確かにPHSは高速移動は不向きです。かといって何[km/h]で使えないとかいう具体的数字では 現われません。それはPHSのシステムに問題があるのです。
PHSは携帯電話と異なりPHS専用の交換局を持ちません。そのため通話している基地局から 隣の基地局へ移るために基地局と端末間だけで情報のやり取りをします。この間に無音ないしは ハンドオーバー中の音が聞こえるのです。このやり取りに失敗すると通話は当然切断されます。
要はこれをうまく成功させればよいわけで、成功できる範囲で、かつCSが収容されている交換局が 同じなら極端なことをいえば何[km/h]でも良いわけです。特にDDIPはシステムの設定上その 点で有利です。
事実基地局が沿線にそって配置されている電車の中から走行中に通話ができた報告例もあります。
(私もJR関西空港線の日根野〜りんくうタウン間でそれを体験しました)
ただし、私の経験上から判断するに、圏外警告音が聞こえるといくら基地局があっても通話が 切断される可能性大です。このあたりの「粘り」が各機種によって違いが出る所で、これが長いほど 強い(?)機種と言えるでしょう。
2は松下(松下通信工業)が主導となってアステル向けに提供した規格です。この傘下に入ったのが JRC、三洋(鳥取三洋)、デンソーが該当しますが、いかんせんアステル全体がPHSシェアで敗北した ことと、5の自営第3版が登場するようになり、唯一この規格の親機を製造していた松下通信は 98年をもって製造中止となりこの規格は消滅することになります。
3はDDIP系PHSの共通規格として京セラ主導で策定されたもので、これも現在に至っています。
4はもともと自営回線で32Kを通すためにオフィス向けに策定された共通規格ですが、DDIP系には 日通工・三洋の法人向け端末を除き、企業向けと住み分けがはっきりしているため以前は採用されませんでした。
なお、主要な親機とNTT DoCoMo(NTTP),ASTEL端末との接続確認表をここ(1:xls形式,2:csv形式)に示しておきます。
PHSに標準で付属されている機能として「トランシーバー機能」というものがありますが、 これはいわゆる同時通話型無線機みたいなものでして、で通話が可能です。
ここでややこしいことにトランシーバー機能はデジタルコードレスホンについての規格に依存して おり、規格自体根本的に違うDDIPのα-PHS規格のものとその他のPHSとはトランシーバー 機能は使えません。
では、NTTPとアステルはどうかというと、はっきりいえば「できます」。
NTTPとアステルの端末は基本的に同じ会社が作れば中身はほとんど同じでシステムも非常に 似通っています。代表例がシャープの端末で、親機JD-B7-Hの広告では堂々と自社の端末は 子機までにできると公言しています。
ただし松下通信の端末はNTTP向け、アステル向けのプロトコルを完全に分けているため、この間
でのトランシーバー通話は表向き不可能です。
ところが、この技を巧みに利用し、アステル(松下方式含む)とNTTP全機種とのトランシーバー
通話を実現された方が存在します(詳細は後述)。
また、基本的にトランシーバー登録はデジタルコードレスホンの親機ないしは接続装置がないと
できないはずですが、例外がいくつかあります。
それがNTTPの101N,Jyuwakki-PHS(日本電気製)で、これがあると隠しコマンド
により親機無しで登録が可能です。しかし、102Nはこの機能はありません。
さらに、白ROM端末とトランシーバー登録との関係ですが、デジタルコードレスホンの規格関係上、
アステルのA121,AN-11(日本電気製)は白ROM状態ではトランシーバー専用登録ができません。
(私はこれで泣きを見ました(;_;))
では実際どのくらいの距離で使えるかといいますと、電波が非常に直進性が強いため市街地で
100mぐらい、郊外の見通しの効くところで200から300mぐらいが限度といったところでしょう。
というわけで「おもちゃ程度」と割り切っておいた方がよさそうです。
(あまり期待しないほうが逆に使えたときの
さらに、トランシーバー登録はNTTP関西はパーソナルショップ、アステルは窓口に持ち込めば
その場で作業してくれます(関西の場合)が、DDIPはコミュニケーションプラザに行けば同様に作業してくれます
これはα−PHS規格の問題で、α−PHS規格の場合、トランシーバー登録が、多くても1つ
の親機に十数台しかできないためです。ただし上書き登録が出来るため一応書き込みは
出来ますが、同じトランシーバー番号が何台も登録できるため、同じ親機で同じ番号を登録した
端末はポケベルと化してしまう裏ワザ(?)を生じます。
(当然3人同時通話はできない)
一方、その他の会社の規格は1台の親機に理論的に9999台が登録可能です。
(実際は設定できない番号があるため約8000台)
前述したように、アステルには子機登録に松下プロトコルとNECプロトコル(NTTP互換)の2種類が 存在します。一方、トランシーバー専用登録(以下TR専用登録と略)はアステル共通プロトコルを とっています。ところが、NTTPの親機にはトランシーバー専用登録というモードがないので実質 子機登録となります。
ここで、NTTPの全機種に親機を使わずに端末だけで子機登録できる画期的な端末がアステルには 存在します。それがシャープのA141,A241です。この機能を巧みに利用してNTTPとアステルの 橋渡しをしてやるわけです。
このA241をたとえばアステルのTR専用登録ができるZ121に子機登録をして、このZ121にアステル
の端末をトランシーバー登録をし、A241でNTTPの端末にトランシーバー登録(A241を「オクル」に設定)
させれば完成です。
なお、対象となる親機はZ121と901S,PietS01だけで、アステルのY131,132は不可能ということが
判明しました。
(Special Thanks GINさん@So-net)
さらに、シャープのJD-B7は、NTTP全機種+アステルNECプロトコル方式端末が子機登録可能で、 なおかつアステルのTR専用登録モードも保有しています。ということは大本の親機情報が 同じであるため、JD-B7の子機登録で登録した端末とTR専用登録で登録した端末が通話できる、 ということになります。
なお、JD-B7と301Sを使用した手順についてはこちらにまとめてあります。
(Special Thanks 下芝さん@宮崎医科大・ 水野さん@BIGLOBE)
ただし、A*-1*シリーズ以降のアステル松下登録方式端末(JRC、松下通信、三洋、デンソー製)に おいてはシャープ親機へのトランシーバー登録が非常に困難(出来ないことはないが・・・・ ^^;; ) なのでその点注意が必要である。また、AYシリーズがZ121にTR登録できない話もあるのでその辺は 要注意である。
現在、NTTPから3機種発売されているホームアンテナですが、これはいったいどういう仕組みか 簡単に説明しましょう。
公式の説明では、たとえば「窓際に来た電波を増幅して室内でも使える」と簡単にうたっていますが
実は、あれはPHSが1.5個入った中継器なのです。
右図(若干略している)に示すように、基地局から来る電波(周波数:f1)はホームアンテナで受信
されます。この電波をただ単に増幅して送り出すだけでは基地局からホームアンテナに届く間に
生じるビット誤りそのまま送出してしまいます。また、高周波段階だけの増幅を行うとノイズも
一緒に増幅されますから、いったん復調させてやります。そして符号の誤り訂正とホーム
アンテナのIDの付加etc.を行ってから変調し別の周波数f2(具体的には自営用周波数)で端末に
向けて送出します。
ホームアンテナ登録などの作業が要るのはシステム的にホームステーションの子機登録の延長線上に あるためこの信号加工の段階で端末や基地局とやり取りする必要があるためです。すなわちホーム アンテナは基地局に対しては端末、PHS端末に対しては基地局、といった両面を兼ね備えている ものです。というわけで、NTTPのホームアンテナは残念ながら、他社の電波は増幅できません。 ただし、ホームアンテナの公衆登録が他社のものが入っていればできるのでは?と理論上推測 されますが、書き込むものがありませんのでまず一般レベルではできないでしょう。
さて、アステルも97年8月あたりからパワーアンテナ(PA)が出ていますが、何処がちがうかと言うと
基本的には同じです(^^;;
ただし、簡易登録がNTTPのホームアンテナの場合、ホームアンテナ側で設定登録作業を行いますが、
アステルのパワーアンテナはPA側が固定・簡易登録がONになっていると端末の操作だけで簡易
登録が出来るというところが決定的な違いです。ただし、NTTPもやっと操作の煩雑性が分かったのかHA-3Sからこの方式を採用するようになりました。
NTTPは全国ショーケンと木村佳乃だろう、という頭の概念を払拭すべくこんなネタを用意しました。
ただいまベータ版ですが、情報ダイアルやはては契約の条件まで載っけてしまおうと言う企画です。
PHSだけにこだわらず、いろいろな機器にいわゆる隠しコマンドがあります。 PHSに関しては子機登録に関するものをはじめ、端末情報を登録するものや後に述べる電界強度 測定などが挙げられます。
ではその傾向を各事業者用端末別に紹介しましょう。
全体的に、NTTPとアステルは松下通信工業製、シャープ製に、DDIPは東芝製に多い傾向が あります
各社の端末にはものによっては隠しコマンドにより契約している事業者の基地局からの電波の強さ (電界強度)を測定する機能があります。これは各事業者がサービスエリア調査を行うためにつけ られたもので、ここに表示される電界強度はサービス範囲の基礎データとなります。
では実際にこれができる端末を分かる範囲で以下に示します。
実際に測定してみると通話エリアの設定は大体通話が十分にできる範囲としての下限として25dB ぐらいに設定されているようです。また、電界強度測定モードは非常に電池の消耗が 激しく数時間でなくなることをお忘れなく。
さらに電界強度測定モードについて知りたい方はこちらへ。
ここでもうお気づきですね(笑)。そのコールバックさせる2台目端末をまっTELに すればいいわけです。これでわざわざ普通に2回線を維持する必要はなくなる、 というわけです。
あ、言い忘れてましたが、契約できる台数の制限はないようです(笑)
2000/5現在では以下のようになっています。
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