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《参照》
「から」と「エソ」
韓国語(朝鮮語)との比較研究やってます。カツといいます。
この言語の日本語との類似点は挙げればきりがありませんが、標準語にはない鳥取弁との面白い類似点を見つけました。といっても既に定説になっているのかも知れませんし、ごんべさんもご存知のことかもかもしれませんが。
鳥取弁の「から」が動作の行われる場所を表す「で」の意味で用いられるというのは全国的に有名ですね。このことは僕も随分前から知っていました。でも実際に鳥取の方が使うのを聞いた時(兵庫の但馬地方の方も使いますね)、かなり違和感を感じましたね。
「今日の飲み会の場所はどこやったっけ?」
「あー、白木屋からやるらしいよ」(特に白木屋を贔屓してる訳ではありません。たまたま思いついたので)
こんな会話を聞いた時、普通はどうしても移動する場面をイメージしてしまって、今日は一体何次会までやるつもりなんだって思ってしまいますよね。
ところが、韓国語にも鳥取弁の「から」とおなじように「動作の行われる場所」と「基点・経過点」の両方を表す格助詞があるんです。
それが「エソ」です。
「ハッキョ エソ コンブハムニダ(学校 で 勉強します)」
「ハッキョ エソ トラワッスムニダ(学校 から 帰って来ました)」(韓国語の片仮名表記にはかなり無理がありますが)
面白いでしょ?時には前後の文脈から判断しなければならないこともあります。それは鳥取弁でも同じですよね。
「ハッキョ エソ タルリムニダ(学校 でorから 走ります)」
初めてこの「エソ」を学んだとき、複雑やなー、こんなんとっさに判断でけへんでーと頭を抱えました。その時、そういえば・・・と鳥取弁の「から」を思い出したんです。全く一緒やないかと、少し感動しながら、日本人にも使いこなせるのかと少し自信が持てたんです。
今では、この「エソ」はすっと頭の中に入ってきます。だから鳥取弁の「から」にもほとんど違和感を感じませんね。動作の行われる場所であろうと、出発した場所であろうと、通過する場所であろうと(もちろん終了点「まで」に相当する助詞は別にありますが)、場所に着目したというところに、韓国人(朝鮮人)と鳥取人の発想の類似があるんだと思います(ちなみに韓国語では時間の基点を表す「から」に相当する格助詞は別にあります)。
やはり言葉は、文化や生活習慣、気候の影響などから生まれるので、それらが似ている地域では同じ発想をするということも考えられますし、同じような発音になるということもあるのではないでしょうか。だから細かい部分、つまり両国の方言を見ていけば、面白い類似点がもっと発見できるかもしれません。