20選 | 富本憲吉作品 コレクション |
絵画 (江戸時代以前) |
絵画 (近代・現代) |
浮世絵 | 書跡 | 彫刻 | 工芸 |
豪華な金襴の打掛(うちかけ)を着け、長い髪を後方へ垂らし、両手に数珠を持って繧繝(うんげん)縁の上畳に座す女性を描く。桃山時代から江戸時代初期にかけて、有力武家の女性の肖像画が本図とほぼ同様の形式によって描かれている。本図は、豊臣秀頼の母淀君(1567〜1615)の寿像(じゅぞう)と伝えられるが、淀君の画像である確証はなく、同様の形式による当代の女性肖像画は概ね追善のため制作された遺像(いぞう)である。画上には、清水寺の観音菩薩が衆生に帰依を呼びかけて詠んだとして『袋草紙』(12世紀)等にとりあげられている和歌「たゞたのめ しめじがはらの さしもぐさ 我世の中に あらむかぎりは」が墨書されている。