挙運動

 

ネット選挙運動    2009年2月14日


 2009年中には衆院選がありますが、日本では選挙期間中、ネットによる選挙活動は認められていません。 公職選挙法により選挙活動が細かく規制されているのは「不正行為の発生を抑え、各候補者の無用の競争を避け、選挙運動費用の増加を避ける」ためです。

これに対し、政治家と有権者が直接対話し、より多くの人が政治参加できるようにするため、ネットでの選挙活動解禁を図るという提案がされています。

ネット選挙について考えます。


 私は、提案に全面的に賛成します。

 まず、「日本では現在認められていない、選挙期間中のインターネットによる選挙活動の解禁」についてです。

公職選挙法第143条で、「インターネットはネオンサインと同類で、文書図画の頒布又は掲示の禁止行為に該当する。」と解釈され続けているため、今だに選挙公示後のホームページ更新ができないのです。

インターネット選挙のメリットは、

(1)利用時間・場所に制約がないため、いつでもマニフェストや立候補者演説会の録画を参照でき、更新もリアルタイムにできる

(2)ライバル候補の主義主張を、同じ水準で参照できる

(3)スカイプ等インターネットTVを設定すれば、遠隔地での立候補者演説会の実況中継、および立候補者と有権者との直接討論会ができる

(4)ホームページにリンクを張ることにより、関連するデータを一括表示できる

(5)紙を媒体としたメディアと比較して、コストが安価である

(6)マニフェストと実績の対比等、データの検索・分析が容易である

ということがあげられます。 すなわち、3年前の国政選挙で誰が何を約束したのか曖昧になるというようなことは、一掃できるのです。 インターネット選挙は、選挙費用の引き下げ効果も大きいですが、それ以上に、情報開示の即時性と比較性といった面で威力を発揮すると思います。

デメリットは、

(1)パソコンの保有状況、使用スキルにより、情報格差を生じる
(2)立候補者のWebサイト構築と保守コストが発生する

ということがあげられます。 これについては、

(1)図書館・公民館に参照用のパソコンを完備し、使用サポートサービスを行う、また、パソコン・高速通信網減税を行い、家庭への普及を促進する
(2)現在、国民1人あたり250円を負担している政党助成金の一部を、選挙専用の公営サーバーと立候補者Webサイト構築費・保守費に振り向ける

という対策を行います。

 次に、「ネット献金の推進」についてです。

 某国会議員の話では、選挙費用の中で最もお金がかかる事は、ビラ・ポスター制作費とそれを掲示する人件費で、数千万円を要します。 その他、選挙事務所費・秘書給料・交際費等、合計すると1億円になります。 これでは、確かに「ジバン・カンバン・カバン」の揃った人しか、立候補できません。

 インターネット選挙は、ポスター制作費等の選挙費用の引き下げ効果も大きいですが、それにネット献金を組み合わせると、充分「カバン」の対策はできます。 1人1000円の献金でも、10万人分集まると1億円です。 立候補者は、パーティ券を売りさばいて資金集めをするような無駄な時間が省け、政策立案・研究といった政治家本来のあるべき姿が実現できます。

 但し、10万人から献金を集められるほどに、立候補者が魅力的であることが大前提です。

 政治資金規正法では、立候補者個人に対する献金は、選挙運動に関するもので、匿名でなければ可能です。 ネットバンキング経由振込であれ、クレジット引落であれ、献金者名は記録されますからクリアできます。

 また、立候補者のホームページで、政治資金の収支報告やエビデンスを開示することを義務付ければ、現在よりもはるかにその明瞭性も高まります。

 オバマ大統領は、NBC、CBSなど米大手テレビ局7局の30分番組を3億円で買い取って、自らの政策を訴える広告番組を放映しました。 インターネット選挙とネット献金を実現すれば、国政選挙の各立候補者が、質的には遜色のない情報開示を安く簡単に行えます。 可能な限り近い将来、実現すべきと思います。