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これを書いている今日(まだ25日の日中)は衆議院議員選挙の投票日である。
私の居る奈良の現在の天気は曇りで、いまにも雨が降りそうである。このまま雨が降れば投票率は下がることになるんだろう。…ってことは与党側に有利なのかな。とはいうもの、この文章がみなさんの目に触れる頃には大勢が判明してるので、ええかげんな予断をして笑い者になっても困るので、ちょっと遠慮しとく。(って言うか保身かも。)
今から負け惜しみをいっぱい言うぞ。ちなみにこの色+斜体の書きこみは開票が済んでからの追加分だ。
25日の報道では、ずっと自治省の発表は全国で50%を下回る投票率だった。18:00の時点でも50%を超えてなかった。その程度の投票率では与党が圧勝しちゃうかもと思ってこういう文章を書いたわけで。それが全部開票が終わったら60%超えてるってさぁ、何かミスがあったんじゃないの? 誰も追及してないけど。
有権者の投票行動に関するモデルというのにもいろいろあるけど、わかりやすいものとしてダウンズモデル(Anthony Downs)というのがある。
[有権者が投票することによる利益]=P×B‐C+D
Pは自分の投票が結果にもたらす影響の主観的確率のこと。選挙が接戦になりそうか否かに関する予想で、接戦になりそうだったら投票しようと言う気になるんじゃないか、ということ。Bは立候補する政党の間での政策の違いによる効用の差。Cは実際に投票に向かうことによるコストのこと。雨が降ったら行かない、なんてのはこれ。Dはちょっとわかりにくいけど、投票することにより、民主主義のシステムがきちんと作動することによる効用。
さあ、今回の選挙の場合はどうなんだろうか。当然ながら選挙区の事情にもよるんだけど、与野党で接戦になりそうかというと、どうも与党に分がある(つまりPは低い)。
僕のミスはここだ。僕が想定していたよりずっと、有権者は接戦になると思っている人が多かったってことだ。いや、「接戦にしたい」と思った人が多かったというべきか。ただし、自民党支持者で与党に投票しなかった人も結構多かったのではないかとも思える。
与野党間の政策の根本的な差は、図式化すれば景気浮揚優先か、財政再建を同時に行うかだと思うけど、どうも有権者の多くは景気を何とかしてくれ!的要望が高い気がする(Bはさほど高くない)。全国的に天気が悪い(Cが高い)。Dの要素は日本では(哀しいけど)もともと低い。…っつーことで与党に有利だろうなぁと、このコーナーでも予測しておいた。(→ Contemporary Files #20000529「争点」)
…が外れた。でも、野党全部が勝ったわけでもない。
正直に白状するけど、野党で躍進するとすれば共産党だと思ってた。与党―漸減・民主―漸増・共産―躍進・自由―現状維持・社民―消滅…というのが最も可能性の高い結果だと思っていた。理由は簡単、最も失点が少ないから。ひょっとして僕が思ってるよりも遥かに有権者は共産党が嫌いなんだろうか。
CとDを急速に変えるのはかなり難しいわけだから、野党側としてはPやBを高める必要がある。(あ、もちろん今回の選挙のことじゃなくて、これからって意味ね。) 与党側としても、安穏とはしてられない。まあ、保守党は自民と合流するだろうからいいとして、公明党はどうかな。これは昨年の今ごろ、Contemporary Files #19990621「キャスティング・ヴォート」で指摘したけれども、自民が勢力を伸ばせば御用済みになるわけだから。(もっとも、次の参議院議員選挙まではたぶん今の形は継続される。)
実は自民党が単独過半数を割ったことで、逆に連立を崩しにくくなった。自民+保守では過半数とならない。自民+自由や自民+共産でなら過半数に達するが、これは近い将来ありえないだろう。すると、公明が安定的なピヴォット政党になる。今回の選挙結果は逆説的に自公保路線を固めることになるのかも知れない。(と書いたことが数ヶ月後にまた訂正しなきゃならなくなるかも知れないけど。)
結局、自民以外の政党はP・Bを高めるため、実効性の高い法案を出し、その実行により日本が変わりそうだという雰囲気を高めなきゃならない。そのためには国民に負担を強いる場合もあろう。しかし国政選挙がある年はそういう思いきった法案が出せない。そこで、無謀な提案。
公職選挙法を改定し、国政選挙は全部4年に1度、統一的に同じ年にしちゃう。すると、その間は票目当ての政策ではないものも議題として上るだろうし、その政策が有権者の望みと異なる場合、次の選挙で、一斉に政治の勢力図が変わる可能性が生まれる。(勝つときは衆参ともに雪崩式圧勝、負けたらボロボロってな感じ。)
だめかな、この案。
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Updated : 2000/06/25
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