アジアの秩序 日本

 

アジアの秩序 日本    2010年12月31日


 2010年9月以降、北朝鮮による韓国・大延坪島(テヨンピョンド)への砲撃、中国による核・ミサイル戦力や海・空軍の急速な近代化により、東シナ海を初めとするアジア地域の安全保障環境が急激に不安定化しています。

アジアの新秩序について考えます。


 1.現世から崩落した国 北朝鮮の解体処分

 民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によって、「後ろ盾」とみられている中国政府が、北朝鮮の扱いに手を焼いている実態が浮かび上がった。 中国高官2人が韓国政府高官に対し、「朝鮮半島は韓国の管理下で統一されるべきだ」との私的見解を伝えた。 中国が北朝鮮の体制が崩壊した際、軍事的な国境封鎖を検討しているとの記述もあった。
複数の中国政府当局者が北朝鮮から中国への人口流入について「30万人までなら外部の支援なしで吸収することができる」と考えていると発言。 流入が一気に起きた場合には、中朝国境を軍事的に封鎖し、人道支援のための一時的な滞在区域を設定し、他国に支援を求める可能性にも触れられていた。
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が中国の戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員(副首相級)と9日に平壌で会談した際、米朝関係正常化に向けた協議に意欲をみせ、日本からの経済協力にも関心を示した。


 「道」という文字があります。 「首」に「辶」となっています。 この「首」は人間の首を、「辶」は細長い場所を表します。 

 秦の始皇帝の時代、都には毎日のように北方から盗賊団が侵入し、財産を略奪していきました。 始皇帝は、討伐部隊を盗賊団の根拠地に派遣し退治しようとしますが、彼らも逃げ足が速く完全制圧は困難です。 討伐部隊が引き上げると、またしても都に来襲するという繰り返しです。

 そこで、討伐部隊の将軍は、都に通じる唯一の道の両側に杭を打ち込み、それに切り落とした盗賊の首を刺しました。 何千何万の首が通行者を睨み、夜になると青白く光りました。 これには盗賊団も恐れをなして、再来は止んだということですが、このように首がずらりと両側に並んだ場所を象形して、「道」の文字になったのです。

 私は、将来北朝鮮が、相当の核兵器を開発し弾道ミサイルに搭載しようとした時点で、アメリカあるいは中国がそこを先制攻撃するのではないかと懸念します。 中朝国境線の鴨緑江に沿って、「道」の文字の由来のごとく、無数の北朝鮮兵士の死骸が転がることの無いように、始皇帝の故事が21世紀に再現されることの無いように、北朝鮮の自制を切望します。

 ベトナムは社会主義側に、ドイツは資本主義側に飲み込まれました。 結果として、ドイツの方が発展的であると歴史は証明しています。 中国の「朝鮮半島は韓国の管理下で統一されるべきだ」との見解は、珍しいことに全く正しいです。 金一族は、自らの独裁体制を崩壊させ満州の果てに消え去るか、あるいは北条高時のように荒寺の灰燼と化すか、早晩決するべきです。

 まともな北朝鮮市民にとってもその周辺国にとっても、朝鮮半島を平和な地域にするために、北朝鮮は解体処分・南北統一しなければなりません。


2.アジアの新秩序 日本の国家防衛と威厳

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の日中両首脳会談で、

(1)長期的に安定した戦略的互恵関係の推進
(2)政府間、民間分野での交流促進
(3)経済分野も含めた地球規模の課題での協力強化

に取り組むことで合意した。

 防衛大綱原案の骨子

・中国の動向は、地域や国際社会の懸念事項。
・北朝鮮の軍事的動きは地域安全保障の喫緊、重大な不安定要因。
・日米同盟を深化・発展。 米、韓、豪との多国間協力を強化。
・装備品の国際共同開発・生産が先進国では主流。
・「基盤的防衛力構想」から「動的防衛力」に転換。
・自衛隊の地理的配置を見直し、南西諸島の防衛態勢強化。 「空白地域」の島嶼部に必要最小限の部隊設置。
・国連平和維持活動(PKO)参加5原則のあり方検討。

 中国外務省の姜瑜副報道局長は12月17日、中国の軍事的台頭を「地域・国際社会の懸念事項」と記した日本の防衛大綱の決定について、「個別の国が、国際社会の代表になった気で、中国の発展に対して無責任にとやかく言う権利はない。」「中国は防衛的な国防政策をとっており、誰に対しても脅威となる考えはない。」中国の発展を通じて日本を含む世界各国は「ともに繁栄する巨大なチャンス」を得たはずだと訴えた。

 尖閣諸島を行政区域内に抱える沖縄県石垣市の議会は12月17日の本会議で、明治28(1895)年に同諸島の日本領への編入を閣議決定した1月14日を、市の記念日「尖閣諸島開拓の日」とする条例を可決した。 条例は、制定の目的を「尖閣諸島が歴史的にも日本固有の領土(である)として、より明確に国際社会に対し意思表示し、国民世論の啓発を図るため」と明記している。

 尖閣事件以降、東シナ海上空で自衛隊機に対して中国軍機がこれまでにないような接近をする例が出始めている。 日本側は「エア・ハラスメント」と呼んで分析と対策の検討を始めた。 一方、自衛隊の中国機に対する緊急発進(スクランブル)も今年度すでに44回に達し、過去5年で最多となっている。 南西諸島周辺の日中間のせめぎ合いは、海上・海中にとどまらず空にも広がっている。

 12月30日、中国軍が東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々と領有権をめぐって対立する南シナ海で、他国が実効支配する離島に上陸し、奪取する作戦計画を内部で立てていることがわかった。 管轄する広州軍区関係者が明らかにした。 現時点で実行に移す可能性は低いが、策定には、圧倒的な軍事力を誇示することで外交交渉を優位に運ぶ狙いがあるとみられる。


 ここ数ヶ月間の菅政府対中外交は、まるで「金色夜叉の芝居」です。 間貫一(はざま かんいち)が中国、富山唯継(とみやま)が日本、お宮(鴫沢宮、しぎさわ みや)が尖閣諸島と置き換えれば、尖閣諸島を恋しがり狂いたくなる中国の気持ちを表す「猿芝居」になります。

 ところが、「金色夜叉」と現実との大変な違いは、尖閣諸島は中国の許婚(いいなずけ)でも妾でも二号でもなく、有史以来、日本固有の領土であるという動かしがたい事実があります。 また、日本が富山唯継(とみやま)のごとく最後は破綻することもありません。

 「金色夜叉」では、間貫一(はざま かんいち)と富山唯継(とみやま)はマネーを楯に張り合う関係にありますが、中国は日本から安物加工生産を請け負い、年間30兆円の貿易取引をする関係です。

 すなわち中国は、無関係の人間を自分の許婚(いいなずけ)と勘違いして啖呵を切り、しかもその人間の両親とは商売を請け負って生計を立てるという、明治時代の風刺画にもならない愚作を演じているのが実態です。

 「ダモクレスの剣」の故事があります。 故事の教えるところ、所詮、剣は戦いの道具であり、教育目的であろうと、防衛目的であろうと、侵略目的であろうと、相手を威嚇し恐怖感を与えるものであることは疑いのない事実です。

 「中国は防衛的な国防政策をとっており、誰に対しても脅威となる考えはない。」とあるが、上記のような「まず勘違いありきの防衛は侵略行為」に変質します。 

 そのような勘違い国の軍事費が、過去10年間で2倍に増加したのであれば、周辺国への威嚇と恐怖感も2倍に増加するのは当然です。 「ともに繁栄する巨大なチャンス」を得たという認識は正しいが、そのために勘違いと軍備拡大が抱き合わせになるのであれば、周辺国も防衛体制を尖らせなければならないことになります。

 また、昭和54年に始まった対中ODAは累計で3兆6千億円を超え、環境保全や人材育成を中心とする無償援助と技術協力は20年度以降も継続し、日本は世界最大の中国支援国となっています。

 この数字は、360万人の犠牲者に各々100万円の補償をしたという意味になります。 確かに、1972年の日中共同声明により、中国は賠償請求を放棄するということを確約しました。 しかし、日中戦争は日本が中国に災いをもたらしたことも事実であり、相応に必要なものであると考えます。

 それについて、「個別の国が、国際社会の代表になった気で、中国の発展に対して無責任にとやかく言う権利はない。」と馬鹿な報道官は女だてらにまくしたて、感謝のかけらもないことは想定内ですが、戦後65年・3世代交代が経過して、10兆円の軍事費を計上し、「ともに繁栄する巨大なチャンス」を得たのであれば、日本は支援終了の幕引きをするべきです。

 日本が採るべきアジア新秩序体制とは、

1.日本-台湾間の海上防衛(新生命線)を日米韓共同で固め、中国と北朝鮮を北東ユーラシアに封じ込める。
2.中国に北朝鮮の後見を続けさせ、最終的に北朝鮮は解体処分・南北統一する。
3.日中交易は継続し中国が離れられなくしておきながら、中国に高金利政策による貿易収支悪化を起こさせ、輸出依存を行き詰らせる。
4.尖閣諸島以下、東シナ海の権益は勘違いの中国と一笑に付す。
5.南シナ海の争いはASEANに放任し、中国のはけ口をそちらに向けさせておく。
6.中国に対する支援を即刻中止し、ロシアとの北方領土交渉および防衛力整備に資金転用する。

 そのためにも、以下の増強対策が喫緊に必要です。

「海上保安庁」の増強

(1)海保の予算を2倍に増加する。(現在は年間1800億円でイージス艦1隻分)
(2)巡視船を200隻以上に増加し、性能向上、武装強化する。
(3)領域警備法を緊急制定する。
(4)警職法準用ではなく、海上保安庁職務執行法(交戦規定)を緊急制定する。
(5)尖閣諸島を実効支配する(職員常駐)。

「防衛力」の増強

(1)原子力空母3隻を建造、日本海・東シナ海沿岸へ配備する。
(2)原子力潜水艦8隻を建造、       〃
(3)イージス艦以下護衛隊群8隻を     〃
(4)尖閣諸島周辺海域で日米合同演習を実施する。
(5)射程距離3000kmの中距離弾道ミサイル200基を日本海沿岸に配備する。

 防衛新大綱は、まだまだ手ぬるい限りです。 勘違いの中国を覚醒させるためには、「カンタン」するような防衛力を増強しなければなりません。