長い話と短い話とあっだが、どっち話したらーかい。
(長い話がええ)
むかしむかーしなあ、天から、長ーーーーーーいフンドシが落って来ただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは。
長い話と短い話とあっだが、どっち話したらーかい。
(なら、短い話)
むかしなあ、天から、短いフンドシが落って来ただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは。
むかしむかしなあ、伯耆の国に・・・。ああ、鳥取県はなあ、むかーしは因幡っちゅう国と伯耆っちゅう国に分かれとっただがな。おまいだちゃあ、こがなこたー、知らんだらーなあ。
(知っとるわいな)
そがかあ、知っとったかあ。ならなあ、名古屋のあたりは、むかーし、なんちっとったか、こりゃ知らんだらーなあ。
(知っとるわあ。尾張だがな)
ああ、そがかあ、おわりかあ。なら、話も終わりだあ。
むかしごっぽりごんぼのは。
むかしむかしなあ、お月さんと、お天道さんと、どんどろけさんが、いっしょに、どこぞ旅しなったださあな。でなあ、宿屋について、風呂に入って、あんましごっつぉはあらへなんだけど、晩飯食って、あしたはまあ、はやー出にゃーいけんけえっちって、寝なっただって。
そっでなあ、次の朝のまんだくりゃあうちに、どんどろけさんが起きなったところが、なんとまあ、お月さんもお天道さんも、おんならんだって。先に出ちゃいなっただがな。
どんどろけさんはなあ、「月日のたつのは、早いもんだなあ」っちって、きょうさめがんなっただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは。
むかしむかしなあ、お天道さんと、お月さんと、どんどろけさんが、いっしょに、どこぞ旅しなったださあな。でなあ、宿屋について、風呂に入って、あんましごっつぉはあらへなんだけど、晩飯食って、あしたはまあ、はやー出にゃーいけんけえっちって、寝なっただって。
(さっきのと、おんなじ話だがな)
いんにゃ、まあ黙って聞けいや。
そっでなあ、次の朝のまんだくりゃあうちに、お天道さんとお月さんが起きなったところが、なんとまあ、どんどろけさんが、おんならんだって。先に出ちゃいなっただがな。ところがなあ、弁当の風呂敷づつみが忘れてあっただって。どんどろけさんが忘れて行きなっただがな。
お天道さんとお月さんは、「弁当忘れて行っとるがな。あいつぁ、だらずだなあ」って言い言い、その風呂敷づつみを開けて見なっただ。そしたらなあ、三つがさねの重箱だっただって。いちばん上のふたを開けてみたらまあ、どんどろけさんが好いとんなるヘソの煮たんが入っとっただ。ちいと食ってみたら、これがまあ、うまいだがな、こたえられんぐらい。
「ヘソって、こがにうまいむんだって、知らなんだぞいや」「食っちゃわい、食っちゃわい」っちって、いちばん上の重箱は、みーーんな食っちゃってきゃあ、「あとのも食わいや」っちって、こんだ二番目の重箱、「なんが入っとるかいなあ」っちって、開けてみなっただって。
そしたらなあ、紙が一枚入っとってなあ、「ヘソの下は、見られん、見られん」っちって書いてあっただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは。
おちの おばやんは 八頭郡船岡町ね芽ごだいて18年、米子で飯食って2年、『おんすーふらた』ね嫁に来て27年だども、やっぱ鳥取弁が懐かしはなで「鳥取弁と出雲弁がごっちゃねなっちょーかもっせんだども、『ごんべ』さんねメールを送ってごせ」ちーもんだけん、あやのね事を送くーますけんね。
<佐治谷の阿呆の話>
うち家のおかあの言うことにゃ、鳥取の因幡地方には、佐治谷の阿呆の話があって、そのうちの一つを話すけ、聞いてつかーさい。
ある時、佐治谷の阿呆が友達の家に行ったら、『団子』ちゅうもんを食わして貰ったそうな。それが、あんまし美味かったもんだけ、
「これは、何ちゅうもんだ。ごっつー美味いの。」て、聞いたら、
「此は、『団子』ちゅうもんだがね。」と、言われて、佐治谷の阿呆は家に帰ってから、おかあに作って貰おうと思って、忘れんように「団子、団子、団子・・・」と、言いながら、帰りょったそうな。
そうしたら、井でが有ったもんで、それをひょいっと飛んだ拍子に、「団子、団子、
団子・・・」が『ひょい』に変わってしまったそうな。
それで、家に帰ってから、おかあに「おら、友達ん所で『ひょい』と言うもんを食わして貰ったけど、これがごっつい美味かったけー、作ってごせー」と、言ったら、おかあは「『ひょい』ちゃーなもんは、わしは解らん。それはどんなもんかね。」
そうしたら、おとうは「『ひょい』と言ったらひょいだわな。おまえは『ひょい』が解らんか。」と、言って、側にあった火吹き竹で、おかあの頭をポカンと叩いたそうな。
そうしたら、おかあは「何するだー、お前さんがそんなもんでうちを叩くけー、『団子』のようなこぶが出来たがなー。」と、言ったそうな。
そしたら、おとうが「そうだ、それだがなー『団子』だがなー。」と、言ったそうな。
※(ごんべ注)奥野さんは「出雲弁の泉」っちゅうホームページを作っとんなります。是非行って見てごしなれ。
むかしむかーしなあ、ある時になあ、佐治谷のだらずが友達んげーに行ったところがなあいや、『団子』っちゅうむんを食わして貰ったさあなわい。それがなあ、とってもうみゃかったむんだけ、
「こらあ、何ちゅうむんだえ。ごっつーうみゃーがな。」っちって、聞いてみただがな。そしたらなあ、
「こらあ、『団子』ちゅうむんだ。」っちって言われてなあ、佐治谷のだらずぁ、家ーいんでから、おかあにこさえてむらわー思って、忘れんやーに「団子、団子、団子・・・」っちって言い言い、いによったさあなわい。
そがしたらなあ、井でがあったむんだけ、それー「ひょい」っと跳んだだがな。跳んだ拍子に、「団子、団子、団子・・・」が「ひょい」に変わってしまったさあなだ。
そっで、家ーもどってから、おかあに「おら、友達んねーで『ひょい』っちゅうむんを食わしてむらったけど、これがごっつーうまかったけー、こさえてごせーや」っちったら、おかあは「『ひょい』ちゃーなむんは、わしゃー解らん。そらー、どがなむんだえ。」
そうしたら、おとうは「『ひょい』っちったら、ひょいだがな。おまいは『ひょい』が解らんだかいや。」っちって、ねきにあった火吹き竹で、おかあの頭をポカンとどずいたさあなわい。
そがしたらなあ、おかあは「何すっだー、おみゃーさんが、そがなむんでうちー叩くけー、これ、見なれ、『団子』みちゃーなこぶが出来たがなー。」っちって、言ったさあな。
そがしたら、おとうが、「そっだ、そっだがなー。『団子』だがなー。」っちって、言ったさあな。むかしごっぽり。