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Title : BookShelf 2005
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2005/05/08
『「心理テスト」はウソでした』 (村上宣寛;日経BP社)

 もともと私は心理テストってあんまり信用してなかったんですがね。心理テストの教科書を書いているようなセンセーがきっちりと論破してくれてるので、私としてはヒジョーに気持ちのいい本であった。槍玉に挙げられていたのは血液型性格診断・ロールシャッハテスト・矢田部=ギルフォード性格検査・内田=クレペリン検査などなど。
 そういえば、前の職場の人事部の採用に配属された同期が、「SPI試験なんてアテにならないしアテにしてないのよねー」なんて言ってたのを思い出す。そうそう。この本のなかでも著者が言ってるけど、入社時のその手の試験結果と入社後の業績の関係なんて、企業がその気になれば簡単に調べられると思うぞ。たぶん関係ないって。イヤな奴でも稼ぐヤツは稼ぐし、イイ人だからって成績がいいわけじゃない。
 心理テストが好きで好きでたまらないあなた。一読して見てちょ。

ISBN4-8222-4446-6 / \1,500- + VAT
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2005/02/21
『ありえない日本語』 (秋月高太郎;ちくま新書)

 先日、テレビをぼけーっと見ていると、お笑い芸人の フットボールアワー の岩尾が、「東京へ進出してきてびっくりしたこと」として、「『ヤバイ』という言葉を肯定的に使っていること」を挙げていた。「フットボールアワー、ヤバイよねぇ」という言葉を聞いて、「え? 今のところ売れてるのに?」みたいな衝撃を感じたらしい。発話者は「フットボールアワー、面白いよね」っていう意味の発言をしたはずなのに。
 もちろんこの言葉を口にする人たちはそれを不自然には感じていないだろうけど、私は違和感を感じるほうだ。(もう若くないのかも知れん。。。)

 それから、最近、「ありえない」「ありえねー」という言葉をよく耳にする。通常…というかこれまでの用法では…「現実の世界では起こりえない」ことを指すわけだけれども、最近は、現実に目の前に起こっている現象に対して「ありえない」と口にする人が増えた。「ありえない」と言ったところで現に目の前で起こってんじゃん、という突っ込みはそういう人たちには通用しないんだろう。その手の発話者の認識できる世界の中に、自分の目の前の現象がなかった、ということなんだな。

 …ってなことがつらつら書かれてある本。まあ、読むには面白い。んー、でも、やっぱり、現実に起こってんだから「ありえな」くないじゃん、と思ってしまう私はやはりもうオジサンなんだろうな、と思う今日この頃でありました。

ISBN4-480-06224-6 / \720- + VAT
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2005/02/21
『住宅喪失』 (島本慈子;ちくま新書)

 住宅ローンは通常は長期にわたる借金だ。
 最近、私の知人が家を新築したが、できるだけローンの返済総額を小さくしようと、可能な限り頭金を大きくし、可能な限り返済期間を短くしたと聞く。何しろ期間が長くなればなるほど最初に借りた元金を返してるんだか金利を返してるんだかあやしくなってくるからだ。しかし、その住宅ローンも、定期的な収入が長期にわたって安定して入ってくるというのが前提で払えるし、貸すほうもそうだ。
 ところが昨今の雇用状況の変化で、長期雇用が必ずしも確保されなくなってきた。それでローンを返せなくなったり、そもそもローンを組ませてもらえなかったりする人が増えているという事実を著者は指摘する。

 また法改正で、分譲マンションであっても、住民の8割の賛成があれば、建て替えられる方向で話が進んでいる。すると、その建て替えのための費用が払えない住人はそこを出て行かざるを得なくなる。「そういう人々のために安い賃貸を用意する」という案もあるらしいのだが、「終の棲家」だと思って入手した分譲マンションのローンを払い終わったなと思ったら「出てけ」と言われて賃貸に。つまりはずっと借金を返す人生…みたいになってしまう。

 仕事だけではなく、安心して住める、人から「出て行け」と言われない住処を確保すること自体が一般人には難しくなっていくのかも知れない。

ISBN4-480-06215-7 / \700- + VAT
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2005/02/21
『パラサイト社会のゆくえ』 (山田昌弘;ちくま新書)

 この著者は同じくちくま新書から『パラサイト・シングルの時代』という著作を出していて、働きながら独身で実家から通い、生活の基本的な支出を実家に委ね、収入の大半を自分のために消費する存在を「パラサイト・シングル」と名づけて有名にした(?)人。
 分類上、3年前までは私もそうだなぁ。
 月に5万円は実家に入れてましたけど、それ以外は全て可処分所得ってことになるので好き放題に本を買ってましたね。

 けど。その本が出た当時は「本来は自立できるけどリッチな生活を維持したいから親に寄生する」のがパラサイト・シングルだったのが、今では、正社員にもなれず自立したくても自立できなくて親に生活を依存するというように変貌していると著者は指摘する。

 それに帯がすごいね。

「もはやかじるスネはない」

 そう、昔のパラサイト・シングルはきちんと定職(それにともなって収入)があったから、親がリタイアしても、立場を逆にして生活できないことはない。けれど今のパラサイトシングルは……。うう。考えるだけでも暗くなる。。

ISBN4-480-06195-9 / \680- + VAT
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Updated : 2005/05/08