右側へ暴発する

 

右側へ暴発する    2010年11月7日


 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に関する映像が、インターネット上に流出した問題について考えます。


 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオと見られる映像が、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」に投稿され、11月5日未明段階で誰でも閲覧できる状態になっていることが分かった。 11分を超えるものなど複数の動画が投稿されていた。 海上保安庁などは、映像が流出していないか確認を進めている。 映像によると、逃走する漁船の左側を、巡視船「みずき」と見られる船が並走している。 これまでの海保の説明と同様に、「ビン(ビンは門がまえに虫)晋漁5179」と記された船が海保の巡視船とみられる船の右舷にぶつかる様子が収録されている。 映像に収録されている音声には、サイレンが鳴り響いており、巡視船は警告を続けている。


 なぜこの時期に、なぜこの部分の映像が流されたのかについて、様々な観測がされており、おおよそ次の3点が挙げられています。

1.中国船の悪質さがわかる場面を選んだ?
2.公開を求める野党の動きに乗じた?
3.ヒーローを気取っている? 憂国の士として行動している?

 私は11月3日に、『菅政府は、被害者が強盗団と手を組みたがる「ストックホルム症候群」に陥りかけているのではないか。 これでは、陳腐化表現ながら『国賊・売国奴』と呼ばなければならない。 尚一層懸念することは、このような「政府の体たらく」による日本国民のストレスが忍耐の限度を超えると、2.26事件的な暴発の可能性さえ現実味を帯びる。 1960年代以前の日本国内で発生した闘争史を顧みても、決して日本人は温順だけの民族ではない。』という懸念を述べました。 

 なぜこの時期に、なぜこの部分の映像が流されたのか、それは上記のいずれでもありません。 日本国民の、とりわけ第一線で命懸けで外敵と格闘している海上保安庁職員の隔靴掻痒たる思い、「石垣検察の政治的判断」を政府が承認したという前代未聞のシナリオに仕立てあげ、責任から逃げ惑う菅政府に対し「いいかげんにしろ!」という思いの暴発です。


 ストレスの強弱には、以下の4パターンがあります。

1.自ら招いた災いで、自ら解決できるもの
2.    〃        できないもの 
3.他人から被った災いで、自ら解決できるもの
4.    〃          できないもの

当然、1.から4.に向かってストレスは強くなり、尖閣諸島衝突事件は最強の4.に該当します。 

 菅政府は、日本が尖閣諸島を領有することに何の謂われもないことに対して、中国から資源目当ての因縁をなすり付けられ、しかも報復手段を打つ事もできません。 いつどのような方法で決着させるのかという強硬メッセージを、世界に向かって発信することもできません。 対中政策に対する日本国民の不満と苛立ちは最大限に達しており、もはや暴発するしかないということです。

 「蛍の光」の歌詞第四番には、『千島の奥も沖繩も、八洲(やしま)の内の護りなり 至らん國に勲しく、努めよ我が背恙(つつが)なく』と謳われています。 領土・領海・領空という国防施策は昔から施政者の最重要課題ですが、日本は過去60年間日米安保条約の核の傘の下に安泰であったため、全く解っていません。

 日本政府と日本国民が本気で憤怒すれば、中国・ロシアのような強盗団も恐怖を覚えます。 間髪いれず、恒久的対抗手段として、日本のGDPの2%を国防費にあてるという意思表示をするだけで世界があわてます。 中国とロシアは、日本国憲法第9条に忠実な、温順な日本人をついに怒らせたという事実を受け止めねばならなくなるのです。

 日本政府と日本国民に、日本は民主主義の守護人であるという自覚がある限り、道を誤ることはありません。 それにもかかわらず、決着へのプロセスを菅政府がためらい続けることが、日本国民にいかに大きなストレスとなっているか、全く解っていません。

 中国の不審船は、左舷から体当たりしてきました。 最低でも、全員逮捕、起訴、裁判の手順は必要です。 巡視船側に沈没等の影響が懸念されるならば、問答無用に撃沈することも必要です。 警視庁であれば、日常的に、抵抗する犯人は射殺します。 左から攻めて来るなら、少々右がかってでも反共産主義を「カンタン」に受けて立たねばなりません。