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Title : Ask not what your local goverments can do for you, ask what you can do for your local goverments.
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Contemporary Files #20070226
自治体ができること、自治体にできること。
/ BBSへGo! /

夕張はある意味ラッキーだったのではないか

 最近、北海道へ夕張市に対する様々な支援やイベントの開催などがよく報道されている。これは財政破綻した夕張市を応援しようと言う動きなわけだが、どうも私には腑に落ちない。いや、別に、支援するなって言うわけじゃない。とっても一時的なものになりはしないかという危惧が先に走るのだ。
 自治体が「財政破綻」ってったって、そこから立ち直るってどういう状態を指すんだろう、というのが単純にわからなかったから。

 数年前、勤務先の会社が資本金以上の大赤字を出してしまって(いわゆる債務超過ってやつね)、文字通りのリストラがあって、従業員もかなり減って、2〜3年は厳しかったけど、最近はなんとか債務を返し終わって黒字まで出せるようになった。まあ、某大企業の関連会社だからそのまま倒産せずに済んだという面は大きいけれどね。大企業が後ろだてにあるから、銀行もそれを担保に(?)貸してくれる。親会社もそれなりの仕事を発注してくれる。まあ、そういうのも含めて、とにかく債務を返済し終えるってことがポイントになる。

 じゃあ、自治体の場合ってどうなんだろうか。
 大体自治体で黒字のとこなんてそうそうないので、債務超過になったって、それを各年度の黒字で返済することがそもそもヒジョーに困難だ。となると、「財政破綻」じゃない状態に戻れるのか? ってことが疑問になってたわけだ。

 それともう1つ気になっているのが、今、夕張市は全国各地から支援の手が伸ばされてるから、ひょっとしたらそんなイベントのおかげで観光客が増加して税収が増えてなんとかなることもあるのかも知れないけど、それは夕張という街が、全国的にそれなりに名の知れた街だということが有利に働いていると思う。じゃあ次に破綻した自治体が日本国中が「それ、どこ?」っていうとこだったら、夕張に対して全国の人がしたような支援がなされるだろうか。まあ、次の2つ3つはいいのかも知れない。これから20番目に破綻した自治体なんて見向きもされないんじゃないか?

夕張が最初というわけではないのね

 恥ずかしい話だが、財政破綻した自治体は夕張市が最初だと思っていた。でも上のセクションで書いた疑問を解消しようといろいろ調べていくと、かなりの数の自治体がこれまでに破綻していたことを知った。ああハズカシ。(*/o\*)

 自治体の財政破綻(からの再建)は地方財政再建促進特別措置法に定められていて、赤字額が標準財政規模の5%(都道府県の場合)または20%(市区町村の場合)を超えれば「破綻状態」にあるとし、この状態の自治体が総務大臣に申請して指定を受けた段階で財政再建団体と呼ばれる。

 標準財政規模とはその地方公共団体の標準的な状態で通常収入が見込まれる一般財源の規模を示す指標。
 ((基準財政収入額)−(地方道路譲与税+ 特別とん譲与税+自動車重量譲与税+航空機燃料譲与税+交通安全対策特別交付金 )) ×100/75+(地方道路譲与税+ 特別とん譲与税+自動車重量譲与税+航空機燃料譲与税+交通安全対策特別交付金 )+普通交付税 で計算される。

 出典:銚子市HP内の財政用語集
http://www.city.choshi.chiba.jp/zaisei/ki_zaisei/yougo.html

 破綻状態になっても申請を出さずに自主再建する道もあるが、この場合にはそれこそ「自分でやってね」となるので再建のための国からの各種支援策が受けられないことになる。さて、自治体が財政再建団体となると、国の管理下に置かれることになるため、要するに「自治」体ではなくなってしまう。なんだかんだと言っても自治体としての歳入を増やさないといけないが、各種税金は法律で定められているから自分たちだけで高くすることもできないので、いろんな自治体の施設使用料だの手続きのためjの手数料だのを上げるとか、住民への各種給付金を削減するしかない。自治体に勤めている公務員も諸手当が減額されるとかなくなるとかってことで、たぶん、おいしい目を見る人は居ない。

 で、こんな状況に置かれた自治体っていうのが、1957年以降で288自治体あった。(おお、こんなに、という感じ。)
 最近では福岡県の赤池町(現在は合併して福地町の一部)が1992年に財政再建団体に指定され、2001年に再建を完了している。赤池町は、夕張と同様、炭鉱の街だった。当時はこの赤池町しか財政再建団体がなかったので話題になったそうだが、どうも覚えがない。比較的ニュースをこまめに押さえている私でも(認識不足もあるだろうが)覚えていないのだから、(周辺地域の人はともかく)多くの人が知らなかったのではないか?

 今後、破綻する自治体が続出するだろうが、そのときに参考になるのは全国的に有名である夕張ではなく、まだ「自治体財政破綻」が注目される前に再生を果たした旧赤池町のほうだ。

 ただ、自分の住んでいる街が財政再建団体になったとき、自分ならどうするかということだけれども。私個人に限って言えば、今住んでいるところは賃貸マンションでちっとも「終の棲家」とは思ってないので、近傍で住民税も安くて市民サービスが比較的ましなところに移住する。将来的に実家のあるとこに戻ることがあって、そういう事態に直面したら、たぶん、それなりに我慢して再建に協力してもいいかなと思う。(そのとき私とは生まれた場所が違う妻がどういうかは大問題だが。)
 自治体が何をできるかというと、いかに住民に「自治体に何ができるか」を問うような気持ちにさせるかってことだと思うゾ。

東京都知事選に都民以外は口をはさむことができるか

 えー、さて。自治体がらみで最近わけわかんないニュースの1つが都知事選の候補者。現職の石原知事が立候補するのは、まあ、いいとして、対立候補が、ねぇ。

 私は東京都民じゃないので、どーでもいいや、と感じる部分もあるんだけど。でもね、東京って1自治体ではあるけれども、日本の首都機能が集中している場所でもあるんだわな。で、どこがそうなんだと言われたら困るんだけど、石原都知事って、「東京都が東京のために政治やって何が悪い!」みたいなとこを感じるのよね。もちろん石原氏のウヨクっぽさとか力の信奉者っぽい傾向もあるとは思うけど、そのぉ。「アイツはイヤだ」という理由で首長を決めるわけにはいかんだろうに。当該自治体の住民じゃない身としては口を挟むべきじゃないのかもしれない。けどね、東京(の23区の中心部分、と言うべきかもしれないけど)は日本の首都なんだよ。東京以外の人もお世話になることもあるし、逆になんでもかんでも東京に集められてもどーだかなぁ、と感じてる部分もあるわけだ。

 んなわけで、都知事選の対立軸は、「石原か非石原か」ではなく、「東京のための東京か、日本のための東京か」であってほしい。その上でそれを実現できる人が立ってほしい。民主党も人を探すならそういう人を立ててくれい。そうじゃなくて民主党も「東京のための東京でいい」っていうなら黙ってなさい。あ、もちろん手法が異なる人を立てるならそれもありだろうけど、対立軸を設定しにくくなるぞ。


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Updated : 2007/02/26