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Title : BookShelf 2008
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2008/02/25
『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』 (山田真哉;光文社新書)

 以前話題になった『食い逃げされてもバイトは雇うな』の続編。でもこの『食い逃げされてもバイトは雇うな』は同じ著者の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』の二番煎じ感が漂っていたので、実はあまり期待せずに読んでみたのだが、まあ、この『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』にはまともなことが書いてある。ある意味、『「食い逃げ〜」なんて大間違い』を書くためには『食い逃げ〜』を書いておかないとだめだったのかも知れないな。
 前著が数の感覚をつかむためのものだとしたら、これは数だけに頼って判断してちゃだめ、ということ。あ。これ、ネタばれかな。

個人的な評価:☆☆☆
ISBN4-334-03437-5 / \700- + VAT
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2008/02/25
『世界金融経済の「支配者」』 (東谷 暁;祥伝社新書)

 陰謀史観好きが手に取りそうなタイトルだけど、ロスチャイルドがどうとか出てくるけど、別に「支配者」は「誰か」のことではないのだな。
 著者は謎を解く鍵は「証券化」だという。

 個人的には、さらに一般的に、「何か」そのものではなく「何かを処分する権利」を売買するようになってから、モノの現実的な動きにあまり影響されずに自立して蠢く経済が生まれたところあたりが問題なのだろうなと思う。えー、これはいつかまとめて文章にしたいなぁ。

個人的な評価:☆☆
ISBN4-396-11066-6 / \750- + VAT
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2008/02/25
『ウェブ社会の思想』 (鈴木謙介;NHKブックス)

 ウェブ社会…というか、ユビキタス社会と言うか、とにかく、現在では自分が知らない間に自分に関するデータが蓄積されて、それが「あなたですよ」とシステム側が言ってくるようになってきてる。それに抗う気力と見識のある人はいいんだけど、そうでない人々は自分の外部から「自分」を規定されることになる。それってどうなの、という問題意識を書いている本。

個人的な評価:☆☆☆☆
ISBN4-14-091084-9 / \1,070- + VAT
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2008/02/14
『真理の哲学』 (貫 成人;ちくま新書)

 現代思想が好きで好きでたまらなくていろいろ入門書とか読んでいる人には既知のことが多いかな、この本に書いてあることは。
 「真理」なんてものがどこかに存在していてそれを見出せないだけ(1)なのか、「真理」なんてものは予め存在していなくて、ああだこうだ言いながら作り上げていって何とか合意にこぎつけたものを「真理」と呼ぶことにしてる(2)のか、なんだかわからないから議論の主流とかエライ人が言ったとかの内容を「真理」と呼んでおこう(3)ということなのか。
 「真理」は(1)だ! と言えたのは前世紀の初頭までだろうねぇ。(3)は(1)の亜種だろうな。でもそれは確かめようがない。ははっ。要は「真理」なんて人間が作るものなんだよねぇ〜って話。

個人的な評価:☆☆☆
ISBN4-480-06413-4 / \740- + VAT
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2008/01/31
『自民党はなぜ潰れないのか‐激動する政治の読み方』 (村上正邦・平野貞夫・筆坂秀世;幻冬舎新書)
『自民党の終焉‐民主党が政権をとる日』 (森田 実;角川SSC新書)
『民主党の研究』 (塩田 潮;平凡社新書)

 本屋で新書のコーナーを眺めてて、最近こんな感じの本が目に付くので買ってざーっと読んでみた。が、日々ニュースとか新聞とかを読んでる身には別にとっぴに新しいことが書かれているわけでもなく。まあ、最初の『自民党はなぜ潰れないのか‐激動する政治の読み方』(以下『なぜ潰』)には政治のウラ話が多いかな。この本を読むと、やっぱり日本の政治って政局で動くのであって政策では動かないんだよなーーーーということを確認してしまう。それからタイトルに掲げた質問には本の中では明確には答えていないような気が。自民党が、というより個々の政治家の論評に終始している気がする。でも意外と小沢氏への評価が高かった。それと同じような感じが2つめの『自民党の終焉‐民主党が政権をとる日』(以下『自民終焉』)にもある。評論家が一方の政党をコテンパンに書きつつ、他方の政党をヨイショ…とは言わないがかなり好感的に書くのはどうかなと感じるくらい民主党より。自民に欠点があるのはわかってるけど、それがそのまま民主が政権を獲る理由にはならない。民主にも悪いとこあるのをどう乗り越えれば政権が獲れるかではなく、ひたすら「もう自民はダメ」という論調が気になる。で、3つめの『民主党の研究』(以下『民主』)は、その、なんというか、民主党の成立過程とその歴史を書いている、という感じ。そのため前2書ほどは読み物としては楽しくないかも。

 うーん。もし読む、というのなら『民主』→『自民終焉』→『なぜ潰』かなぁ。実際にはこの逆に読んだけど。『民主』は割と中立的に(淡々と、と言うべきか)事実を並べて書いているのに対し、『自民終焉』は思いっきり民主よりになって、すぐにでも政権交代が起こりそうな雰囲気のことが書いてある。が、『なぜ潰』では対する自民のしぶとさ(もしくは小沢氏を除く民主のダメさ)加減が強調されてる。『なぜ潰』は政局を仕掛けた人たち(もしくはそれを見聞した人たち)が書いているので、政局の流れなんてのは話の前提としてされていて、その辺があたまに入っていないと文脈が分かりつらいかも。それは『自民終焉』では政治評論家が書いているだけあって、そのあたりのことは書かれているので。

 けどね。今の日本の置かれている状況というのは、自民か民主かという軸では解決できんような気がしてるのよね。
 グローバル化に対応した強い国家を目指し、強者と弱者が生まれることを覚悟の上で、それでも強者を生んで日本の経済・社会を引っ張ってもらおうとするのか(独立自「存」型)、たとえ豊かじゃなくなって鄙びてでも、社会全体でみんなでそこそこの水準で行こうとするのか(共存型)、みたいな軸の選択になるような気がする。前者の立場が自民かというと、まあ、金融ビックバン以降の政権はそうだったかも知れないが、全部が全部そうでもない。後者の立場が民主かと言うと、最近の小沢氏の路線はそのような感じがするが、これまた全部が全部そうだというわけでもない。だったらこの軸でガラガラポンしてみれば分かりやすくなるのに。
 でも、そのときその他の政党はどうするのかなぁ。特に公明党。共産党や社民党は明らかに後者だし、公明党も結党時点では後者の姿勢だったと思うけど、最近の与党としての政策選択は前者だからね。

個人的な評価:☆☆
ISBN4-344-98065-5 / \780- + VAT
ISBN4-827-55001-6 / \740- + VAT
ISBN4-582-85401-5 / \760- + VAT
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2008/01/25
『戦争の経済学』 (ポール・ポースト著 山形浩男訳;バジリコ)

 これ、また、山形浩男訳。
 しかし、山形さん、おもしろい本探してくるなぁ。
 で、この本の特徴だけれども。それは訳者解説で完全に語られている。すなわち、この本は目新しいことを述べたり、新理論を提唱したりしているのではなく、経済学の基本的なルールを使って戦争という「経済行為」を分析してみるとこうなる、という事例をひたすら提示してくるだけだ。けれども、かえってそれが、リアルに「戦争って経済合理性に基づき行われていることが多い」ということを感じさせてくれる。そう、訳者の山形氏が言う通り、変な偏りやゆがみがないのだ。平和と言うと何かと高尚に議論しようとしたり、ことさら悲惨さを強調したりして議論にならないとこを、あくまでデータとツールで迫ってくる。もちろんデータで全てが語れるわけはないし、そんなことをこの本は宣言したりしない。けれども、戦争を本気でなくしたいなら、戦争が経済合理的でなくなるようなシナリオが必要なのだと感じさせる本だ。今回はざーーーーーっと読んだだけだが、きちっと精緻に(それこそ経済学のテキストのように)読み込みたい本である。

個人的な評価:☆☆☆☆☆
ISBN4-86238-057-9 / \1,800- + VAT
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2008/01/25
『日本人 数のしきたり』 (飯倉晴武;青春出版社)

 うん、まぁ、あれだな。よくある雑学の本だ。
 最近TV番組と言えば、クイズ・お笑い芸人・おバカ・巨食あたりがそろってれば視聴率取れる、みたいな作りになってて中身が全然ないねぇ。でもその番組の中でマジに点数とりに行く芸人が読みそうな本、って感じかな。って、結局どっちも見てるやん>自分。orz

個人的な評価:☆☆
ISBN4-16-369770-3 / \1,714- + VAT
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2008/01/21
『「本能寺の変」はなぜ起こったか』 (津本 陽;角川Oneテーマ21)

 昨年秋に(現在の)本能寺近くのホテルに泊まることがあったので、朝、ちょっと本能寺に寄ってみたことがある。本能寺の変の舞台となった当時の本能寺は焼け落ちており、今あるのは移転後のものなので、何かがわかるというわけでもないのだが。記念館には本能寺の変のときに危機を知らせるために(?)鳴いたとされる蛙の香炉があった。そういう話があるのは知っていたが、それが残っているとは思わなかったのでちょっとびっくり。妻はその話さえ知らなかったのでそれにもびっくり。でも、まあ、これもさておき。
 本のほとんどは変に至るまでの背景を説明しているので、このあたりの時代に詳しい人間には別に新しい情報もない。これまでのいろんな真犯人の説を取り上げて論評をしているけれども、その否定の仕方にあまり説得性がない。で、自分の説も最後に書いているのだけれど、そうか!と納得する話でもない。うーむ。

個人的な評価:☆☆
ISBN4-16-369770-3 / \1,714- + VAT
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2008/01/21
『その数学が戦略を決める』 (イアン・エアーズ著 山形浩男訳;文藝春秋)

 「数字だけで世の中語られてたまるか!」という方には嫌な本なのだろうな、これ。
 でも、この本ではそんなこと主張してないし、その限界についても書いてある。でも、この本はそういうことを弁えた上で、人の直感を逆なでするような結果を次から次へと語るから、面白いと思う人には面白いし、理解できない人には理解できない。でも、いかにも訳者の山形氏が喜びそうな本ではある。どこかのサイトで訳者のことを「誰が訳しているかで本の売り上げが替わる訳者」と評していたけど、確かに、私も山形氏の翻訳本はたいてい買って読んでるような気がする。だって私好みだもん。
 ま、それはともかく。人間の行動の結果に関するめっちゃ大量の(恣意的でない)データは、生半可な「プロ」の専門的判断よりも精緻に事象を予言してしまうということ。人間の行動なんて大して理路整然としたモンじゃないだろーに、と思っている人間にとっては当たり前の事実のような気もするが、それを実際に数字で示されると、なかなかの迫力がある。心情的に受け入れられない人も多いだろうが、けっこう人間の行動原理なんて単純なのかもよ。特に統計で扱えるようなものについては。

個人的な評価:☆☆☆☆
ISBN4-16-369770-3 / \1,714- + VAT
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2008/01/14
『世界と日本のまちがい』 (松岡正剛;春秋社)

 フラット化してしまった地球では、異なる社会水準に住む者同士がいきなり競争の相手にさせられ、それに勝てないと一挙に挽回しきれないほどの格差の下に置かれてしまう。それが「正しい」ことなのだと勝った者は言うだろうが、いや、何か間違ってるんじゃないかと感じている人も多いだろう。それが負け惜しみ(ルサンチマン)でないとは言い切れないかも知れないが、私も、全面的に是とできない、何かが違うという感じがしてる。この本はそれに全面的に答えてくれているわけではないが、何か、ヒントが紛れて隠れいるような気がする。日本が忘れつつある、日本的なものの中に。

個人的な評価:☆☆☆☆☆
ISBN4-393-33271-9 / \1,800- + VAT
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2008/01/14
『脳と日本人』 (松岡正剛&茂木健一郎;文藝春秋)

 最近、私の読書は松岡正剛に傾倒中なのだけれど、これは、ちょっとなんだかなぁ、という感じ。
 いや、2人の組み合わせが悪いというのではないのだけれど、松岡本を読んだ後にいつも残ってた「目からうろこ」感がないのよ。なんでだろう。2人の対談の和気藹々感が原因かなぁ。対談モノって、そこそこ火花散ったほうが面白いのよねぇ。それぞれの分野に切り込んでいって、切り込まれたほうが押し返したり、やっぱり切られたり、みたいなとこがあったほうが。それがないのが残念。たぶん、茂木氏のほうが遠慮している。が、まあ、まだ茂木氏では松岡氏に適わないとは思うけど。

個人的な評価:☆☆
ISBN4-16-369710-9 / \1,714- + VAT
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2008/01/14
『日本の10大新宗教』 (島田裕巳;幻冬舎文庫)

 題名そのまま、日本におけるメジャーな新宗教の団体を取り上げ、解説(?)している。
 うーん、しかしこういう本は誰が読むのだろう。この手のことを知っている人には知っている話しか書いていないし、興味のない人にはやはり興味がないし。知らないけど興味のある人が、この手の本を見て自分の信仰を決定するとも思えないし、宗教学を専門にする人がこの水準で学んでちゃ意味ないし。

個人的な評価:☆☆
ISBN4-344-98060-0 / \720- + VAT
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2008/01/14
『反社会学の不埒な研究報告』 (パオロ・マッツアリーノ ;二見書房)

 これまた、昨年、ここで触れた『反社会学講座』『つっこみ力』作者のデビュー(?)作。
 世に言われている俗説をデータに基づいて、人の神経を逆なでしながら解明していく、私好みの本。

個人的な評価:☆☆☆☆☆
ISBN4-7684-0101-5 / \1,200- + VAT
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2008/01/14
『偽装国家II』 (勝谷誠彦;扶桑社新書)

 昨年、ここで触れた『偽装国家』の第2弾。先の本から情勢はちっとも改善してない…どころか、出るわ出るわ。2007年を象徴する言葉が「偽」になるくらいに。

個人的な評価:☆☆☆
ISBN4-594-05564-5 / \680- + VAT
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2008/01/14
『誰も書けなかった年金の真実』 (辛坊治郎;幻冬舎)

 読売テレビ解説委員の辛坊さんが書いた年金の本。
 私は朝はフジ系の「めざましテレビ」を見ていて、「ズームイン朝!」は見てないので、もっぱら「そこまで言って委員会」の副委員長のイメージが強いのだが、この本はなかなか勉強して、わかりやすく書いてある。たぶんこれまでの年金関係の本の中で一番わかりやすいのではないだろうか。活字も大きいよ。

個人的な評価:☆☆☆☆
ISBN4-344-01439-8 / \1,300- + VAT
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Updated : 2008/02/25