いいえな
《品詞》連語。間投詞「いいえ」+終助詞「な」。
《標準語》どういたしまして
《用例》「ありがとうございました」「いいえな

いいや (「いんや」「いんにゃ」「んにゃ」とも)
《品詞》間投詞
《標準語》いいえ、いや
《用例》「いいや、そら、ちがうわ」(いや、それは違うよ)。

いえいや【言えいや】
《品詞》連語。「言う」の命令形+命令の語勢を整える終助詞「い」+命令表現の調子を柔らげる終助詞「や」。
《標準語》言えよ、言いなさいよ(「・・いや」がつく場合は、主として男性言葉)。
《用例》「ほんとのこと、言えいや」(本当のことを、言えよ)
《類例》「食えいや」(食べろよ)など、動詞の命令形+「いや」。
《補足》女性が言う場合や、ちょっと丁寧に言う場合は、「言いなれな」となる。
《参照》鳥取弁における助詞の用例

いかい【行かい】 (いか【行か】、いかあ【行かあ】とも)
《品詞》連語。動詞「行く」未然形+助動詞「い」。下記参照
《標準語》行こう(勧誘・意志)
《用例》「うちらも、行かい!」(私たちも、行こう!)。
《補足》勧誘の意味を強める場合、男言葉では「や」をくっつけて「行かいや」、女言葉では「な」をくっつけて「行かいな」とすることが多い。また、女言葉でより丁寧にいう場合には、「行きましょい」「行きましょいな」などとします。
《更に饒舌な文法的補足》「勧誘」を表わす場合、標準語では「五段活用動詞の未然形(他の活用動詞の未然形)」+「助動詞う(よう)」となります。「行く」では「未然形・行こ」+「助動詞・う」=「行こう」。フランクな会話の場合は「助動詞・う」が省略されて「行こ」でも可です。
これと同じく鳥取弁では「未然形・行か」+「勧誘の助動詞・い」=「行かい」となります。フランクな会話の場合、同様に「助動詞・い」が省略されて「行か」となります。では上記の「行かあ」は、「行か」の「か」の母音が単に伸びたのか、それとも「助動詞・あ」が別にあるのか、はてさて。
次に、丁寧な勧誘の場合ですが、行くの未然形「行き」+丁寧の助動詞・ますの未然形「ましょ」+勧誘の助動詞「う」(鳥取弁は「い」)=「行きましょう」(鳥取弁は「行きましょい」)となるわけですね。(他の活用動詞の場合については、ぢょい
《五段活用動詞の場合の類例(勧誘・意志)》
「書かい」(書こう)。「走らい」(走ろう)。「読まい」(読もう)。
「歩かい」(歩こう)。「飛ばい」(飛ぼう)。「しまわい」(終わろう)。
《参照》動詞活用表(行く)

いかさま【如何様】 (「いっかさま」「かっさま」とも)
《品詞》間投詞、副詞
《標準語》(間投詞として)ほんとうにまあ、なんとまあ。(副詞として)たいへん、非常に。
《用例》「そりゃ、いかさまきょうてえなあ」(それは、ほんとうにまあ、恐ろしいですね)。
《用例》「いっかさま!」(へえ、そりゃあまた、なんと!)。
《用例》「そら、いかさまきょうてえ話しだなあ」(そりゃあ、たいへん恐い話しだねえ)。
《補遺》「かっさま」が優勢か?
《追加情報・98/11/24》倉吉市在住のTOKUYOSHI YUSUKEさんから、「意味は良く解らないんですけど、驚いた時とかにかっさまって言うのを聞いたことがあります。どうやら年寄りが使う方言らしいです。高校の時の学園祭のネタでした」とのメールが到着(98/11/24)。

いがむ
《品詞》動詞
《標準語》ゆがむ
《用例》「おまいの姿勢、いがんどんなあ」(君の姿勢は、ゆがんでるね)。
《用例》「あの人は、真っ直ぐな人だったけど、いがんで死んだ」(あの人は、心の真っ直ぐな人だったけど、いがんで(ゆがんで・胃癌で)死んだ)。
《用例》全国的な歌だと思いますが、ハゲのある子をからかう歌がありました。
一つ二つ、ハゲがある
三つ見事な、ハゲがある
四つ横ちょに、ハゲがある
五ついがんだ、ハゲがある
六つ向こうに、ハゲがある
七つ並んだ、ハゲがある
八つ火傷(やけど)の、ハゲがある
九つここにも、ハゲがある
十でとうとう、ハゲ頭
《参照》動詞活用表(いがむ)

いかれん【行かれん】 [Thanks to Mr. 森本 拓]
《品詞》連語
《標準語》(禁止の表現)行ってはいけない
《参照》「なられん」「すられん」「行かれん」等々について

いぎ
《品詞》名詞
《標準語》(蜘蛛の巣の)糸
《セミ取り》ごんべたちは子供の頃、蜘蛛のいぎを集めて、小さいテニスラケットのような形のものを作り、それを竹竿の先につけてセミやトンボや蝶々を捕まえました。鳥を捕まえるときは、鳥もちを使用。

いけん
《品詞》形容詞かな?
《標準語》だめ、いけない、まずい
《用例》「そがなこと、したら、いけん」(そういうことをしては、いけない)。
《用例》「あれが、いけなんだがな」(あれが、いけなかったんだよ)。

いごく (「うごく【動く】」の訛り)
《品詞》動詞
《標準語》動く
《用例》「あすこで、なんか、いごいとる」(あそこで、何か動いてるわ)。
《用例》「あ、おなかの赤ちゃんが、いごいた!」「どれどれ・・」
《補遺》他動詞は「いごかす
《参照》動詞活用表(いごく)

いさぶる [Thanks to 倉吉市誌]
《品詞》動詞
《標準語》揺すぶる。揺り動かす。
《用例》「おい、ハシゴいさぶんないやきょうてえがな」(おい、はしごを揺すぶらないでくれよ。こわいじゃないか)。

いじいじがつく [Thanks to Mr. Keidou Kadowaki]
《品詞》動詞
《標準語》じれったい気持ちになる
《用例》「なんで、嫁になってごせって、よう言わんだらあかい。ほんに、見とるといじいじがつくやななあ」(どうして結婚してくれって言えないのでしょうね。見ていると、本当にじれったくてじれったくて・・)。

いじむじ 〔因幡方言〕 [Thanks to Mr. Kazusuke Yamane]
《品詞》副詞
《標準語》無理に、無理矢理に
《用例》「子供が学校に行きたないちゅうのんを、いじむじ行かせた」(学校に行きたくないというのを、無理矢理行かせた)。
《用例》「勉強がしとうないちゅうのんを、いじむじさせてもいけん思うで」(勉強がしたくないというのを無理矢理させても、駄目だと思うよ)。
《用例》「この箱でも、いじむじ詰めりゃ入りゃせんかな」(無理矢理詰めたら、入らないかな)。

いじょう 〔因幡八頭方言〕 [Thanks to Mr.西郷谷の男(八頭郡河原町)]
《品詞》副詞
《標準語》いつも
《用例》「あのもんはいじょうコンピューターつついとる」(あいつは、いっつもコンピューターをいじっている)。
《追加情報西郷谷の男さんより》前回の私の説明不足で誤解を招いてしまいました。『いじょう』の方が一般的であり、強調の意味が加わると伸ばして『いいじょう』となります。「たくさん」を強調したいときに「たあくさん」と言うようなもんです。
ということで、見出し語の位置を変えました。(97/03/01・ごんべ記)

いすぐ
《品詞》動詞
《標準語》ゆすぐ。すすぐ

いせいち (「いせーち」とも) [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》東南の風。大風。(後で大風になる恐れのある東南の風の意もある)
《参照》あいのかぜうらにしおきにしやませ

いちがいな [Thanks to Mr. Keidou Kadowaki]
《品詞》形容動詞
《標準語》一徹な。頑固な
《用例》「いちがいな人だけ、言ったって聞きならせん」(頑固な人だから、言っても聞かない)。

いちゃあ (「いたい【痛い】」の変化)
《品詞》形容詞
《標準語》痛い
《用例》「頭がいちゃあ

いっかな
《品詞》副詞
《標準語》(後に否定語を伴い)まったく・・ない、いっこうに・・ない、全然・・ない
《用例》「魚、いっかな釣れなんだ」(魚はまったく釣れなかった)。
《用例》「うちの子は、いっかな、親の言うことをきかん」(うちの子は、全然親の言うことを聞かない)。

いっしょこた (「いっしょくた」「いっしょくちゃ」とも)
《品詞》名詞
《標準語》一緒に混入すること。二種類以上のものを混在させたままの状態。ある動作の対象が二つ以上であること。
《用例》「捨てるむんもとっとくむんも、いっしょこたにしたのは、誰だいや」(捨てるものも保存するものも、一緒にしてしまったのは、誰だい)。
《用例》「あがな だらずと、いっしょこたにすんないや」(あんな馬鹿と一緒にしないでくれよ)。

いったんなんせえ【言ったんなんせえ】
《品詞》連語。
《標準語》言ってやりなさい。
《用例》「そがにい思っとんなるなら、そがにい言ったんなんせえ」(そう思っているのなら、そう言ってやりなさいよ)。
《補遺》同音異義→「行ったんなんせえ」(行ってやりなさい)
《参照》・・なんせえ

いってかす、いってかせる (「言って聞かせる」「言って聞かす」の変化)
《品詞》動詞
《標準語》教える、言って聞かせる
《用例》「これ、花ちゃんに、いってかしたろう」(これ花ちゃんに、教えてやろう)。
《参照》動詞活用表(言ってかす)

いっぺんぱん
《品詞》名詞。(副詞的に用いる)
《標準語》同時に。一気に。簡単に。
《用例》「遅出しはいけんぜ。いっぺんぱんだぜ」(遅出しはいけないよ。同時だよ)。

いで (「いでがわ」とも) [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》井手、小溝、用水路、せき【堰】

いでる (「ゆでる」の音韻変化)
《品詞》動詞
《標準語》ゆでる
《用例》「いでタマゴ、食って行けいや」(ゆで卵を食べて行けよ)。
《用例》「ちゃんといでただかいや? こら、かたあて、うまにゃあで」(ちゃんとゆでたのかい。これは固くて美味しくないよ)。

いときりば【糸切り歯】
《品詞》名詞
《標準語》犬歯、糸切り歯(標準語でも「糸切り歯」と言いますね!)
《乳歯が抜けた》乳歯が抜けると、抜けた歯が下の歯なら屋根に投げ上げ、上の歯なら縁の下に投げ入れた(なぜ上下が逆なのかは、知らない)。
そのときに唱える呪文は、「ネズミの糸切り歯と、代えてごしなれよう」。

いとしなげな
《品詞》形容動詞
《標準語》かわいそうな
《用例》「いとしなげになあ」(かわいそうになあ)。
《補遺》形容詞は、「いとしい」(かわいそう、気の毒)

いとどりこ
《品詞》名詞
《標準語》(子供の遊び)あやとり
《蛇足》網、こまざらい、はしご、アサガオ、殿さんの枕・まいかけ・電気が消えたなどなどを作って遊んだ。二人で交互に取りやこするのもおもしろい。

いなう
《参照》になう

いにがけ【往にがけ】
《品詞》名詞
《標準語》帰路のついで。帰る途中。帰ろうとする時。
《用例》「いにがけに寄ってごしなれ」(帰る途中で寄ってくださいな)。

いぬる【往ぬる】
《品詞》ナ行変格活用動詞
《標準語》(元のいたところへ)帰る、(本来の場所へ)戻っていく
《敬語表現》いんなる【往んなる】
《用例》「おれ、えらいし、いぬるわ」(僕、疲れたので、帰ります)。
《用例》「お客さん、いんなる」(お客さんは、お帰りになります)。
《用例》「いないや」(帰ろうよ)。
《用例》「いなあぜ」(帰ろうぜ)。
《用例》「いぬるで(いぬっで)」(帰るぞ)。
《用例・命令形》「いね!」(帰れ!)。「いんなれ」(お帰りになってください)。
《用例・過去形》「いんだ」(帰った)。「いんなった」(お帰りになった)。
《用例・疑問形》話者の性別、話者と相手との関係などに応じ、色々な表現になる。〔話者が男性・相手が同輩〕「いぬるか?」「いぬっだか?」「いぬっだかいや?」など。〔話者が女性・相手が同輩〕「いぬるか?」「いんなるか?」など。〔相手が目上〕「いんなるか?」「いんなはるか?」「いになんすか?」など。
《「往ぬる」と「戻る」》「往ぬる」は、話者が今いる場所から別の本来の場所へ誰かが帰って行く場合に用い、「戻る」は、話者が今いる場所へ他の場所から誰かが帰って来る場合に用いる。
《参照》もどる動詞活用表(いぬる)

いのこさん【亥の子さん】
《品詞》名詞
《標準語》どうやら全国的に「亥の子」というようだ。
《信仰》亥の子さんは、田んぼの神様である。旧暦の2月に田んぼにお入りになり、旧暦10月に田んぼからお上がりになる(ということだ)。で、旧暦の10月の亥の日(2回〜3回ある)には、田んぼからお上がりになった亥の子さんを、各家がお迎えし、豊作を感謝して餅を搗き祝う(ということだ)。各家がそれぞれお迎えした、ということは、亥の子さんは一体、何人いらっしゃるのであろうか。

いもづる
《品詞》名詞
《標準語》さつまいもの茎
《用例》「いもづる、煮たけど、食わんか」(いもづるを煮たけど、食べませんか)。

いものこ【芋の子】
《品詞》名詞
《標準語》里芋の小芋
《用例》「今日のお菜は、いものこの煮たん」(今日の弁当のおかずは、小芋の煮物)。

・・いや
《品詞》終助詞(主に男性が使い、親しい間柄にある相手に対して、気楽な気持ちで質問をするときの文末につける。また、軽い詠嘆にも使うようだ)
《標準語》・・だい、・・かい、・・なの
《用例》「あのこは、誰だいや」「花ちゃんのいとこだがな」(あの子は誰だい?)(花ちゃんの従姉妹だよ。知らなかったの)。
《用例》「まんだ、済まんだかいや」(まだ終わらないのかい)。
《用例》「よんべは、飲み過ぎていや……」(夕べは飲みすぎてねえ)。
《参照》・・え
※右の絵は「ちびりんごさん」の作品です。

いりぼし【いり干し】
《品詞》名詞
《標準語》煮干し。出しじゃこ(かたくちいわしを煮て干したもの)
《用例》「煮立ったら、いりぼしをあげて、火を止めといてごせ」(煮立ったら、煮干しをあげて、火を止めておいてくれ)。
《用例》「いりぼしちーと買あて来て、ごしなれ」「いりぼしだけで、ええ かえ」「ま、そっでええわ。入れむん、出さーかいな、ひろしきなと」「なら、持って行かーかい」(煮干しを少し、買ってきてください)(煮干しだけでいいかい)(それなら煮干しだけでいいですよ。入れ物を出しましょうか、風呂敷きでも)(まあ、持って行こうか)。
《隠れおやつ》上記のように母親に言いつけられたごんべは、いつも、まだ味の残っているうちに、少し早めにいり干しを上げ、おやつがわりにムシャムシャと食べました。

いれむん (「いれもん」とも) [Thanks to 東郷町誌]
《品詞》名詞
《標準語》入れ物。容器
《用例》「はやいれむん、持って来なれ」(早く入れ物を持ってきなさい)。
《補遺》「いれるむん」とか、「いれるの」とも言う。

いろう [Thanks to Mr. 森本 拓]
《品詞》動詞
《標準語》触わる。
《用例》「子どもがそがなもん、いろうたらいけん!!!」(子どもがそのようなものを、触わったらいけない)。・・・そがなもんって、なーんだ?

いろぐ 〔因幡方言〕 [Thanks to Mr. Kazusuke Yamane]
《品詞》動詞
《標準語》動く
《用例》「写真撮るけー、いろがれんで!」(写真を写すから、動くなよ)。
《参照》びんぼういろぎ

いわえる (ゆわえる【結わえる】の変化)
《品詞》動詞
《標準語》(紐や縄で)くくる
《用例》「割る木いわえてから、風呂に入るわ」(薪をくくってから、風呂に入るよ)。
《参照》〔因幡八頭方言〕のこだむ

いわず【言わず】
《品詞》名詞。「差別用語」。
《標準語》おし。唖者。
《メール》「差別用語です。差別用語は現存します。が、このサイトで掲載する必要性は無いと思います。」とメールが来ました。(2004/11/21)

いんごりいんごり (擬態語)(「いごいご」、「いごりいごり」、「いごいいごい」、「いんごりもんごり」とも)
《品詞》副詞・〜する
《意味》足腰の弱った老人などが、不自由にゆっくりと歩いている様。
《用例》「あんたの、おばやん、橋んとこの道、いんごりいんごり、歩いとんなっ」(あなたの家のおばあさんは、橋のところの道を、ゆっくりと歩いておられましたよ)。

いんでくる【往んで来る】 [Thanks to Mr.谷岡昌範]
《品詞》動詞
《標準語》帰ってまた来る
《用例》「忘れもんしたけえ、ちょっといんでくるわ」(忘れ物したから、ちょっと帰ってくるわね)。


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