ごんべの鳥取弁辞書「そ」


(「そら」「それ」の変化か?)〔因幡方言〕 [Thanks to Mr. 森本 拓]
《品詞》間投詞?
《標準語》はい、はいどうぞ。
《森本さんの説明》ごんべさんはこれ、わかります? 相手に何かをわたすとき、「」って言って差し出すんです。「」のときもありますね。
《用例》「ええもん持っとるがな。わしにくれえや」「ええで。」(いい物を持っているじゃあないか。わしに呉れよ)(いいよ。そら)。

《品詞》副助詞
《標準語》不確かなことを表す。
《用例》「だっ」(誰か)。「なん」(何か)。
《用例》「だっ、おらんだかいや」(誰かいないのかい)。
《用例》「なんうみゃあむん、食わしてごせいや」(何かおいしいものを、食べさせてくれよ)。

そうき (「そうけ」とも)
《品詞》名詞
《標準語》ザル
《用例》「竹ぞうき」(竹で編んだザル)。

ぞうりかくし【草履隠し】 (「ぞうり」は「じょうり」と発音していたような・・)
《品詞》名詞
《子供の遊び》それぞれの人が隠した草履(履き物)を、鬼が探す遊び(だったと思う)
《鬼の決め方》各人の草履(下駄、靴)を片方ずつ出して並べ、歌を歌いながら、履き物を順番に指さしていって、歌の最後に当たった履き物の持ち主が、鬼となります。
歌詞は、次のとおり。[midi_data]はこちら
草履隠し、ちゅうれんぼ
橋の、下の、ネズミが
草履を、くわえて、ちゅっちゅくちゅ
ちゅっちゅく、まんじゅう、誰が食た
誰も、食わない、わしが食た
表の、看板、三味線屋
裏から回って、三軒目


《補遺》昭和16年生まれの京都府綾部市出身の山口さん(旧姓大槻さん)も、小さい頃同じ歌を歌っていたそうです。ただし、「草履」のところは「下駄」とのこと。

そがして (「そがーして」「そげして」「そげーして」とも)
《品詞》接続詞。
《標準語》そして。そうして。
《用例》「あすこの信号を左に曲がってなあ、そがして、100メートルほど行きなったとこだけ。すぐ、わかりゃーぜ」(あそこの信号を左に曲がって、そして、100メートルほど行ったところですよ。すぐわかりますよ)。

そがしょ、そがしょう
《標準語》そうしよう
《用例》「うちも、そがしょう」(私もそうしよう)。
《参照》どがしょ

そがだあぜ [Thanks to Mr.谷岡昌範]
《品詞》連語。「そが」+「だあ」+「ぜ」
《標準語》そうだよ、そのとおりだよ
《用例》「そがだあぜ、お父さんの言いなったとおりだわいや」(そうだよ、お父さんのおっしゃったとおりなんだよ)。

そがな、そがいな、そげな
《品詞》形容動詞の連体形
《標準語》そんな、そのような
《用例》「そがなことすっだかだらずが・・・」(そのようなことをするのか。この馬鹿が・・・)。
《用例》「そげな風(ふう)だ」(そのような話だ)。
《用例》「そがなもん、もうええ」(そんな物は、もう必要ないですから)。
《用例》「そげにおそうまで起きとらあいけんが」(そんなに遅くまで起きていてはいけないわ)。
《用例》「そがなとこーおっと、あぶにゃあぞ」(そんなところに居ると、危ないよ)。
《用例》「そがなこたぁ、ありゃあせんわいな」(そんなことは、ありゃしませんよ)。
《用例》「そがなこた、ないわいや」(そんなことはないよ)。
《用例》「そがなこた、なからあぜ」(そんなことは、ないでしょうよ)。
《用例》「きんにょうの新聞に、そがなや〜なこと書いてありましたぜ」(きのうの新聞にそのようなことが書いてありましたよ)
《用例》「うち、別れた……」「そがなか」(私、彼と別れたの)(ふーん、そうなんだ)。
《参照》鳥取弁におけるこそあど体系

そがなん (「そがな」+「もの」の変化)
《標準語》そんなの、そのような物
《用例》「そがなん投げちゃいなれ」(そんな物は、捨ててしまいなさい)。
《用例》「そがなん、どこで貰ってきなっただ。もどいてきなれ」(そんなものどこで貰ってきたの。返してきなさい)。
《参照》あがなんこがなん鳥取弁におけるこそあど体系

そがに、そがいに、そげに
《品詞》形容動詞の連用形
《標準語》そんなに、そのように、そんなふうに
《用例》「その服、そがにすっだか、ちいと高いなあ」(その服はそんなにするのかい。少し高いね)。
《用例》「結婚って、そがいにええもんと、違います」(結婚って、そんなにいいものと、違いますから)。
《参照》鳥取弁におけるこそあど体系

そがにい (「そうにい」とも)
《品詞》副詞。「こそあど」の中称。
《標準語》そういう風に。
《用例》「これ、どがにいするぅ? こがにいでええかえ?」「そがにいは、いけんわい。あがにいしなれ」(これ、どういう風にするの? こういう風でいい?)(そういう風にはだめだよ。ああいう風にしなさい)。
《補遺》近称は「こうにい、こがにい」、遠称は「ああにい、あがにい」、不定称は「どうにい、どがにい」
《参照》鳥取弁におけるこそあど体系

そこいら
《品詞》代名詞
《標準語》(時間的に・場所的に)そのへん、そこら
《用例》「そこいらで、 たばこしょう」(そのあたりで、休憩しよう)。
《用例》「そこいらに、置いといて ごせ」(そのへんに、置いといてくれ)。
《補遺》「こそあど」で、近称の「ここいら」、中称の「そこいら」、不定称の「どこいら」はよく使いますが、遠称の「あこいら」はあまり使わないようです。
《参照》ここいら

そこべる [Thanks to Mr. 尾崎憲治(大栄町出身)]
《品詞》動詞
《標準語》失敗する。
《用例》「あぁ、そこべった!」(あ、失敗した)。
《用例》「きんにょうのテスト、そこべった、追試だがな」(昨日のテストは、失敗したから追試だよ)。
《用例》「そがなことでそこべら、いけんわいや」(そんなことでどじをふんだらいけないよ)。
《用例》「おれ、にょうばのこんことで、そこべったこたあ、にゃあ」(僕は、女性問題で失敗したことはない)・・ほんまかいな。

そそね (「そさね」ともいうようだ) [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》うたた寝。仮寝
《用例》「そそねしとって、風邪ひいたがな」(うたた寝をしていて、風邪をひいてしまったよ)(馬鹿は風邪をひかないのにねえ)。
《参照》ごろねとの違いはあるかな?

そっでも
《品詞》接続詞
《標準語》それでも
《独り言》ひょっとして「そっでも」は標準語かも知れない。
《類語》「あっでも」(あれでも)。「こっでも」(これでも)。
《用例》「そっでも、地球は動(いご)いとっだ」(それでも地球は動いている)。
《用例》「そっでもうち、嫁さんに行きたい」(それでも私、結婚したい)。


そでなし【袖無し】 [Thanks to Mr. Keidou Kadowaki]
《品詞》名詞
《標準語》ちゃんちゃんこ

そら【空】 [Thanks to Toratakekoさん]
《品詞》名詞
《標準語》自分の家の位置より高い場所を言う。「そらね」「そらの畑」などは、自分の家にあっては特定の家・畑を指す場合がほとんどであろう。
《用例》「そらの叔母さん、何しとんなる だらあか?」(この家より山の斜面の上の方に住んでいる叔母さんは、何をしておられるんでしょうね?)
《用例》「そらに行ってくっけ」(わが家より高台にある家に行ってくるからね)
《用例》「あしたは、そらの畑に行かい」(明日は、わが家より高いところにある畑に行こう)

《メール到着》以下が、この「そら」を教えてくださったtoratakekoさんからのメールです。
Subject: 三朝で使われていました・・・・
Date: Wed, 31 Aug 2005 11:36:18

ごんべさま

先日から、面白おかしくサイトを読ませていただいている、倉吉在住のtoratakekoです。
父(三朝町出身)が生前使っていた言葉に『そら』という言葉があります

父は『そらのおばさん』と使っておりました
三朝の山奥で暮らしていた父の家の上(山の斜面の父の家より上)に住む叔母のことを こう呼んでおりました

「空」ということかなぁ・・・と漠然と思っていますが・・・・。

そら、そらあ、そりゃ、そりゃあ
《品詞》連語。代名詞「それ」+係助詞「」の融合
《標準語》それは
《用例》「そらおまいいけんがな」(そりゃあ、おまえがいけないよ)。
《参照》あらこら

それよか
《品詞》連語。代名詞「それ」+格助詞「よか」
《標準語》それよりか、それよりも
《用例》「それよか、これがええ」(それよりか、これがいいよ)。

そろいそろい [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》副詞
《標準語》そろそろ、ゆっくり、徐々に
《用例》「えらいけ、そろいそろい歩かいや」(疲れるから、ゆっくり歩こうよ)。

ぞんぞがはしる [Thanks to 鳥取大学付属中学ホームページ]
《品詞》動詞
《標準語》寒気がする。身ぶるいがする。(恐ろしくて)背筋が寒くなる。 ぞっとする。不愉快になる。
《補遺》〔東伯耆方言〕では、「ぞんぞがつく」とも言うようです。
《情報到着》西郷谷の男さんより。〔因幡八頭方言〕では、『ぞんぞがたつ』とも言います。寒いときばかりでなく、恐ろしいときにも使えます。

そんな [Thanks to 中西啓二さん(赤碕町出身)]
《品詞》人称代名詞。
《標準語》その人。人を指す際の多少敬意のこもった表現。〔赤碕町以西で使用か?〕 《参照》こんなあんなどんな
《補遺》中西さんは現在広島在住ですが、この表現は広島でも使われているそうです。(ごんべ独白:東伯町では聞いたことがなかった)


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