おいこ (「おいこー」とも)
《品詞》名詞
《標準語》物を入れて背負うカゴ
《用例》「おいこーしょーて、どこ行きなっだえ?」「・・・」(籠を背負って、どこにいらっしゃるのですか?)(ほっとけ!)。
《ごんべの記憶》ごんべが4、5歳の頃、言うことを聞かなかったりすると、母親は「おいこーのオッツァンに連れていんでもらうじょい」と、ごんべをおどしていました。おいこーのオッツァンは、子供を貰っておいこーに入れて帰り、サーカス(!)に売り飛ばすのだということでした。これは非常に恐かった。
母親のおどし方があまりにも真剣だったとき、本当においこーのオッツァンに売り飛ばされると思って、朝から晩まで縁の下に隠れていたこともありました。自分を探している家族の声は聞こえていましたが、4、5歳でも親を信じれなくなるときがあったわけです。平成9年3月は、その母親の一周忌の法事。

おう【負う】
《品詞》動詞
《標準語》オンブする。背負う。
《用例》「あすこの、あこ負うとんなるのは、誰だいな」(あそこの、赤ちゃんをおんぶしておられるのは、どなたですか)。
《なんと!》むかし、子供の頃、呼んでも返事もしない仲間を、次のように大声で囃し立てたものです。よくもまあ!
花ちゃん、花ちゃん、言ったって、返事が無い。
よんべの夜中に、ムコ(対象が男子の場合は「ヨメ」)とって。
あこができたら、負わしてよう。
その誕生にゃあ、呼んでよう。
たけ(茸)、白たけ(茸)、黒××××。

××××には、女性のsexual-organの名称が方言で入ります。 大声でここまでやられると、そりゃもう、恥ずかしいものですから、「やめなれな」「やめてごせいや」と囃されている側が言ったりしておしまいです。 大声で「××××」と口にする快感のようなものがありました。 子供はもう、いつの時代もスケベで残酷。

《またまた!》呼んでも相手が返事をしない場合には、上記のようにしましたが、では、相手が返事をした場合はどうするか。悪ガキ達はその返事の内容により、対応を変えてはやしました。
返事が「うん」の場合→「ウンコロモチにひっついた」(馬糞・牛糞にひっついた)
返事が「はい」の場合→「ハイカラにょうばに飛びついた」(ハイカラな女に飛びついた)
返事が「べー」の場合→「ベーベのチンコ舐めた」(子牛のオチンチンをなめた)
《参照》きゃある動詞活用表(おう)

おうじょうこく【往生こく】
《品詞》動詞
《標準語》苦労する。困る。困り果てる。
《用例》「今日は会社で、往生こいた」(今日は会社で苦労したよ)。
《補遺》同じ意味で、「おうじょうする」も使う。

おおいい【多いい】 [Thanks to 中西啓二さん(赤碕町出身)]
《品詞》形容詞
《標準語》多い。
《アクセント》
《補遺……中西さんより》「おおい」のように、最初の「い」にアクセントがあります。これは、赤碕弁など東伯方言独特のものではなく、私の知る限りでは中国地方一帯で使われているように感じます(「おいい」(同じく最初の「い」にアクセントがある)を使う所もあります)。もちろん広島でも使われています。東京では「多い(おおい)」(最初の「お」にアクセントがある)を使います。「おおいい」が方言だということを知らない中国地方のネイティブ・スピーカーは「おおいい」のではないでしょうか? かくいう私も大学進学で東京で暮らし始めたころ、「おおいい」を使って、東京生まれのやつに笑われました。

おおさあら
《品詞》名詞
《子供の遊び》お手玉
《補遺》「おさらこぶ」あるいは単に「こぶ」とも言っていた。
《お手玉歌》こんな歌を歌いながら(これは八橋地方のだけど、長文ごめん)。
おひとつ落としておさら おふたつ落としておさら おみんなおさら
お手しゃみおさら お手ばさみおさら おちりんこおさら
ひよ鳥ひよ鳥右左 中切ってつまよせ さらりと手つきしろつきおさら
お手っぷしおさら しいるとんきちおさら お手ばたきおさら
小さい橋くぐれ 大橋くぐれおさら さらりととってどれじゃいな
おひとつやにかつけ おふたつやにかつけ おみやにかつけ
およやにかつけ おいやにかつけ おむやにかつけ
おなやにかつけ おややにかつけ おこやにかつけ
おとやにかつけおさら きれたかしょ きれんかしょ きれたいな

おおばえ
《品詞》名詞・〜する
《標準語》大騒ぎ
《用例》「なに、そがにおおばえしとんなるだいな」(何をそんなに大騒ぎしておられるのですか?)。
《参照》ばえる動詞活用表(する)

おがく [Thanks to Mr. Kazusuke Yamane]
《品詞》動詞
《標準語》〔因幡方言〕(1)ごそごそかき乱す。ごそごそかき回して探す。〔東伯耆方言〕(2)こたつや火鉢の炭火などをかき回す。
《用例》「そこの箱をおがいてみーや。何ぞええもんがあるかしらん」(そこの箱の中身をひっくり返して探してごらん。何かいいものがあるかもしれない)
《用例》「こら! 机をとろいとるのに、おがくないや」(これ、机を片づけたのに、乱すなよ)
《Yamaneさんの補遺》麻雀パイをかき混ぜる動作が「おがく」でしょうか。また、濁り酒の沈殿をかき混ぜるのも「おがく」です。

おかしげな
《品詞》形容動詞
《標準語》おかしな、奇妙な、変な
《用例》「よんべ、おかしげなおっつあんが歩いとったさあなで」(ゆうべ、変なおじさんが歩いていたそうですよ)。

おかやん
《品詞》名詞
《標準語》お母さん

おきにし [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》西北の風。冬から春にかけて吹く。
《補遺》秋に吹く西北の風は、「うらにし」という。
《参照》あいのかぜいせいちうらにしやませ

おくらかす【遅らかす】
《品詞》動詞
《標準語》遅らす。遅らせる
《用例》「時計を遅らかいたんは、だっだあ?」(時計を遅らせたのは、誰だい)。
《用例》「人が集まらんけ、始めるのちいと遅らかすわあ」(人が集まらないから、開始を少し遅らすよ)。

おごりょんさん (「お御寮さん」の転) [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》良家の新婦、主婦を敬っていう語。(もう死語だろうなあ)

おさい【お菜】
《品詞》名詞
《標準語》おかず
《用例》「弁当のおさい、何がええだ」「あごだんご」(弁当のおかずは、何がいい?)(あごだんご)。
《訂正》「おさい」は、弁当のおかずのときだけで、ほかは「おかず」を使う・・・んだって。

おじやん
《品詞》名詞
《標準語》おじいさん

おせ【大兄】
《品詞》名詞・〜する
《標準語》大人(おとな)。年長者
《用例》「おせだけ、来なれって」(大人だけ、来てくださいって)。
《用例》「おせする」(大人になるまで育てる)。
《用例[Thanks to Mr.西郷谷の男(八頭郡河原町)]》「われもおせになったなあ」(おまえも大人になったなあ)。最後に甥に会ったのは彼が小学生のときだったが、今年(平成9年)の正月に顔を会わせたら高校生になっていた。
《応用[Thanks to Mr.西郷谷の男(八頭郡河原町)]》応用としては『おせこく』がある。「わあ何おせこきょうおるだい」(お前何を偉そうにしているんだ)。
ちなみに部落の総事(そうごと)への参加資格(一人前扱い)を言うときに「十四、六十(じゅうし、ろくじゅう)おせ仲間」と言う(この場合の年齢は数え年)。

おせらしい【大兄らしい】
《品詞》形容詞
《標準語》大人びている、子供っぽくない
《用例》「花ちゃんは、おせらしいなったなあ」(花ちゃんは、大人びたねえ)。

おぞい
《品詞》形容詞
《標準語》賢い
《用例》「おまいは、おぞい、ええがな」(君は、賢いから、いいだろうよ、ふん!)。

おそらかす【怖らかす】
《品詞》動詞
《標準語》怖がらせる、驚かす
《用例》「怖らかしたら、いけん」(怖がらせたら、いけないわ)。
《参照》動詞活用表(おそらかす)

おちゃあ (代名詞「うち」+係助詞「は」の変化) [Thanks to Ms. Kumiko Tokumaru ]
《標準語》(主に女性語)私
《用例》「おちゃあ、知らん」(私は、知らないわよ)。

おちゃあきゃあ [Thanks to Ms. Kumiko Tokumaru ]
《標準語》(主に女性語)私はね、あのね
《用例》「おちゃあきゃあ、何にも知らんと、寝とった」(私はね、あのね、何にも知らずに寝ていたのよ、惜しいことしたあ)。
《蛇足》「きゃあ」は、強調を表わす。
《参照》きゃあ

おとこにょうば
《品詞》名詞
《標準語》(やや差別的表現か)男のような(性格の)女
《蛇足》最近はほとんど使われていないであろう。
《参照》にょうばおとこ

おとつい
《品詞》名詞
《標準語》おととい、一昨日
《用例》「花ちゃん、いつ戻んなった?」「おとついの、ようさ」(花ちゃん、いつ帰られたのですか)(おとといの、夜です)。

おとどい
《品詞》名詞
《標準語》兄弟、姉妹
《用例》「わかれ家おとどいが、あんたに会いちゃあって、来とった」(分家の兄弟が、あなたに会いたいといって来ていたよ)。
《推理》弟(おとと)+兄(え)→おととい→おとどい

おとやん
《品詞》名詞
《標準語》お父さん

おとよりあい【乙寄合】 [Thanks to Mr.谷岡昌範]
《品詞》名詞
《標準語》年度末最後の寄合(会合)。おと【乙】は末、おしまいの意。
《用例》「おとよりあいをあさっての晩に、公民館でしますけ、集まってごしなれ

おとり 〔因幡方言〕 [Thanks to 鳥取大学付属中学ホームページ]
《品詞》名詞
《標準語》弟

おなかじ [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》名詞
《標準語》うじ虫

おなめ
《品詞》名詞
《標準語》雌の牛、牝牛
《反対語》雄の牛、牡牛は「こって

おばやん
《品詞》名詞
《標準語》おばあさん

おひめさん
《品詞》名詞
《標準語》(昆虫。亀の甲形・六角形の形をした虫で、いやな臭いを出す)亀虫
《記憶》他の家でのことは知りませんが、昔、ごんべの家では、亀虫が見つかると、「おひめさんええにょうば。てんと虫、へんなにょうば」(亀虫さんは、美人ですよ。てんとう虫は、ぶすですよ)と節をつけて歌いながら、亀虫を戸外へおっぱらったものです。そう唱えれば、亀虫は自分が誉めてもらっていると思って、いい気分になって、いやな臭いを出すのをついつい忘れるとのことでありました。ときどき、へそ曲がりの亀虫がいて失敗しましたけど。
《補遺96/11/3》徳丸さんちの「くみこらむ」の「鳥取県中部おもしろ方言集」で、かめむしの方言は「はっとうじ」となっています。ごんべは目下、記憶を掘り返しているところです。とすると「おひめさん」は、ごんべ方言ということになる・・。
《補遺97/3/9》「へこきむし」「へえふりむし」とも言うようです。「おひめさん」は、どうやらボツの雰囲気。

おぶらかす [Thanks to Mr.谷岡昌範]
《品詞》動詞
《標準語》驚かす
《用例》「ここに隠れとって、花ちゃんをおぶらかいたらい」(ここに隠れてて、花ちゃんを驚かしてやろうよ)。

おまい (同輩に対して)
《品詞》代名詞
《標準語》きみ、おまえ
《用例》「おまいの顔、きちゃにゃあ」(君の顔は、汚いよ)。
《用例》「ブルータス、おまいもかいや!」(ブルータス、お前もか!)。

おまいげ (「おまいね」とも。)
《品詞》代名詞「おまい」+名詞「げ」
《標準語》君の家、あなたの家
《用例》「おまいげにゃあ、テレビがたった1つ」
《用例》「おまいげの犬の名前は、べんご」
《参照》うちげ

おまいだち (同輩・目下に対して使う。「おまいらち」とも)
《品詞》代名詞「おまい」+「だち」
《標準語》きみたち、おまえたち
《用例》「おまいだちの親の顔が見ちゃあわ」(おまえらの親の顔が見たいもんだ)。

おもて【表】 [Thanks to 倉吉市誌]
《品詞》名詞
《標準語》床のある部屋。客間
《用例》「お客さんが来なるけ、おもてしやけといてごしならんか」(お客さんがいらっしゃるから、客間を整理整頓しておいてくださいませんか)。

おやき
《品詞》名詞
《おやつ》くず米を粉にして練り、円盤状の形にして焼いたもの。ごんべの家では、昭和30年頃にはほとんど作らなくなってしまった。

おやこ
《品詞》名詞
《標準語》親戚、親類
《用例》「あんねは、遠いおやこ」(あの家は、遠い親戚です)。
《用例》「花ちゃんとうちは、おやこなあ」(花ちゃんの家とごんべの家は、親戚だもんね)(それでどがしたん?)
《アクセント》おこ。(親子の場合は、やこ)

おる【居る】
《品詞》動詞
《標準語》いる、存在する、場を占める
《用例》「橋の上に、犬がおる」(橋の上に、犬がいる)。
《参照》動詞活用表(おる)

おろたえる [Thanks to 東伯町誌]
《品詞》動詞
《標準語》うろたえる

おん (「おんた」とも)
《品詞》名詞
《標準語》(家畜・虫などの)おす【雄】
《反対語》めん(「めんた」とも)。

おんなる【居んなる】
《品詞》「居る」の連用形+尊敬・丁寧の助動詞「なる」
《標準語》居(お)られる、いらっしゃる
《用例》「お父さん、おんなるかな?」(お父さんは、いらっしゃいますか?)。
《参照》動詞(居る)活用表鳥取弁における助動詞の用例


ご意見、ご感想(こがなんもあるがな・これは違うがな・こがなんはいらんがななどなど)はこちらへ

このページのトップへ