20選 | 富本憲吉作品 コレクション |
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浜田葆光(はまだほこう)はヒュウザン会や二科展で活躍した。二科展で樗牛賞(ちょぎゅうしょう)を受賞した大正5年以来奈良に移り住んでいる。大正11年から同14年にかけて渡欧し、二科展を中心に関西洋画壇で活躍した。奈良公園風景や鹿を題材とした作品を制作し、鹿の画家としてその名を知られた。また武者小路実篤(むしゃこうじさねあつ)や志賀直哉(しがなおや)との交友もあった。
この作品は第19回二科展出品作である。茶色を主とした地肌に雌雄の鹿の透明な茶色を浮かびだし、奈良公園の初冬のはれた風景を、重厚なタッチで装飾的に描いている。空と水のコバルトの対比と大胆な構図で、空間の広がりと明るさを持った優雅な画面を構成している。静寂な画面を通して、鹿の生命の動きが伝わってくる。鹿の生態研究から対象をよく捕らえた浜田ならではの代表作である。