新政権ハネムーン

 

新政権ハネムーン    2009年9月11日


 民主党への政権交代が実現します。 

 それを受けて、アメリカの政権交代の時と同様、日本でも新しい政権に対する100日の猶予期間、すなわち、「ハネムーン期間」を設けることが提案されています。

「ハネムーン期間」を設けることについて考えます。


 私は、提案に全面的に賛成します。 まず、今回の衆議院選挙を総括すると、

1.今回の政権交代選挙で顕著な学習効果は、

・一般会計だけではなく、特別会計の存在に注目するべきである
・棄権をなくし、浮動票を動員することで政権与党を交代させることができる
・本当の二大政党制を敷くことで、真剣に政策論争をすることができる
・各政党のマニフェストを徹底的に比較・検証するべきである
・各政党に行政への責任をもたせ、活動内容の開示をさせるシステムが最重要である

等です。

2.自民党が惨敗した要因は、

・麻生総理自身が、その政策能力の疑問、言葉遣いの悪さ等で敬遠された
・自公連立政権およびメンバーが、その行動も含め、時代錯誤であった
・過去3年間、毎年政権を投げ出し続け、無責任さと人材の枯渇を露呈した
・小泉総理時代の瑕疵政策が、経済環境の悪化に伴い、一気に顕在化した
・霞ヶ関改革、行財政改革等、遅々として進展せず、不明瞭感が増幅した

等です。 政権与党としての自民党は、完全に機能不全に陥っています。

 私は、確かにそれらの要因は大きいですが、あえて付加すれば、自民党の無数の欠陥であれマニフェスト比較であれ、その全てをオープンし続けたインターネット等情報通信の成せるところではなかったかと思います。

 自民党は執行部から派閥の重鎮に至るまで、未だに「人の噂も75日」程度の感覚です。 自分たちの一挙一動がすべてデータとして記録され、いつでも比較参照される時代に変わっているということさえ、認識できていません。 この自民党の認識程度と今日の情報社会とのギャップが、「政権交代」という結果に直結しているのです。

 自民党長期政権の末路に現れた現象は、決して自民党固有のものではありません。 政権与党は常に認識を改めなければならないほど、今日の情報社会は発展し続けています。 明瞭と不明瞭、アカウンタビリティと傲慢は、トレードオフの関係です。 明瞭とアカウンタビリティを逸した政権は、必ずその反動に陥り、データとして掴まえられ、支持率を下落させます。

 アメリカの政権交代の時と同様、日本でも新しい政権に対する100日の猶予期間、すなわち、「ハネムーン期間」を設けることは、大いに結構です。 そして、そのハネムーン期間中に、政権と有権者の双方が政策の実行を担保するための方策を準備することも、全く必要です。

(1)民主党政権側は、新たな政策の優先順位付けをし、より詳細な実行計画を発表すると同時に、実施状況についての情報公開を徹底する。

 この際、必ず財源の裏付けが必要です。 16兆円の支出に対して、官庁組織の統廃合による収入、無駄の削減による収入、新たな負担増による収入等をどのように相殺するのかを明瞭にするべきです。

 それにより、民主党政権がどこまで本気で行財政改革を行おうとしているのか、どこにどれだけの無駄が隠蔽されているのかも明瞭になります。

(2)有権者側は、請願・陳情やパブリックコメント(意見公募)、政府への電子メール、さらには、さまざまなメディアを活用した世論形成により、意見表明と監視の仕組みを作る。

 現在、内閣府主導により「国政モニター」制度が実施されていますが、自民党政権下で有効に機能したかどうかは不明です。 これを、民主党主導のモニター制度に切り替え、行政を経由させずに国民の意見を吸い上げるシステムを構築するべきです。

 また、民主党のホームページは各政党の中でも最もきちんと作成されていますが、各議員のものは議員任せになっています。 それらのフォームを統一し、各議員宛てに提出した国民の意見と応答は、そのまま政党本部にも伝わるようなシステムを整備していくことが必要です。