・・な (「・・にゃ」「・・にゃあ」とも)
《品詞(1)》否定・打消しの助動詞「ん」の仮定形
《標準語》・・しなければ、・・でなければ
《用例》「書かいけん」(書かなければいけない)。
《用例》「はや行か、遅れるがな」(早く行かないと、遅れるよ)。

《品詞(2)》終助詞。次の「な」は終助詞で、文末について命令形表現をやわらかくしたり、勧誘の意を示したりする。ほとんど標準語ですね。
《用例》「てごして、ごしなれ」(手伝ってくださいな)。
《用例》「まあ、やってみましょい」(まあ、やってみましょうよ)。
《参照》鳥取弁における助動詞の用例鳥取弁における助詞の用例

・・なあ、・・な
《品詞》間投助詞。軽い詠嘆、念押しを表す。「・・だ」とともに鳥取弁特有の文末詞
《標準語》・・ね、・・ねえ
《用例》「ええ天気ですなあ」(いい天気ですねえ)。
《用例》「花ちゃん、大きなんなった」(花ちゃん、大きくなられましたねえ)。
《用例》「もうじき昼ですなあ」(もうすぐお昼ですね)。
《用例》「ぬくなった」(暖かくなったね)。
《用例》「この本は、おまいのだなあ」(この本は君のだねえ)。

なあなる
《品詞》動詞
《標準語》無くなる
《用例》「本が、なあなった。誰ぞ知らんかあ」(本が、無くなった。誰か知らないか)。
《用例》「小遣いがなあなったけ、映画にゃ行けん」(小遣いを使ってしまって無くなったから、映画には行けない)。
《参照》動詞活用表(なあなる)

・・ないな
《品詞》終助詞
《標準語》・・ね
《用例》「今日ないな、がっこでないな、花ちゃんがないな、男ん子とないな、喧嘩してないな、勝ちなっただぜ」(今日ね、学校でね、花ちゃんがね、男のことね、喧嘩してね、勝ったんだよ)。

・・ないや
《品詞》連語。禁止の終助詞「な」+軽い命令の終助詞「いや」
《標準語》・・するなよ、・・しないでくれよ
《用例》「はや、走るないや」(速く、走らないでくれ)。
《用例》「そがに怒るないや」(そんなに怒るなよ)。
《参照》鳥取弁における助詞の用例

なからあ
《品詞》連語。形容詞「ない」の未然形「なから」+推量助動詞「あ」
《標準語》ないだろう。
《用例》「そがなこたなからあ」(そんなことはないだろう)。
《用例》「えりゃあ事故だったけ、生きとるむんはなからあぞい」(ものすごい事故だったから、生存者はいないだろう)。

なぐさむ 〔因幡方言〕 [Thanks to Mr. Kazusuke Yamane]
《品詞》動詞
《標準語》ぼやーっとしている、遊んでいる、集中できないでいる、為すべきことをしないでいる
《用例》「なぐさんどらずに、はよう飯を食わんか」(ぼんやりしていないで、早くご飯を食べないか)

なげーする 〔因幡方言〕 [Thanks to Mr. Kazusuke Yamane]
《品詞》動詞
《標準語》仕事を片づけてしまう、するべきことをしてしまう
《用例》「もうばんげになったなげーしようかなあ」(もう夕方になったから、仕事を片づけようか)。

なげる【投げる】
《品詞》動詞
《標準語》捨てる
《用例》「2年の時の教科書、うち投げちゃった」(2年生の時の教科書は、私、捨ててしまったわ。どうしよう)。
《用例》「このパソコン、投げちゃいなれ。うちが拾うけえ」(このパソコン捨ててしまいなさいよ。私が拾うから)。

なして [Thanks to 中西啓二さん(赤碕町出身)]
《品詞》副詞。
《標準語》なぜ、どうして。どんな理由で。(どんな理由でこういう事態が生じたのか、判断に苦しむ主体の心のうちを表す)
《用例》「なしてなしてうちなら、いけん?」「なしても」(なぜ、なぜ私では駄目なの?)(なぜでも)
《用例》「なして そがなこと しなっただ」(どうしてそんなことをなさったのですか)。
《補遺……中西さんより》「なして」は、私(=中西)が以前転勤で住んでいた島根県出雲地方でも使われています。

・・なと、・・なっと
《品詞》助詞
《標準語》せめて・・・くらいは
《用例》「お茶なっと、飲んで行ってごしなれな」(せめてお茶くらいは、飲んで行ってくださいよ)。
《用例》「時間があるけ、本なと読んで待っとらいや」(時間があるから、本でも読んで待っていようよ)。
《参照》鳥取弁における助詞の用例

なにって [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》副詞
《標準語》とても、すこぶる、非常に
《用例》「昔あるところになあ、なにってきれえなお姫さんがおんなっただって・・。むかしごっぽり」(昔あるところに、とても美しいお姫様がおられたそうです。めでたしめでたし)。
《アクセント》なって

・・なはる
《品詞》助動詞
《標準語》(敬語的表現)・・なさる。「・・なる」より丁寧。
《用例》「まあ、お茶なと飲みなはれな」(まあ、お茶でも飲んでください)。
《用例》「よう来なはったなあ」(よくおいでなさいました)。
《活用》「なはる」の活用は、次表のとおりです。

未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
なはら-んなはっ-たなはるなはる-ときなはら
なはりゃあ
なはれ

なべすけ [Thanks to 泊村誌]
《品詞》名詞
《標準語》なべや釜を置く木や藁の敷物

なまける
《品詞》動詞
《標準語》ふざける
《用例》「この子は、ようなまけっ」(この子はよくふざけるんで、困るんですよ)。
《用例》「こがなとこで、なまけら、いけん」(こんなところで、ふざけたらいけません)。
《用例》「ごんべ!、なまけんな!」(こんべ、ふざけるな!)。
《参照》動詞活用表(なまける)

なら
《品詞》接続詞
《標準語》(前の叙述の内容に対して、話者が自己の考え・判断を述べるときに用いる)そういうわけなら。そうであるなら
《用例》「なら、おまいやって見せいや」(それなら、君がやってみせろよ)。
《用例》「なら、奈良に行かい」(それなら、奈良に行こう)。
《用例》「なら、さいなら」(それでは、さようなら)。
《用例》「ならうち、やめるけえ」(それなら、私は、やめますから)。
《用例》「なら、あんたが、メダル取ってみなれな」(そういうんなら、あなたがメダル取ってみなさいよ)。

なられん [Thanks to Mr. 森本 拓]
《品詞》連語
《標準語》(禁止の表現)なってはいけない
《参照》「なられん」「すられん」「行かれん」等々について

・・なる
《品詞》助動詞
《標準語》(敬語的表現)・・なさる。「なはる」のほうがより丁寧。
《用例》「先生が、歌いなる」(先生が、歌われる)。
《用例・過去形》「先生が、歌いなった」
《用例》「お客さんが、挨拶しなる」(お客さんが、挨拶をなさる)。
《用例・過去形》「会長さんが、挨拶しなった」(会長が、挨拶をなさった)。
《活用》「なる」の活用は、次表のとおりです。

未然形連用形終止形連体形仮定形命令形
なら-ん
なろ-う
なっ-たなるなる-ときなら
なりゃあ
なれ
《備考》因幡方言では・・んさる
《参照》鳥取弁における助動詞の用例

なるい (形容詞)
《品詞》形容詞
《標準語》平らだ。傾斜が緩やかだ
《用例》「あの、なるうなっとるとこが、キャンプ場だ」(あの平たくなってるところが、キャンプ場だよ)。
《用例》「土をなるしてから、種を蒔きなれ」(土を平らにしてから、種を蒔きなさい)。
《補足》「なる【平】」は、平坦な場所。
《反対語》「さがい」(傾斜が急だ)。

・・なれ、・・なはれ (助動詞「なる」、「なはる」の命令形)
《品詞》助動詞
《標準語》・・しなさい、・・してください
《用例》「うちに、来なれ」(私の家に、いらっしゃい)。
《用例》「昔話してごしなはれ」(昔話をしてください)。
《用例》「シートベルトを、しなれな。スピードを、落としなれな」(シートベルトをしなさいな。スピードを落としなさいな)。
《蛇足》「・・なれ」は、「・・ない」に変化しつつあるようだ。「うちげに、来ないな」のように。「・・なはれ」は最近の若者では、あまり聞かない。
《参照》なるなはる

・・なんせえ
《品詞》連語。
《標準語》(動詞の連用形に接続して)・・しなさい。
《用例》「そのホームページは、すけべだけ、やめときなんせえ」(そのホームページは、アダルトものですから、見るのはやめておきなさい)。
《用例》「いうこと聞かん子は、叱んなんせえ」(言うことを聞かない子は、叱りなさい)。
《用例》「それ買いなんせえ」(それを買いなさい)。

なんぞ【何ぞ】 [Thanks to Mr. Keidou Kadowaki]
《品詞》代名詞「なに」+助詞「ぞ」の転
《標準語》何か
《用例》「なんぞ食うもん、ないかえ」(何か食べる物はないですか)。
《用例》「花ちゃんの土産になるやなもんが、なんぞにゃーだらーかいなあ」(花ちゃんへの土産になるような物が、何かないでしょうかねえ)。

なんぞかんぞ [Thanks to Mr. Keidou Kadowaki]
《品詞》名詞、副詞。(代名詞「なに」+助詞「ぞ」+「?」+助詞「ぞ」の転)
《標準語》いろいろ。何やかや
《用例》「明日はなんぞかんぞ買いに行かにゃいけん」(明日はいろいろ買物に行かなければいけない)。

・・なんだ
《標準語》(動詞の未然形につけて過去の否定を示す)〜しなかった。
《用例》「行かなんだ」(行かなかった)
《用例》「言われたやに、せなんだ」(言われたようにしなかった)。
《用例》「その番組は、見なんだわ」(その番組は、見なかったよ)。
《補遺》最近の若者は、「結局、読まんかった」のように、「・・んかった」の方をよく使う(らしい)。

なんだいや [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》連語。「なん」+「だ」+「いや」
《標準語》〔男性語〕なんですか。〔女性語〕は「ないだいな」

なんちゅう (「なんっちゅう」とも)
《品詞》連語。「なん」+「と」+「いう」の変化。
《標準語》なんという
《用例》「なんちゅうだらずだいや、おまいは」(なんという馬鹿なんだ、おまえは)。
《用例》「なんちゅう花だえ、これは」(何という花ですか、これは)。

なんなと
《品詞》不定称指示語「なん」+助詞「なと」。
《標準語》なんなりと、なんでも
《用例》「なんなと、言ってごせ」(なんなりと言ってくれ)。
《参照》鳥取弁における助詞の用例

なんぼ
《品詞》名詞・副詞
《標準語》(疑問文に用いて)、いくつ(個数、年齢)、いくら(値段)
《用例》「花ちゃんは、リンゴなんぼ欲しい?」(花ちゃんは、リンゴ何個欲しい?)。
《用例》「花ちゃんは、今年でなんぼになんなっただ」(花ちゃんは今年で、何歳になったのですか)。
《用例》「このリンゴは一つ、なんぼだえ」(このリンゴの値段は、一ついくらですか)。

なんも
《品詞》副詞
《標準語》何も
《用例》「なんもありゃせん」(何もない)。


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