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Title : New princess was born.
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Contemporary Files #20011212
新宮誕生
/ BBSへGo! /

 いやあ、最近、更新が滞っていて申し訳ない。できるだけ(?)週ごとの更新を守っていく所存なので、またまたよろしく。

 以前、私はこんなことを書いた。

現在、天皇家・宮家には直系の男児がいない。このまま男児が生まれず、現状の皇室典範に従うならば、さほど遠くない将来、天皇を継ぐ者がいなくなる。そうなったとき、日本はまじめに憲法・天皇に関する問題に直面せざるをえなくなる。
 「立憲君主国」を続けるのか。(それなら皇室典範を変える必要あり。)
 「民主制」に移行するのか。(それなら憲法第1章の改正の必要あり。)
[Contemporary Files #19991115:日本で「愛国者」は可能なのか?(その2)

 もちろん、このほかに、最近議論が起き出している、女性の天皇即位を認めるという選択肢もありうる。
 が、私はなんだかひっかかっている。天皇に女性がなるのがイヤだというではない。女性の天皇即位を検討する理由に「男女平等」とか「共同参画」とかが挙げられていることのほうに違和感を持っているのだ。

 石を投げつける前に私の言うことをとりあえず聞いてくれぃ。
 「女性の天皇即位を認める」という議論そのものは、既に天皇位の継承その自体には何の疑問も問題提起もなされず、当然のこととして素通りをしてしまっていることを忘れてるんじゃないかってことだ。いやあ、あのぉ、こう書くと、Felixは天皇制を認めない(んー、「天皇制」という言葉自体が、ある種の価値観を反映しているというツッコミもあるんだろうが、とりあえず使うことを許してくれい!)ように思われるかも知れないが、そんなんじゃない。
 まず憲法の第1条と第2条を眺めてほしい。

第1条
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く
第2条
皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する

 いやあ、実はさぁ、天皇の地位に関して一方では「国民の総意に基づく」と言い、他方で「皇室典範の定める」と言った場合、その両者に齟齬はないと言えるんだろうかってのが疑問でね。建前としては「国民の総意」とやらが国会を通して皇室典範に反映されておるのじゃあ!という言い方も可能なんだろうし、統治する側の論理としてはそう主張せざるを得ないんだろう。
 いいかい、日本が「男女平等参画社会」を目指しているから女性にも天皇即位を認めようってのは、女性の地位の向上云々の議論ではなくて、誰かが天皇になってくれなくちゃ困ると思ってる人々が進めている議論じゃないのかって考えてみてごらんよ。本当に男女間の平等とか、人間の平等な社会参加とかを推進したいのなら、生まれながらにして特別扱いされる家系の存在を認めるのって矛盾してるぞ。「愛子内親王が天皇に即位できればいいのに!」なぁんて言ってるそこのあなた。天皇に即位させられる側の立場になってものを考えてみようよ。そもそも天皇家の人々は日本国憲法に定める基本的人権を剥奪されてんだよ。嘘だと思うなら、憲法の条文(特に第三章 国民の権利及び義務)と天皇家の人々の現状を比較してみなよ。

いったい誰が、誰のために「女性の天皇即位を認める」んだ?


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Updated : 2001/12/12