混合診療の解禁

 

混合診療の解禁    2010年12月31日


 現在の日本の医療保険制度では、保険診療と保険外診療(自由診療)を併用する混合診療が原則禁止されており、保険外診療が診療内容に加わった場合、患者は本来保険で賄われる分も全額自己負担になるため、混合診療を解禁するという提案がされています。

混合診療の解禁について考えます。


 私は、混合診療の原則解禁の提案に賛成します。 厚生労働省は混合診療の解禁に慎重な理由として(1)医療格差の拡大を招く(2)保険治療範囲の縮小につながる(3)患者が医療事故に遭うリスクが高まるという3つの懸念をあげていますが、それに対して反証します。

(1)某大手製造企業には、グループ内企業数百社が加入する「財物総合保険制度」というものがあり、火災・地震等ほとんど全ての事故による操業停止の補償が担保されています。 資産の保有高の多少を問わず一律の保険料率が適用されるため、小規模企業には単独加入するよりも保険料負担は有利となり、大規模事業場には担保が手厚くなります。

 ところが、1事故につき100万円免責という例外事項があります。 小規模企業では、軽微な事故による操業停止ではめったに100万円を越えることはないため、結果的には保険料を支払うばっかりでその補償の恩恵に預かることはありません。 そのため、防災予防活動が熱心に行われるという副次効果が発生します。

 規模の異なる者、全ての事故を一括に含めると、双方に有効に働くという事例です。

(2)ある方が脳内出血を伴う事故に合い、「脳血管内手術」というオペを行うことになりました。 このオペは、本来バルーン器具で対応できるものですが、たまたま救急病院にそれが欠品し入手が間に合わないため、高価なプラチナコイルを使った対応をすることになりました。

 プラチナコイルを使用すると、約700万円の医療費が発生します。 しかし、患者が70歳超の老人医療対象者であったため、本人負担は入院費のみで済みました。 このように、保険診療の対象となっていても施術方法と患者の年齢の違いにより医療費に大きな差が発生するということが既に存在します。

 緊急時には、医療費が高い・安いという選択などは構っておれない、医療現場の判断に任せるしかないという事例です。

 私は、

1.厚生労働省が混合診療の解禁に慎重な理由にも一理はあるが、決してそれだけでは済まない事例も多数存在する。
2.健康保険料の負担は、累進課税的に行われている。
3.政府管掌健康保険、組合管掌健康保険等でも、保険料率が異なる。
4.3大成人病を中心に、民間保険会社でも保険商品が整備されつつある。

という点から、混合診療の解禁をするべきと思います。