衆院選の視点

 

衆院選の視点    2012年12月12日


 衆院選挙でどのような視点で投票に臨むべきかについて、判断すべき三つのポイントが提案されています。

 (1)候補者の政策と、自分の価値観との整合性
 (2)政党のリーダー及びその政党自身の基本的な能力
 (3)リーダーの精神的な強さ、それに担保された実行可能性

これについて考えます。


 現在の政治社会は、自由民主党55年体制と比較しても、異次元というほどの変化を遂げています。 過去は、

1. 立候補者は「ジバン・カンバン・カバン」に象徴される、利権団体の代表者であり、所有資産も桁違いであり、国民に対し上から目線の立場であった。

2. 与党は派閥で構成され、それぞれの閥是も大きく異なり、代表者が輪番制で総理大臣に就任し、与党議員は一般国民の立場からは程遠い存在であった。

3. そのために情報も閉鎖的で選挙公約など無いに等しいが、経済成長が右上がりの平穏な時代が続いたため、国民からの政権に対する圧力も弱かった。

 という環境下で選挙運営されてきました。 それに対して現在は、

1.世襲議員に対する風圧が相当に増しており、マスコミ露出を背景にした新興政党には、国民目線にまで降りて手弁当で活動する立候補者もいる。

2.2009年の民主党政権交代以降、インターネットを駆使したマニフェストの情報開示が活性化し、公職選挙法の規制の在り方まで議論されている。

3.経済成長の長期停滞、領土戦争の現実化、財政破綻の現実化、原発の代替措置等々、現存の日本人がほとんど経験したことのない課題が頻出している。

という状態です。

 過去と比較すると、それなりに民意を反映できる体制が整いつつあるように思いますが、あくまで議会政治は多数決の原則で決議するため、合従連衡も含め多数派が与党となり、政権を担当することは今後も変わりません。

 また、大統領制の経験のない日本でいきなり政治的リーダーシップを発揮するような体制を目指すと、共産圏諸国の一党独裁制のようになりかねない危惧があります。

 とすれば、上記3.の課題に対して既存与党の政策に反論するだけではなく、どうするかという具体案を2.の方法により提示している政党を選択するべきであり、その政党の支持を受けている立候補者を選択するべきであるということになります。

 基本的には、政党自身の能力と官僚機構に対する優位性、および政党リーダーの精神的な強さが着眼点になりますが、伝統的政党は依然としてケインズ政策的な発想に固執し、新興政党は応急的対応の発想しかできておらず、いずれもブレーン不足のように見えます。

 私は、現在のどの政党もそれらの課題を一気に片づける能力があるとは思いません。 しかし、将来数年間の施政を委託するのであれば、

1.まず、自分はどの課題が最重要なのかという課題のプライオリティをつける。
2.次に、自分ならばその課題をどうするかということを考える。
3.各政党がどのように合従連衡しながら、マニフェストに掲げている対策が自分の考えに沿っているかを見る。

 という手順で地道に決定するしかないと思います。 今回の選挙は、国民が日本の将来の方向付けと課題解決体制を構築するラストチャンスと捉え、主観的に考えなければならないときであると思います。