校長先生とは?

 

校長先生とは?    2012年9月10日


 大阪市教育委員会は、市立学校活性化条例に基づき、平成24年度実施の校長の採用を、原則として公募により行うことを発表しました。

 これは優秀な人材の確保を目的に橋下徹市長が導入を目指したものであり、来年3月末に定年退職する小学校長約40人と中学校長約10人と同じ、計50人が募集されています。 また、民間人以外に現職教員も対象としています。

学校経営について考えます。


 昨年以来、日本の伝統芸である、工業製品を規格大量生産・販売することによる収益モデルは、ほぼ完全に行き詰りました。 当然、それにとって代わる産業すなわちグーグル社やアップル社といった知的集約を必要とする産業が日本にも興隆してしかるべきなのですが、なかなか見当たりません。

 なぜ、そのような世界をリードする産業人が日本に現れにくいかということについては、巷間多論されていますが、私は現状の学校教育にもその原因の一端があると思います。 すなわち、悪平等主義と放任主義という一見相反する状態が教育現場に並存しているということです。

 一旦固まった風土、特に公務員という変化に曝されにくい業界の風土は、大きな外圧がかからない限り容易に自壊することはありません。 現状の学校教育制度により、これまでと同様に学徒を労働者として社会に供給し続ければ、民間企業でさえも遅れをとりがちな時代には多くの損耗と犠牲を出すことは明白です。

 私は、この機会に以下の方法をもって、学校の運営方法を改革するべきであると思います。


1. あるべき教員としての精神面の改革

 私は、学校はそこで学ぶ学徒とその父兄と将来の日本のために存在するものであると思います。 日本国憲法にも国民の3大義務として教育と勤労が定められ、生産性を伴わないにも関わらず、莫大な教育投資を行っているのもそのためです。

 私は、今般の企画を構成するにあたり、朋友の小中学校教員経験者にインタビューし、現状の課題を概観しました。 以下のような事があげられます。

・授業内容についての課題は?

 学習指導要領に沿って指導せねばならず、少し追加をしようとしてもまったく逸脱できない。
 文科省作成教科書のため、指導現場に合わないことがある。 (例)算数 円の定義の教え方・実習

・生活指導についての課題は?

 ジュースを自動販売機で買うなという指導が必要であり、中学校では生徒を尾行して監視までする。

・父兄についての課題は?

 親が放任状態か、厳格に過ぎるかの両極端である場合が著しい。 親からして鍛え直さなければならないと思うことが多い。

・進学についての課題は?

 そもそも進学率が高すぎる。
 高校進学率は60%、大学進学率は30%でよい。 それ以外は職業訓練校でよい。
 通知表平均点が「3」以上でないと、高校進学の必要はない。 (例)因数分解ができない高校生が多数在籍する。
 エリート意識を持たせないようにしながら、エリートを育成することが必要である。
 なぜか教員の子弟は、幼少期からの塾通い・ハイレベル校への進学者が多い。

・現状の公務員校長ではなぜそれらの課題解決ができないのか?

 公務員は、概して保身に回ることが多いため、改革ができない。 (例)いじめ対策
 民間人なら指名解雇されるような人が、教員に残っている。
 
・民間人校長を導入することにより解決できるのか?

 教員に競争意識を働かせることができる。
 そのような、今は誰も手掛けていないシステムを作ることができる。
 
・各教員の目線から見て、民間人のマネジメント手法を導入することがどのように受け止められるのか?

 最初は反発するが、校長の権限で実行させることができる。

 このように、現場で活動する教員自身が様々な環境・課題に圧搾されているということが現状です。 私は、学校はそこで学ぶ学徒とその父兄と将来の日本のために存在するものであると言いましたが、それをサポートする教員が働きやすいように環境整備をしなければならないと思います。


2.学校経営としての経済合理的運営面の改革

 私は、学徒の塾通い負担軽減・家庭の経済負担軽減・教員の業務時間余裕の確保ひいては学校全体のレベルと幸福感の向上のため、以下の改革をしなければならないと思います。

【創設する制度】

1.関関同立等の大学個々とタイアップし、指定校制・指定成績レベル制を導入する。
2.各大学から適任の大学生・大学院生を教育実習および学力支援要員として無償派遣受け入れし、各大学に将来進学希望する学徒が指定成績にレベルアップできるよう学力強化する。
3.その大学生・大学院生の活動は、学業単位に組み込む。
4.関関同立等の大学付属高校に、指定成績レベルに応じて公立高校と同額授業料で入学受け入れする。
5.正規の教員は、基本レベルまでの学力確保と落ちこぼれを出さない補習対策およびいじめ対策等の生活指導に専念する。

 この制度により、学校の現状が外部の目に曝されることになる。 教員にも支援学生にも競争意識が働き、成果が数値化できるため、目に見える全体のレベルアップにつながる。

【学徒・家庭にとってのメリット】

1. 現在でも、特待生制度等は存在するが、そのために塾通いによる時間的・経済的負担が甚だしく、必然的に家庭の経済力による学力格差も発生している。 学校として予め制度化することにより、塾通い費用・高校受験費用が不要となる。
2.私学高校授業料も公立高校と同額となり、選択の余地が拡大する。
3.勉強時間も学校単独に平準化でき、クラブ活動にも集中できる。
4.将来の進学コースが早期に確保できる機会が拡大するため、学業へのモチベーションが高まる。
5.学習時間の融通化により、短期留学等の学習範囲を逸脱した授業を実施することも可能となる。

【受入大学にとってのメリット】

1.自前で付属中学校等の教育施設を準備する必要がない。
2.独自に教育した優秀なレベルの学徒を早期に確保でき、安定経営につながる。
3.出身学徒の裾野を広げることにより、司法試験合格者数等を増加させることも可能になり、名声評価を高めることに寄与する。
4.理工系の優秀なレベルの学徒も、国公立大学から引き戻すことができる。
5.大阪府は、国の高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」)と併せて、「私立高等学校等授業料支援補助金(以下「授業料支援補助金」)」を交付することにより、私立高等学校等の授業料の保護者負担を実質無償化、もしくは保護者負担が10万円で収まるように支援している。
 この制度に依拠しなくとも、高校授業料を下げても入学者の数と質の確保により、十分見合うものになる。


3.日本の将来像としての行動面の改革

  現在、小中学校の運動会や卒業式の場で、国旗掲揚、国歌斉唱を行うことについて逡巡する教員がいることが全国的に話題となっています。 一国の尊厳と繁栄は、経済効率のみで測るものではなく、歴史的・文化的伝統遺産なくして、郷土愛もひいては愛国心も育ちません。

 このような愚劣な議論がいまだに存在すること自体、公務員は保身に回ることが多いため改革ができないという現場の声を象徴しています。

 私は、今般の機会を通じて、精神面・経済合理的運営面・行動面の3面について、「カンタン」するために改革と学校経営を行わなければならないと思います。