20選 | 富本憲吉作品 コレクション |
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向かって右から落雁(らくがん)、枯蘆(かれあし=冬枯れの蘆)、雪山等を配した秋冬山水図。左半部に構図の重心を置き、右半部を水景としていることから、もとは水景によって連続した一双画面の左隻であったと考えられる。
本図は、室町時代の禅僧画家雪舟(せっしゅう・1420〜1506)の作として伝えられてきた。確かに、本図の山や岩の短い線による皴(しゅん=山や石のひだを描き表す技法)や点描、樹木等の表現は、雪舟作と一般に認められている東京国立博物館蔵「秋冬山水図」(二幅)や「四季山水図」(四幅)の表現と類似している。しかし、これらの作品に見られる力強い筆致、安定した構図は本図の特徴となっていない。本図は繊細な筆致を用い、種々の要素を突出させることなく一つにまとめた、静謐(せいひつ)な趣を持つ山水図である。