＜おばさん２＞
あれ！ なんだえ〜！ 冷たいむんが もう無いでないだかえ〜！
（あれ、どうしたんですか！ 冷たいものがもうないのではないですか？）
ほんに どがで遠慮しなっだいな！ ほんに 気がわりいぜ！
（ほんとうに、なぜ遠慮なさるんですか！ ほんとうに、気になってイライラしますよ）
そがに 遠慮しならんでも ええだがな！
（そんなに遠慮なさらなくても、いいじゃないですか！）
おばさん！ おばさん なに 飲みなる え？
（おばさん、おばさん！ 何をお飲みになりますか？）
うちか！ うちは もうひゃぁ〜 ええがやあ。
（私ですか？ 私はもう、結構ですよ）
なに言っとんなっ だいな！ そがなこと言わずに よばれて ごしないなあ！
（何を言っておられるんですか！ そんなことを言わずに、めしあがってくださいな）
ほぉんに え〜。なら ほんにええだけど…
（そうですか、それなら、ほんとうに結構なんですけど……）
そぉがすりゃ ‘サイ〜ッ’とした むんが ええがや〜。
（そうでしたら、スーッとしたものがいいですね）
なら おばさん！ 泡の出るのにしょうかいな。
（それなら、おばさん、泡の出るものにしましょうか）
なぁにえ？ 泡の出るやつえ〜 やぁれ きょうとや！
（なんですって？ 泡の出るやつですか？ まあ恐ろしい）
そぉがな むん飲みゃ ほぉんに 目がまうがな！
（そんなものを飲みますと、本当に目が舞ってしまいますよ）
まあ ええがいな おばさん。そぉがに心配しならぁでもええけ！
（まあ、いいじゃないですか、おばさん。そんなに心配なさらなくてもいいですよ）
なんなら 泊まって帰んなってもええだぜぇ。
（なんでしたら、泊まっていかれてもいいですよ）
ほんに え〜。なら ちいと よばりょうかい。ほんに ちいとでええぜ！
（そうですか。それなら、少しいただこうかしら。本当に少しでいいですよ）
やれ！ こぉがに えっと え〜。ほんに よう飲むだらぁか いや。
（まあ、こんなにたくさんですか。本当に、これだけ飲めるでしょうかしら）
なら まあ 遠慮なしぃ よばれるわい。
（それでは、まあ遠慮なくいただきますわ）
なぁんちゅ うまいだ！ ほんに生き返ったやなわい！
（なんとまあ、おいしいこと。本当に生き返ったようですよ！）
やれ なぁんだえ〜。ほぉんに きがわりぃぜ〜！
そぉがな やれ そぉ〜がな 心配しならんでもええだがな。
ほぉんに すかんぜ この人は…
（本当に、なんですか。本当に、いらいらしますね。そんな心配をなさらなくてもいいですのに。本当に、好きくないわ、この人は……）
やれ！ こがな心配しなるやなら 今度からもうライブ呼ばれんわい！
（やれやれ！ こんな心配をなさるんでしたら、次からはもう、ライブには招待できませんね）
なぁにえぇ？ 気持ちえぇ？
（なんですか？ 気持ちがいい？）
やれ ほんに もらうだかえ〜。
（まあ、ほんとうに、頂くんですか？）
なら 遠慮なしだわい。返すむんがなんも無いだけど…
（それなら、遠慮無しにいただきます。お返しする物がないんですが……）
まあ 歌なっと聞いてもらうだわい。
（まあ、歌でも聞いてもらいましょうか）
ほんに ようこそなあ。
（本当に、ありがとうございますね）
ほぉんに ええ子さんだわ！
（本当にいい子さんですね）
あんた！ ほんにええ嫁さんもらいなったなあ。
（あなた、本当にいいお嫁さんを貰われましたね）
朝：
お〜はよぉござんして！
（おはようございますぅ！）
昼：
こぉんちは！ 暑なったがいな〜
（こんにちはぁ。暑くなりましたね）
あれ！ もう半すぎたがなぁ
（あれ、もう午後12時半過ぎですね）
いぃぃんで あぐり見ないけん！
（帰って、ＮＨＫの連続テレビ小説「あぐり」を見なければいけないわ）
夕方：
ばぁ〜んなりましてぇ！
（こんばんわぁ）
ごっつぉができるかえ〜！
（ごちそうができますか）
２ 運動会
よ〜い ドン！
やれ！ はや！ どぉ〜こおっだえ〜
（さあ、早く早く、どこにいるんだい？）
おぉ！ おぉ！ お〜る がな！
（おお、おお、いてるよ）
やれ こーちゃん はや はや！
（そらそら、こうちゃん、早く、早く！）
ほぉ〜んにぃ よ〜かけるがいなぁ！
（本当に、よく走るねえ！）
あぁりゃ うちに 似ただじぇぇ
（あれは、私に似たんだよ）
あれ！ なぁ〜んだえぇ！
（あれ！ なんですか！）
さぁ〜でくりこけちゃったがなぁ！
（スッテンコロリン豪快にころんじゃったよ）
おぉしなげになぁ！
（惜しかったなあ）
あれ あぁ〜ましるが どょぉるがな！
（あれ、(擦り傷から）しるが出てるじゃないか）
かぁわいさぁにぃ
（かわいそうに）
そっでも まあ ほんによぉがんばった！
（それでもまあ、本当によく頑張った）
―――間奏―――
３ カメラを向けられたおばさん
おばさん 撮るでぇ〜
（おばさん、写真撮りますよ）
なぁ〜にえぇ 写真え〜
（何ですか？ 写真ですか？）
うっちゃ〜 ええ！
（私は、撮ってもらわなくて結構！）
ほぉ〜んに 撮っだかいや！
（本当に撮るの！）
ひぃんがわりぃ け！ やぁめいや！
（恥ずかしいから、やめなさいよ）
あ〜 ひんがわり
（ああ、恥ずかし）
ほんに ええっっちゅうになぁ！
（本当に、いいと言ってるのに！）
やめいっていったら やぁめいや！
（やめなさいって言ったら、やめなさい）
魂ぬかれるがな！
（魂を抜かれてしまうよ）
４ 子供を叱るおばさん
子供やちは どこいったえ？
（子供たちは、どこへ行ったの？）
なぁにえ おぉもてにえぇ
（何ですって 客間に行った？）
なんぞ わりぃこと しとらなええがなぁ！
（何か悪いことを、してなければいいけれどねぇ）
あれ！ 今日干したばっかりだに
（あれ、今日ほしたばかりだのに）
その布団のうえ〜 乗るの やめぇいや！
（その布団の上に乗るのは、やめなさい！）
どぉ〜がでも 乗っだけな〜！
（どうしても乗るっていうのっ！）
おい！ はや降り！
（早く、降りなさい！）
布団のうえ〜乗るのぉ いぃちばんすかぁんだけ！
（布団の上に乗るの、いちばん嫌いなの！）
こぉれ！ あぁばしれっでなぁいだがな！
（これ！ あばれるんじゃありません！）
ほおぉんに 降りぃや！
（ほんとうに、降りなさいっ！！）
よぉだきぃ むんだじぇ おまえやちゃ
（どうしようもないゴンタクレだねえ、お前たちは）
あ〜っち いっとれい！
（あっちへ行きなさいっ！）
やぁぁれ！ 障子も わぁやくちゃにして
（やれやれ、障子も目茶苦茶にして）
えぇらいこと しちゃっとるがな！
（大変なこと、してしまっているわ）
ほぉんに 腹がわりぃけぇ
（ほんとに腹の立つ）
―――後奏―――
す〜んませなぁんだ
（すみませんでしたぁ）