また維新前夜か?

 

また維新前夜か?    2010年11月16日


 中国漁船衝突の映像流出事件で11月15日、捜査当局が海上保安官の国家公務員法(守秘義務)違反での逮捕を見送ったことについて考えます。


 神戸海上保安部の男性海上保安官(43)の選任を受けた小川恵司弁護士が16日午前1時過ぎから、第5管区海上保安本部の庁舎(神戸市)で記者会見し、今回の流出事件について、「政治的主張や私利私欲に基づくものではなく、広く一人でも多くの人に遠く離れた日本の海での出来事を見てもらい、一人ひとりが考え判断し行動してほしかった」「今回の行動が正しいと信じておりますが、公務員のルールとしては許されないことだと反省もしております」とする男性保安官のコメントを読み上げた。

 仙谷由人官房長官は16日午前の記者会見で、映像流出事件で逮捕が見送られた男性海上保安官が公表したコメントについて「捜査の期間中にそこに身を置く司法警察員の身分を持つ人が、訴訟に関する書類を流出させて『国民に見てもらいたい』などと言うことは想像ができない」「被害者になろうが加害者になろうが、捜査期間中に捜査書類が流出する捜査機関を信用できるか」とも語り厳しく批判した。


 仙谷のコメントは法律建前上は正しく、またそのようなことは言われなくとも解っています。 しかし、長く政界に身を置きながら、大塩、生麦、大津の各歴史上の事件から何も学んでいないということも明らかです。

大塩事件 - 1837年 大塩平八郎首謀(大坂東町奉行の元与力であり陽明学者)
生麦事件 - 1862年 島津久光首謀 (薩摩藩主)
大津事件 - 1891年 津田三蔵首謀 (ロシア皇太子の警備にあたる巡査)

 いずれも、切迫する外圧・目前の危機に対し、時の政府が全く対処できない状態にある場合に、国民各局面でそれへのストレスが暴発した事件です。 国家の危機的転換点に直面したときには、100年前の国民でさえ少ない情報をもとに憂慮・行動するという事象を表しています。 


 10月以降、中国大使館周辺で行われたデモ行進の参加者を見れば明白です。 今回は決して右翼団体の街宣車が咆哮しているだけではありません。 一般市民が、中国・ロシアの日本領土への侵攻という懸念を敏感にキャッチして、多数参加しているのです。

 事実、上記の事件後10年程度先には、政変・戦争のような大変動が発生しています。  大変動の起こる際には必ず前兆があるということが、歴史の教えるところです。

21世紀以降、日本は存亡も危ぶまれるような混沌の中にあります。
政治面では、短命内閣の連続と政権与党の交代、公務員制度への不信感
経済面では、世界同時不況とその影響の直撃による企業経営・税収の逼迫
社会面では、年金システムの崩壊現実性、雇用環境の不安定性、少子化の進行
外交面では、北朝鮮の核開発、アジア諸国・ロシアとの国境問題
等の難題が覆いかぶさっています。

 長年の自民党政権ではもはや打開できないという国民の思いをばねにして、昨年政権交代を成し遂げたのが民主党です。 

 その政府がこうまで建前論に終始し、将来ビジョンの説明責任は果たさず、中露に強硬に対処できない状態で、国民各部局の心配-不安-恐怖を募らせるとあっては、保安官の行動が正しいと考えて当然です。

 仙谷以下、民主党スタッフは何を恐れているのか判らないが、中露にとっては物流コストと品質を考えただけでも、日本との交易が最大有利なものです。 日本がいかに高飛車に出ようとも、経済面への影響など全く存在しません。

 昨今のABS「遺伝資源の利用から生じた利益の公平な配分」問題のように、開発途上・低姿勢の立場であるほど、交易条件も悪化するのが事実です。

 民主党政府一同、昔の漫才師のように「平和**」と唱えているだけで、現在の状況を解決できるのか、中露がそのようなまろやかなDNAの民族か、滝に当たって頭を冷やすべきです。

 私は、歴史を鑑みて、以下のように防衛力を即刻増強することを強く提案します。

 「海上保安庁」の増強

(1)海保の予算を2倍に増加する(現在は年間1800億円でイージス艦1隻分)
(2)巡視船を200隻以上に増加し、性能向上、武装強化する
(3)領域警備法を緊急制定する
(4)警職法準用ではなく、海上保安庁職務執行法(交戦規定)を緊急制定する
(5)尖閣諸島を実効支配する(職員常駐)

 「自衛隊」の増強

(1)原子力空母3隻を建造、日本海・東シナ海沿岸へ配備する
(2)原子力潜水艦8隻を建造、      〃
(3)イージス艦以下護衛隊群8隻を    〃
(4)尖閣諸島周辺海域で日米合同演習を実施する
(5)射程距離3000kmの中距離弾道ミサイル200基を日本海沿岸に配備する

 そして、中国をして「日本が中国をいじめる」と泣きつくくらいに、身構えるべきです。 それが「カンタン」に国境問題を解決することになるのです。