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Title : Be constructive.
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Contemporary Files #20070607
建設的であること
/ BBSへGo! /

プロとしての仕事

 最近はなんでもかんでもネット経由でできるようになったので、便利といえば便利になった。確かに私個人についても、本の購入なんかでお世話になっている。でも利用頻度の高さから言えば列車の座席予約かなぁ。具体的なサービス名で言えば、新幹線のEXPRESS予約と、近鉄の特急券の予約。まあ、それはさておき。テレビなんかで宣伝してるけど、最近はアルバイトなんかも携帯電話経由(と言っても音声で話をして、ではなくネットで)予約できる。もちろん私は使わないけど、先日、帰宅途中の電車の中で私の前で座っていた2人の学生が大声出しながらバイトの予約(登録?)を入れていた。しかしですな。そのうちの1人がこんなこと言うわけですよ。

「いちおぅ、予約しとくけどぉ、別の予定とか入ったらぁ、行かなくてもえぇやんなぁ。」

 おい。コラ。

…私は心の中で叫びそうになった。バイトを募集してるほうからすれば、(そこに何か悪意がなければ)人手が足りないから募集するのであって、登録したからには来ることが前提で人や仕事の割り振りを考えてるはず。なのに突然「他の用事でいけません」なんてのは、仕事をなめてるよ。もちろんね、自分自身が病気になったとか、親族にご不幸があったとか、大災害で交通手段がないとか、納得できる理由があれば別だが、どうも、その2人には「行けなかったら(連絡せずに)行かなくてもいい」と思ってるフシが感じられてた。

 研修中(≒その仕事に慣れてない期間)は、まあ、ちょっと割り引いて考えていいかも知れないけど、お金を受け取って何かを作って提供する・サービスを提供するのであれば、それはバイトであろうが正社員(または正職員)であろうが、それはプロとしてのレベルを要求されるべきだと思う。それは顧客の立場から考えればよい。同じ価格を払っているのに、たまたま自分の担当になった人が無能で隣と違うレベルのサービスしか受けられなかったらクレームをつけることは不当なことではないだろうに。

そもそも社会保険庁の職員が××だったのではないのか

 さて。国会では連日、厚生労働大臣が年金問題で攻められて/責められてますが。
 いや、まあ、歴代の社会保険庁の長官にまったく責任がないかというとそうではないとは思うけど、仮に上層部が■■(←お好きな罵倒語を入れて読んでたもれ)であったとしても、そんな上司はほうっておいて、個々の職員がまじめに適切に自分の職務をプロとして果たしていれば、年金の記録が大量に宙に浮くという事態にはならなかったのではないか?

 もう少し具体的に言おう。
 最近はあまり耳にしないし、まあ、フツーの人はあまり利用することはないだろうけど、データ入力という仕事がある。一昔前、統計データがこれほど容易に電子データで入手できる時代ではなかったときに、図書館で大量に複写(ちゃんと手続きしてきちんとカネを払って、だからな)してきたデータをファイルに打ち込むわけ。これって、単に打ち込んで、「はい、終わりました」では済まされないよね。きちんと打ち込んだことを確認する。具体的にどうやるかと言うと、まずは目で確認。次に項目数で確認。もし打ち込んだものが数値だったら縦とか横で足してみて和が全部合うかどうかを確認。ごくごく稀に元資料に間違いがあることもあるので要注意だが、それが判明するのもそういう確認作業をやるからだ。たかだか数十万円の仕事に対してでも、そしてその作業を派遣社員やバイトに依頼するときでも、本人に確認してもらい、自分でも確認する。それが仕事ってもんだ。そのデータが仮に間違ってたらそれ以降の自分の仕事そのものが無意味または完全な手戻りになるんだから。

 今回の宙に浮いてる年金の話は、マシンがぶっとんでデータが散逸したとか、テロでハードディスクが磁気的に破壊されたとかいうのではなくて(いや、そう場合を想定して、最後の手段として照合できるようにマイクロフィルムなり紙に出力して保管しとくべきだが)、単に手抜き、はっきり言えばプロとしての仕事を果たせない、××どもの仕業ということに尽きるのではないか?

 この問題で何らかの救済が必要になったなら、社会保険庁職員及びOBの分の年金を差し押さえて、これを財源として使えばどうかな。で、「私はきちんとやった」と言うならそれをそう主張する本人に立証責任を負わせるってことで。
 だってさぁ、自分たちのずさんな仕事で国民の財産権を奪ってんだよ。

お役所が無能でよかったのかも知れないよ。(反語 @@;)

 しかし、今の混乱した状況は、住基ネット導入に反対していた人には朗報なのかも知れない。
 というのは、仮に宙に浮いてるのが1億件であったとしても、社会保険庁の役人が「いえいえ、ご心配には及びません。このようなこともあろうかと、国民の皆様の職歴・収入・財産・納税記録・出生・転居・転職及びその他もろもろのデータを一括して管理しているデータベースで調べればものの1か月で照合は済みますので。」なんて言われたら、それって便利! という反応じゃないでしょーに。
 つまり、今の混乱状況は、それができないことを示してる。(いや、まあ、ひょっとしたらできるけど隠しているだけという可能性はなくはないが、それほど優秀とはとてもじゃないが思えない。)

 しかし逆に言えば、統治する側からすれば、今回の騒ぎは、「再発を防ぐために」という大義名分の下に、国民総背番号制を導入し、国民1人1人に関する情報及びカネの流れを一括で管理するシステムを構築する一大チャンスである! んなわけで、気になる人はこの騒ぎが終了後、しばらくは注意しておくように。

もう少し建設的に考えろよ、エライさんがた。

 しかしねぇ、今の大臣に「責任とれ」と言ったところで埒があかないし、過去に遡って責任者が出てきて「ごめん」と言われても事態は改善しないわけで。与党はもちろんだけど、野党もね、本当に国民のことを考えるならただただ責めてるだけじゃなくて、具体的な案を考案して提出すべきじゃないのかなぁ。仮に与党が野党の案を丸呑みしたとしても、その案を提出したのが野党だったら、有権者はきちんと評価しますって。年金を既に受けている/もうすぐ受ける人には、「誰が悪いか」がわかることじゃなくて、「もらえるべきものはもらえるんだろうね?」という不安が解消されるほうが重要でしょうに。
 実際にどうやって照合し、救済すべきは救済し、そうでないただ乗り連中は除外するか、その具体的な方策をまだ誰も提示してないんじゃないのかなぁ。社会保険庁のページに「年金記録への新対応策パッケージ」として今後の対策が載っているけれど、これって要するに「がんばります」という精神論であって、具体的に実現できるようなイメージが全然わかない。

 ちょっとまじめに、照合する方法を考えてみよう。

 データベースで照合と言えば、要するにあるデータ項目(フィールド)について値がある条件を満たすものを検索してくる作業のことだ。「ある条件」とは「完全に一致する」であることが多いけれども、これを「ある範囲内にある」とか「読み方が1文字違い」とかいろいろ設定することは可能だろう。今回の場合は、名前・生年月日・住所などが一致または関係付けられているものを探すということなのだろう。けれど、それは、データベースに入ってる値が正しいこと及びそれ以外にデータがない場合にのみ正しい結果になる。そもそも手違いでデータベースない人は対象外だ。だから「社会保険庁のデータベースのデータから確認する」というのはそこからこぼれる人を救済できないんじゃなかなろうか。

 そこでこんなのはどうだろう。もちろんこの作業は社会保険庁だけではできないので全国的な大作業になるが、国民にとって不都合なことではないはずだ。

  1. そもそも以下の作業を行うのに人とカネと場所といろんな機関のデータベースを使える権限が要るなぁ。
  2. 各自治体において、管理している住民票のデータを基にすべての20歳以上の人をリストアップする。
  3. 社会保険庁は、そのリストから高齢の人から順にそれぞれの人の支払い履歴を整理する。社会保険庁側のデータベースにある番号を基に誰がリンクするかを確認するのではなくて、住民1人1人にどの番号がリンクされているか・されるべきかを確認する。ひょっとしたらこの段階でマズイこと(例えば実は重複してたとか)が発覚するかも知れないが、それはそれで膿を出すのも仕方ないだろう。
  4. 各人について、データベース上での未納期間が発生した場合、本人に確認の要請を行う。もし納入した証拠があればそれに基づいて訂正する。証拠がない場合でも主張に整合性がある場合(たとえばその時期の住民税・所得税等の各種税金及び健康保険料などをきちんと納入していることが別途確認できて、これだけ払っていないと考えるのも不自然な場合など)にはこれを認める。
     (この判断はケースバイケースだろうから、この判断の基準は常に全国で共有して公平をできるだけ保つようにしてほしいな。)
  5. 過去一定期間以上(例えば最近1年間)年金を未納の者はその照合作業の対象からはずす。
    払えるのに払わない人に便宜を図る必要はない。そういう人が「自分は払った」と主張するならその立証義務を負わせる。そうしないとまじめに払っている人との公平感が保てない。国民年金の4割が未納なんだから、かなり作業が効率化するはず。ただし収入が少なくて払えない人は別の方法で救済することが前提である。
  6. 照合しきれない部分がどうしても残るでだろう。それはおそらくゼロにはできない。しかしその支払いに充てられるべきであった金額は明らかにし、それと同額を高齢者の福祉のために充当するか、年金支払い記録はないけれどもどうやら支払っていそうだったので年金を払うことに決めた場合の。

 これが完璧なアイデアとは言わないけど、この揚げ足を取ることに精を出すくらいならもっといい案出してくれ。あなたの溜飲が下がることよりも、国民に利するアイデアがで出るほうが世の中のためだ。

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Updated : 2007/06/07