鳥取弁(東伯耆方言)で読む昔話





●長い話

長い話と短い話とあっだが、どっち話したらーかい。
(長い話がええ)
むかしむかーしなあ、天から、長ーーーーーーいフンドシが落って来ただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは



●短い話

長い話と短い話とあっだが、どっち話したらーかい。
(なら、短い話)
むかしなあ、天から、短いフンドシが落って来ただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは



●尾張の話

むかしむかしなあ、伯耆の国に・・・。ああ、鳥取県はなあ、むかーしは因幡っちゅう国と伯耆っちゅう国に分かれとっただがなおまいだちゃあこがなこたー、知らんだらーなあ。
(知っとるわいな)
そがかあ、知っとったかあ。ならなあ、名古屋のあたりは、むかーし、なんちっとったか、こりゃ知らんだらーなあ。
(知っとるわあ。尾張だがな)
ああ、そがかあ、おわりかあ。なら、話も終わりだあ。
むかしごっぽりごんぼのは




●お月さんとお天道さんとどんどろけさんが、いっしょに旅をした話(その一)

むかしむかしなあ、お月さんと、お天道さんと、どんどろけさんが、いっしょに、どこぞ旅しなったださあな。でなあ、宿屋について、風呂に入って、あんましごっつぉはあらへなんだけど、晩飯食って、あしたはまあ、はやー出にゃーいけんけえっちって、寝なっただって。
そっでなあ、次の朝のまんだくりゃあうちに、どんどろけさんが起きなったところが、なんとまあ、お月さんもお天道さんも、おんならんだって。先に出ちゃいなっただがな。
どんどろけさんはなあ、「月日のたつのは、早いもんだなあ」っちって、きょうさめがんなっただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは



●お月さんとお天道さんとどんどろけさんが、いっしょに旅をした話(その二)

むかしむかしなあ、お天道さんと、お月さんと、どんどろけさんが、いっしょに、どこぞ旅しなったださあな。でなあ、宿屋について、風呂に入って、あんましごっつぉはあらへなんだけど、晩飯食って、あしたはまあ、はやー出にゃーいけんけえっちって、寝なっただって。
(さっきのと、おんなじ話だがな)
いんにゃ、まあ黙って聞けいや
そっでなあ、次の朝のまんだくりゃあうちに、お天道さんとお月さんが起きなったところが、なんとまあ、どんどろけさんが、おんならんだって。先に出ちゃいなっただがな。ところがなあ、弁当の風呂敷づつみが忘れてあっただって。どんどろけさんが忘れて行きなっただがな。
お天道さんとお月さんは、「弁当忘れて行っとるがな。あいつぁ、だらずだなあ」って言い言い、その風呂敷づつみを開けて見なっただ。そしたらなあ、三つがさねの重箱だっただって。いちばん上のふたを開けてみたらまあ、どんどろけさんが好いとんなるヘソの煮たんが入っとっただ。ちいと食ってみたら、これがまあ、うまいだがな、こたえられんぐらい。
「ヘソって、こがにうまいむんだって、知らなんだぞいや」「食っちゃわい、食っちゃわい」っちって、いちばん上の重箱は、みーーんな食っちゃってきゃあ、「あとのも食わいや」っちって、こんだ二番目の重箱、「なんが入っとるかいなあ」っちって、開けてみなっただって。
そしたらなあ、紙が一枚入っとってなあ、「ヘソの下は、見られん、見られん」っちって書いてあっただっていや。
むかしごっぽりごんぼのは




●<佐治谷の阿呆の話> ----出雲在住の奥野さんのメールより抜粋(勝手に載せて、こらえてごしなれ)

おちの おばやんは 八頭郡船岡町ね芽ごだいて18年、米子で飯食って2年、『おんすーふらた』ね嫁に来て27年だども、やっぱ鳥取弁が懐かしはなで「鳥取弁と出雲弁がごっちゃねなっちょーかもっせんだども、『ごんべ』さんねメールを送ってごせ」ちーもんだけん、あやのね事を送くーますけんね。

<佐治谷の阿呆の話>

うち家のおかあの言うことにゃ、鳥取の因幡地方には、佐治谷の阿呆の話があって、そのうちの一つを話すけ、聞いてつかーさい。
ある時、佐治谷の阿呆が友達の家に行ったら、『団子』ちゅうもんを食わして貰ったそうな。それが、あんまし美味かったもんだけ、
「これは、何ちゅうもんだ。ごっつー美味いの。」て、聞いたら、
「此は、『団子』ちゅうもんだがね。」と、言われて、佐治谷の阿呆は家に帰ってから、おかあに作って貰おうと思って、忘れんように「団子、団子、団子・・・」と、言いながら、帰りょったそうな。
そうしたら、井でが有ったもんで、それをひょいっと飛んだ拍子に、「団子、団子、 団子・・・」が『ひょい』に変わってしまったそうな。
それで、家に帰ってから、おかあに「おら、友達ん所で『ひょい』と言うもんを食わして貰ったけど、これがごっつい美味かったけー、作ってごせー」と、言ったら、おかあは「『ひょい』ちゃーなもんは、わしは解らん。それはどんなもんかね。」
そうしたら、おとうは「『ひょい』と言ったらひょいだわな。おまえは『ひょい』が解らんか。」と、言って、側にあった火吹き竹で、おかあの頭をポカンと叩いたそうな。
そうしたら、おかあは「何するだー、お前さんがそんなもんでうちを叩くけー、『団子』のようなこぶが出来たがなー。」と、言ったそうな。
そしたら、おとうが「そうだ、それだがなー『団子』だがなー。」と、言ったそうな。

※(ごんべ注)奥野さんは「出雲弁の泉」っちゅうホームページを作っとんなります。是非行って見てごしなれ。




●<佐治谷のだらずの話> ----上記の奥野さんの話を、ごんべの東伯耆方言で超訳すると、こうなります。

むかしむかーしなあ、ある時になあ、佐治谷のだらずが友達んげーに行ったところがなあいや、『団子』っちゅうむんを食わして貰ったさあなわい。それがなあ、とってもうみゃかったむんだけ、
「こらあ、何ちゅうむんだえ。ごっつーうみゃーがな。」っちって、聞いてみただがな。そしたらなあ、
「こらあ、『団子』ちゅうむんだ。」っちって言われてなあ、佐治谷のだらずぁ、家ーいんでから、おかあにこさえてむらわー思って、忘れんやーに「団子、団子、団子・・・」っちって言い言い、いによったさあなわい。
そがしたらなあ、井でがあったむんだけ、それー「ひょい」っと跳んだだがな。跳んだ拍子に、「団子、団子、団子・・・」が「ひょい」に変わってしまったさあなだ。
そっで、家ーもどってから、おかあに「おら、友達んねーで『ひょい』っちゅうむんを食わしてむらったけど、これがごっつーうまかったけー、こさえてごせーや」っちったら、おかあは「『ひょい』ちゃーなむんは、わしゃー解らん。そらー、どがなむんだえ。」
そうしたら、おとうは「『ひょい』っちったら、ひょいだがな。おまいは『ひょい』が解らんだかいや。」っちって、ねきにあった火吹き竹で、おかあの頭をポカンとどずいたさあなわい。
そがしたらなあ、おかあは「何すっだー、おみゃーさんが、そがなむんでうちー叩くけー、これ、見なれ、『団子』みちゃーなこぶが出来たがなー。」っちって、言ったさあな。
そがしたら、おとうが、「そっだ、そっだがなー。『団子』だがなー。」っちって、言ったさあな。むかしごっぽり。