エンディングテーマ

 

エンディングテーマ    2012年9月18日


 日本が尖閣諸島を国有化したことに抗議する反日デモが、中国各地で始まりました。

 1978年の鄧小平時代には、尖閣諸島問題よりも日中平和友好条約を優先的に考えていたため、「次の世代の人間は自分たちよりも知恵があるだろうから、彼らに任せよう」と棚上げしたのです。

 しかし、今日の反日デモを見る限り、3分の1世紀が過ぎてもどうやら知恵はないままのようです。

なぜ人間は賢くならないかについて考えます。


1.なぜ人間は賢くならないか

 人間は、進歩しません。 人間はいくら勉強しても、あるレベルまでしか偉くなりません。 なぜなら、人を支配する立場と支配される立場で、必要とされる学問のレベルが異なるからです。

 人を支配する立場の人は5%、支配される立場の人は95%を占めており、圧倒的多数の支配される立場のレベルまでしか到達しません。 偉くなる必要がないのです。

 デモの参加者が大使館に向かって石、卵、トマト、ペットボトルなどを投げるのも、山東省青島市の開発区内にあるパナソニックの工場にデモ隊が押し入り、放火するのも、山東省青島市のイオン黄島店内の高級酒や宝石、貴金属類、家電製品などを略奪するのも同じです。

 中国の人民は、圧倒的多数の支配される立場のまま、据え置かれていてよいのです。

 例えば、スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏のような経営者兼発明者が1人出て、彼をサポートするスタッフが何人かいるような状態であれば、ほとんどの企業は経営できます。

 逆に、日本人がいくら英語等外国語会話を学習しても容易に上達しないのも、それを日常的に必要とする立場の人が5%だからです。

 日本も、歴史上今回のような事件例を有しています。

1800年代 百姓一揆・打ちこわし
1918年  米騒動
1921年  川崎・三菱造船所労働争議 

などですが、今回のデモとの相違点は、日本の場合は生活環境の改善要求という本人の生存をかけた戦いであったのに対し、今回のデモは愛国心にかこつけた、戯(ぎ)謔(ぎゃく)と置引の集会場であることです。

 GDP世界第2位と雀躍する中国が、高級酒や宝石、貴金属類、家電製品などを略奪しなければならないほどの困窮生活をいまだ国民に強要するのであれば、それは中国政府の無為無策です。

 パナソニックの工場を焼き払い、イオン黄島店から24億円相当品を略奪して当然なのであれば、中国は労働者自らが職場を壊乱し縊首することも構わない、軽佻浮薄の無知蒙昧国です。

 まったく警備能力がない、あるいは政治的にやらないことで、犯人検束もせず野放図にするのであれば、中華人民共和国自体が暴慢無法地帯であることを宣言しています

 1978年の鄧小平時代の施政者は全員鬼籍に入っていますが、次の世代の人間がここまで暗愚劣等であることに彼らの慟哭も聞こえてきます。 

                 

2.「尖閣諸島」「竹島」「北方領土」の工程

 「尖閣諸島」「竹島」「北方領土」紛糾の首謀者である中国・韓国・ロシアは、いずれも第二次大戦後の混乱期あるいは日本の国防体制未整備の間隙を突いた強請(ゆすり)・集り(たかり)の協同組合です。 今回のデモは愛国心にかこつけた、戯謔と置引の集会場であると言いましたが、彼らの親玉政府はそれをはるかに上回っています。

 歴史的にも法的にもまったくその領有権は有り得ないことを承知のうえで、強請集りを働いた行き掛り上、引くに引けない面子のみで叫喚しているのです。 これが個人的な事犯なら警察力により逮捕し、検察庁に送検し、刑事訴訟すれば解決するのですが、国家間の問題であるだけにその手続きは至難です。

 近代初頭、西郷隆盛の征韓論から日露戦争に至るまで、軍事力による何らかの戦績優勢状態により勝敗決着し講和するという方法が大勢的でした。 陸軍は騎馬隊と砲兵隊、海軍は石炭エンジンの戦艦が主要戦力の時代であったため、そのようなアナログ式戦闘行為による決着たりえたのです。

 しかし、今日の最終兵器まで一気連関したデジタル式軍事力の時代には、野見宿禰の相撲のような、1世紀前の力(ちから)競(くらべ)方法では解決できないことは相手側も了解しています。 世界中から侵略者の汚名を被覆し孤立し、膨大な犠牲者も発生するからです。

 また日本の背後には日米安全保障条約が存在し、日本には最終兵器を製造する技術力も経済力も実在します。 相手が先に軍事力を発現すれば、日本が憲法を改正し核武装に至る恰好の口実になるのです。

 摩擦回避を試みる日本に対して温家宝首相は10日、「主権と領土問題では、中国政府と人民は絶対に半歩も譲らない」と、人さし指を突き立てて猛反発しました。 「半歩も譲らない」と、人民解放軍機関紙「解放軍報」も報じ、軍事行動に踏み出す可能性を示唆しました。

 テロリストの襲撃とそれらを撃滅するヒーローを描いた幾多のハリウッド映画が存在しますが、『事実は小説より奇なり』、それが国家間に出現しようとは夢幻夢想です。

 まるで、21世紀初期に響くターミネーターのエンディングテーマのようです。 最後のシーンで、ガソリンスタンドの少年がサラ・コナーに「嵐が来る」と言いますが、まさに風雲急です。


3.「尖閣諸島」「竹島」「北方領土」解決への日本の対策

 今回の発端は、4月16日午後(日本時間17日未明)、石原慎太郎東京都知事がワシントン市内で講演し、沖縄県・尖閣諸島を都の予算で買い取るため、個人所有する地権者と交渉に入っていると明らかにしたことにあります。

 理由については、「中国は『日本の実効支配を崩す』と言い始めたが、とんでもない話だ。 このままでは危ない。」と力説し、領有権を主張して付近の海域で巡視活動を進める中国の存在を挙げました。 

 想定内ではあったものの、このような騒擾が発生したため、石原都知事の挙動を暴挙であるという寸評もあります。 しかし、真実詳細は霧中ながら、中国関連組織が地権者に数百億円をオファーし、沖縄県・尖閣諸島の購入を企んでいたという話も仄聞します。

 万が一にもそれが真実であり、中国が国有化を実行したとすれば、日本政府の対応は「遺憾・憂慮・不当・断固・・・」といった定型熟語を1か月間流した後、領土主権消滅という自明のシナリオになります。

 善後策が不十分であるというきらいはあるものの、国有化により「先制攻撃」を仕掛けたことは日本人の大なる進歩です。 これまで諸外国の恫喝に対し、病的なまでに萎縮震慄していた日本人が、真実の愛国心に覚醒できる機会を得たのであれば、どんな学校教育法の改正よりも効果的です。



 解決策は、相手の面子を潰乱しないようにしながら、世界中に紳士的と称賛される方法で引き下がることのできる口実を作らせることを一緒に模索することしかありません。

 このことをアメリカは「対話せよ」と言っているのであり、小学校の討論会のような演技を求めているのではありません。

 「次の世代の人間は自分たちよりも知恵があるだろうから、彼らに任せよう」という鄧小平の希望が叶う道は、この方法を探索することでのみ開くことができます。

 しかし、その窓口となる外務省は「兵を出すという選択肢が最初からないのだから、仕方ないでしょう」と中国を恐れるあまり、たとえ国土を奪われようとも中国の怒りを買わず摩擦回避を旨とする姿勢です。 藤村修官房長官は、尖閣諸島の現状に変化はなく以前と同じだと会見で訴えています。

 櫻井よしこ氏は、リーダーの条件として、

・立派な日本人であること。
・大局観をもつこと。
・日本人の歴史を知ること。

をあげられています。

 私は、2010年11月に、以下のような国防体制の提案をしました。

「海上保安庁」の増強

(1)海保の予算を2倍に増加する(現在は年間1800億円でイージス艦1隻分)
(2)巡視船を200隻以上に増加し、性能向上、武装強化する
(3)領域警備法を緊急制定する
(4)警職法準用ではなく、海上保安庁職務執行法(交戦規定)を緊急制定する
(5)尖閣諸島を実効支配する(職員常駐)

「防衛力」の増強

(1)原子力空母3隻を建造、日本海・東シナ海沿岸へ配備する
(2)原子力潜水艦8隻を建造、    〃
(3)イージス艦以下護衛隊群8隻を  〃
(4)尖閣諸島周辺海域で日米合同演習を実施する
(5)射程距離3000kmの中距離弾道ミサイル200基を日本海沿岸に配備する

 これらを実施するために、日本はGDP2%の国防費を計上するというニュースを海外メディアに報道させます。 日本製のデバイス部品は、スペースシャトルや国際宇宙ステーションの構成部品に多用されていることは、世界の誰もが周知の事実です。

 私は、今さらながら「先手必勝」「先憂後楽」を反芻噛直します。 領土問題で重要なのは、自国を防衛するという強い国家意思であり愛国心です。
 
 まず野田総理大臣から先頭に立ち、敢然と憲法改正に取り組み、政治生命をかけて闘うことによって「カンタン」できる活路を開くことを決心する時です。