今日（１５日）から東京電力の原子炉17基がすべて停止するらしい（→東京電力 2003/04/13付プレスリリース：「福島第一原子力発電所６号機の点検停止について」）。合計して 1730.8万kW の発電能力が発揮されない状態にあるってわけで、このままだと夏場に停電が起こるかもという危惧がある。この 1730.8万kW の発電能力ってのは東京電力全体の３０％くらい。火力が５６％くらい、水力が１４％くらいっていう配分だ。で、今年の夏には 570 万kW ばかり不足するだろうと予測されてる。
　まあ、私が物心ついたころには、もうそんなことはなかったが、私が生まれる少し前くらいまでは結構関西地方では電力不足があって、計画停電ってのもあったらしい。（それを克服するために関西電力が社運をかけて作ったのが、Project X で有名になった黒部第４ダムだな。）

　さて、と。そこで思うんだけどね、本当に不足するのかねぇ。「電力が不足する」ってどういうことなのか考えてみるとだな、今はまだ電力の先物市場や先渡市場は日本にはないんだから、本当に不足するかどうかはそのときにならんとわかんないわけだ。「不足するから節電してね！」という呼びかけが幸か不幸か功を奏した場合、東京電力にとって困ったことになりゃしないかという気がするわけね。だって、原発なくても乗り切れるじゃんなんてことにみんなが気づいてしまうから。電力の安定供給というミッションを満たすために原子力を推進してきた（いや、まあ、エネルギーの中東依存を下げるとか、排出するCO2を減らすとか他にもいろんな側面はあるんだが）ことが成立しなくなっちゃうから。だって「原発なくたって夏場を乗り切れる」っていう事実が現出してしまうもんねぇ。
　じゃあ、だからって予測どおり不足してあちこちで停電が起こったら起こったで、東京電力としては大変な損失だ。困るだろうなぁ。

　ほほっ。原発反対派がほくそ笑む顔が見えるようだ。もしあなたが原発反対派だったら、一大キャンペーンを張って、夏場の電力不足を乗り切ってしまうっていう手に出るべきだよ。世の中の大半の人が間違ってるんだけど、省エネってのは、使うときに効率的に使うよりも、そもそもエネルギーを使わないほうが断然「省エネ」になるんだから、「環境にやさしい」戦術にもなるはずだ。
　それでもって、もしあなたがそれを阻止したい側だったら、微妙な量でいいので電力不足に陥るように電力を消費しよう！　もしくは、どの地域でどの程度の不足が起きそうか、また、実際に不足したかを克明に記録しよう。そういう地域は「足りなくなるからみんな我慢してね」って呼びかけられて、それでも使う自分勝手な連中が集まってるってことだ、というネガティブキャンペーンを張るんだ。そういう需給逼迫度にあわせて電力価格を変動させるのも面白いかもね。

　いやあ、こんなこと書いてると電力会社さんから目を付けられるかなぁ。
　悪意はないっすからね。単に可能性を述べているだけでして。（小心者の私。ウフ。）