男女共同参画 2013年1月15日
世界経済フォーラムが昨年発表した「世界男女格差年次報告書」を見ると、日本は政治や経済、教育などへの女性の参画度を示す順位が、135カ国中101位であり、企業の管理職や経営者、政治家など「指導的地位」にいる女性の比率が著しく低いという指摘がされています。
男女共同参画について考えます。
私は、男女共同参画が全国的に進んでいないのはなぜなのかということを、以下の2点で考えたいと思います。
1. 社会制度上、女性の能力が十分発揮できる状況か
昨年のロンドンオリンピックで、日本は史上最多の38個のメダルを獲得しましたが、その内訳は、金メダル(男3、女4)、銀メダル(男10、女6)、銅メダル(男10、女7)で45%が女性によるものです。
特に女性選手は、格闘技でも団体競技でも好成績であり、このように短期集中的に訓練されれば、日本女性は精神的にも体力的にも世界水準以上の能力があることを示しました。
しかし、職業人という長期的観点から見ると、社会制度上そのようではない現実があります。
例えば、東京大学の学生数は 男11,406人、女2,565人(18%)、日本のノーベル賞の歴代受賞者は、18名全員男性となっています。
また、実際の企業風土も決してコミュニケーションだけではなく、飲みニケーションやゴルフコンペによって人間関係を構築するという状態が続いています。
また、ほとんどの家庭での調理は女性が行っているにも関わらず、それが職業となると、フレンチやイタリアン、和食でも女性シェフは少なく男社会の状態です。
このように、企業の管理職や経営者、政治家など「指導的地位」に就くにあたっては高学歴、私生活の犠牲、激務といった条件を男性と長期間競争しなければならないという社会制度が根底にあり、そのために女性の比率が著しく低いという結果になっています。
2. 家庭を維持するという現実にどう対処するか
地方出身、関西在住の方で、主人が会社管理職、奥さんが学校教員の共働き世帯が知り合いにいますが、子ども2人のベビーシッター・家事手伝い等を外部委託することで、1人分の収入は消えるそうです。
また、北陸3県をはじめ北陸・東北地方は、3世帯生活の比率が20%なのに対し、全国平均は10%となっています。
理由は、
・子どもを親にみてもらえる
・高齢者と暮らすことが子どもの成長の上でためになる
・共働きができる
ということですが、この場合でも女性の働き方は家計を中心となって支えるというよりは家計補助のようです。
このようにみると、女性の総合的能力は高いのだけれども、
・高度マネジメントの職業は東京圏・関西圏に集中している
・そのため3世帯生活が難しく、託児所等も不足し高額となる
・長期間男性社会として構築されてきた企業風土・ビジネス習慣をもとに、女性が男性に伍して活動しなければならない
という従来からの論点に到達します。 すなわち、現在の社会制度のもとで、女性が男性と同じ活動をするためには、大きなハンディを背負わなければならない宿命にあるということです。 ただ、女性が男性に伍して活動することが一概に良いといえるのかどうか、考慮する必要があります。
私は、「女性の出世」を評価する社会風土を作るには、
・官民あげて女性専用のポストを相当の割合で用意するダイバーシティ制度を法的に整備する
・そのポジションにふさわしい女性を育成できる教育訓練体制を整備する
・男女ポジションがいつでも交替できるように、年功序列的賃金制度・年金制度を抜本的に改革する
というような根底からの制度変更が必要であると思います。