草彅 剛さん

 

草彅 剛さん    2009年4月23日


 4月23日未明、SMAPの草彅 剛さんが公然わいせつ罪で逮捕されました。 六本木の公園で、お酒の飲み過ぎで全裸となって騒いだが、本人はよく覚えていないという報道がされています。

 これを受けて、総務大臣は、「事実であれば、めちゃくちゃな怒りを感じている。 なんでそんな者をイメージキャラクターに選んだのか。 恥ずかしいし、最低の人間だ。絶対許さない。」と発言したという報道がされています。

この発言について考えます。


 まず、草彅 剛さんには、「事実関係を認めて反省している」と言うとおり、是非反省し休養してほしいと思います。 千両役者・看板俳優・トップスターと呼ばれる人は、絶対に失敗してはいけません。 多くの期待を一気に裏切る結果となるからです。 そのための重圧は想像に余りあるものですが、それを乗り越えて千両役者の領域に達するからこそ、だれもがその人を仰ぎ見るのです。

 次に、総務大臣です。 総務省は2001年の中央省庁等改革で、従来の総務庁に加えて郵政省・自治省等を吸収包括し一大勢力となった機関で、総務大臣はそのトップに座する役職です。 旧郵政省が放送事業の管轄機関であったため、地上デジタル放送の普及促進も総務省が引き継ぎ、草彅 剛さんは、2006年からこのメインキャラクターを務めています。

 私は、総務大臣の発言を聞いて、昔のエピソードを思い出しました。 某俳優が薬物事件を起こし逮捕されたとき、その夫人にインタビューが殺到しました。 彼女は、「私が選んだ人ですから、どこまでも一緒に・・・」と答えていました。 その翌日、ラジオのパーソナリティがこの件を取り上げて、「彼女は立派だ。 しかしながら、『私を選んでくれた人ですから・・・』と言ったらもっと立派だったな」とコメントしていました。

 上記のとおり、総務省のトップというのは広範な権力を有し、その発言の影響力は極めて大きいです。 役職上は、地方行政全般を管轄する等、日本国の母親役に相当します。 総務大臣は60歳、草彅 剛さんは34歳 まさに親子の年恰好です。

 「イメージキャラクターに選んだ」ことを今まで継続している責任は、現在の総務省のトップにあります。 「最低の人間」と「最低から2番目の人間」の差がどの程度なのか、明確な定義を示してもらいたいです。 「絶対許さない」とは、親の敵に出会ったときの台詞です。

 昨年から今年にかけて、日本相撲協会の力士4人が、大麻汚染により角界を去りました。 本年2月には、財務・金融相が主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後に酩酊状態で記者会見を行い、世界中に放映されました。 それらの事態については、上記のような激烈な発言はありませんでした。 相手によって、評価基準と発言が揺れ動いています。

 

 自民党は、民主党に大きく支持率を引き離され、次期衆議院議員選挙も大苦戦が想定されています。 ここまで国民の支持を失った理由は様々ありますが、総務大臣の発言に代表されるように、心底冷たさを感じさせる発言が多いことが、その大きな理由の1つです。 そして今回、意外と「カンタン」に浮動票を取り込み、劣勢を挽回できる千載一遇のチャンスを逸しました。

 私は、総務大臣が上記夫人の感覚で、「彼の行為は大人気ないが、メインキャラクターとして頑張ってくれた。 自分も責任を感じているので、親代わりになって立ち直らせる」とひとこと言える、度量の大きさがあればよかったと思います。