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Title : a Heaven-given opportunity
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Contemporary Files #20071105
千載一遇のチャンスなのに
/ BBSへGo! /

偽装は続くよ、どこまでも

 ははは。最近更新してないねぇ。だめだねぇ。ちょっとニュースに関する感性が鈍ってきてるような気がする。ちょっと気合入れなきゃ。

 ま、それはともかく。最近話題になっているのは各種の偽装問題。そう言えば、昨年大騒ぎだった耐震強度偽装問題はどうなったんだ。問題が解決したわけじゃないだろうに。昨年騒がれた企業の関連物件だけが問題だとでも? その後もぽろぽろとニュースになってるじゃないの。なんで大々的に調べないかなぁ。それとも、厚生労働省がC型肝炎にかかった方のデータを隠蔽しているように、実は国土交通省はヤバいデータ握ってるんだけれども、黙ってるだけなのかぁ? こっちはもし強度が足りなくて壊れる前に立て替えしたり、地震が来て崩壊でもしれくれたら問題が無くなる(強度不足だったかどうかはわかんなくなる)とでも思ってんだろうか。

 …がとりあえず今日のお題はそちらではない。
 最近、ちょっと気になっているのは、偽装でポシャッた会社のシェアを、なぜ他社は取りにいかないのかってこと。
 まあ、相手の弱みに付け込むってのはずるいのかも知れないけれど、勝手にミスしてくれて売り上げを落としているなら、その類似商品や類似サービスを提供しているところは、その客を分捕る…と言って悪ければシェアを確保するための積極的な販売拡大活動を取るのがフツーの企業のやることじゃないかなぁ。もちろん阿漕なことしちゃ却ってイメージダウンになるだろうけど、敵失で相手がポシャってたら、普通にモノやサービス提供するだけでシェアを拡大するんじゃなかろうか。

伊勢名物のあんころもちみたいなものの場合

 「赤福」の偽装発覚後、替わりに売れるのはとってもよく似た「御福餅」と思った人が多いだろう。少なくとも御福餅の存在を知っている人はそう感じたに違いない。で、御福餅の快進撃が始まるかと思いきや、仲良く製造日偽装にお付き合い。そういえば、赤福の問題発覚後、「よく売れてる」というニュースが一時期流れたものの、あまり積極的じゃないなぁという感じがしてて、少し怪訝に思ってたのが、コレだ。
 でもこの件についての「偽装でポシャッた会社のシェアを、なぜ他社は取りにいかないのか」という疑問に関する答えは、自分にも同じ非があったから。
 あぁあ。

英会話教室の場合

 えー連日、NOVAの件も騒がれてますけどね。これがすっごく疑問なわけよ。もちろんNOVAの生徒や従業員にとっても大変な問題だけど、NOVAに通ってた生徒は習いたいと思ってたのにできなくなったわけで、他の英会話学校にとってはとってもおいしい草刈場が出現したことになってるはずなのね。けど、あまり大々的に「生徒狩り」を行ってる学校のことを耳にしない。まあ、全くゼロというわけでもなくて、今日の日経新聞にはGABAがNOVAの生徒を対象に、契約した10%分の授業を無償で提供するという条件で生徒の「乗り換え」を促しているニュースを見た。その他ネットで検索すると弱小(と言っては失礼か)の英会話学校でいくつか「生徒救済」と銘打って募集もしてるみたい。だけど、あまり活発とは言えない気がする。

 えー。考えられる理由をいくつか。
 NOVAを支援する会社が現れる、または再建する可能性があって、無理に生徒を奪ったときに復活後の「報復」が怖いからという理由。…でもこの可能性はそんなに高いとは思えない。だって、まだどこも支援の手を伸ばしているところは報じられていない。他の業界なら同業他社が買収とかに手を出すのかも知れないけど、でかすぎるのか?
 そしたら次に考えられる理由は、やりたくてもできないから。

 英会話学校というのは、2つの重要な資源を必要とする。学習場所と講師だ。この確保が十分でなければこれが制限条件となって一定数以上の生徒を受け入れることができないからだ。仮に1つの事務所で朝9時から17時まで授業をするとしよう。1回の授業は50分で10分の休憩として、8コマ。講師にも昼ごはんをとる時間を確保するには1人の講師の1日の担当時間数は最大7コマ。1人の講師に週休2日を与えようとすると1週間の最大受け持ちコマ数は35。ということは、1人の講師に1人の教室で最大35回の授業。後は1クラスに何人詰め込むかということと、何部屋用意できるかで、1事務所あたりで相手ができる生徒の最大数が求められる。(いや、まあ、確かに全生徒が週1回来なければもっと相手できるだろうけど、外国語の授業を1週間以上空けたら効果ないで。)
 生徒の数があまりにも多い場合、講師や教室の数の制限からそもそも受け入れることができない、という危険性が高まるってことだ。NOVAからの生徒を引き抜くならそれなりの特典をつけないとやってこないだろうけど、あまりに特典をつけると、以前からの在校生がブーたれるだろう。そのへんのさじ加減が難しいんじゃなかろうか。
 じゃあ、講師(人)も事務所(場所)も込みで生徒(顧客)も抱えればその問題は解決するじゃないか、という考えもあるが、それは次の段にて。

親会社の社長の髪型がなんとなく変な会社の場合

 コムスンが不正請求のために介護事業から撤退する際に、全事業を引き受ける、または買収するとこは現れなかったように思う。まず老人ホーム事業などはわりと早く譲渡先が決まった。これに対し、訪問介護はなかなか決まらなかった。これは何が違うかと言うと、人手の集中度だ。老人ホームということは、ある施設があって、そこ養護対象の人が集って生活しているので、看る側の職員もその施設に集中的に配置できるので効率的だし、万が一深夜に何か起こってもすぐに駆けつけることが容易だ。けれども訪問介護の場合は、当然ながら、介護を必要とする人のところへ行かねばならないから人数も手間もかかる。仮に同じ人数を相手にするなら、施設の方が楽だしコストも低く抑えられる。ビジネス的にはそちらを選択するだろう。もちろん心情的には介護を必要とする人へサービスを提供したいのかも知れないけど、経営的な判断としてはそれが困難ということがありうる。
 このへんの話は上の英会話学校と話は似ている。根本的に違うのは、英会話学校は通えなくなっても生きていけるし、他の学校に移ることは容易だ。けれど介護サービスについては、そのサービスが途切れるということは生活そのものに影響する。だからといって、人と場所と顧客を全部引き受けると経営的にやっていけない。だから全部引き受けるとこが出てこない。。
 ん? じゃあ、なぜ、それまでそのサービスが成り立ってたの?
 …ということで、介護報酬の不正申請がなされてたって事件にいきつくんでしょうなぁ。まともにやったら事業としてペイしない。でも需要はある。しかも費用の全部をサービス享受者かが支払うのではなく、国から受けられるのであればそれなりの書類を整えればお金をゲットできるってことでやった、ということ。

 まともな経営的な判断で同業他社がやりたくてもできないような事業で急激に顧客数を拡大して、しかも事業としてペイさせている場合、他社には前のできないコアな技術がない限り、何かヤマシイことをやってると判断すべきなのですかなぁ。

あと気になるのはねぇ

 NOVAの生徒数って英会話学校に通ってる人間の半数くらいって言われてますよねぇ。その生徒の名簿って、ある種の業界の人にとってはすごくおいしい名簿なわけですよねぇ。それに目をつけた名簿屋さんと、目の前のカネが欲しいと、個人情報を保護するなんていうモラルと魂を売りさばくNOVA社員が手を結べば流出しかねませんよ。
 そういえば、個人情報保護法を遵守する義務のある企業は、企業として存立している間は何とかせざるを得ないのだろうけど、倒産した場合、その対象企業が持ってる個人情報はどうやって保護(または無事に廃棄)されるんだ? それをそこの企業に勤めてた人が持ち歩いて別の会社を起こしたときの顧客名簿として使っちゃマズイんではないかい?

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Updated : 2007/11/05