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Title : Trotz
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Contemporary Files #20010117
それでも
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 1月16日、仕事の関係で兵庫県の姫路まで行ってきた。職場の京都からJRの新快速で1時間半の距離である。この区間を通ったことのある人にならわかてもらえるだろうが、本当に、神戸周辺の地形というのは横に細長い地形なのだ。山がすぐそばにまで迫っており、狭い平野部の中にJR・阪急・阪神の3つの鉄道と、様々な道路が山と並行に東西に走っている。そしてすぐ海だ。そういう狭いところに多くの人が住んでいる。そういう場所に大地震が起こったのだ。JRの新快速から見える風景は、震災直後によむ目に飛び込んだ破壊の後を見つけることは難しくなっている。それだけ町並みの復興は進んできているということだ。
 昨年も震災について書いたが(Contemporary Files #20000124:神戸)、若い人を中心に神戸を離れて住もうとしているという感じがする。もともと神戸にいた人は、それでも神戸で生きていく。

 最近気がついたのだが、ドイツの学者で、何人か、著作の中の象徴的なことばに「にも関わらず」「それでも」という言いまわしをしていることに気がついた。
 V.E.フランクルは『それでも人生にイエスと言う』と言っているし、M.ウェーバーも政治家の資質として、どんな困難にも「にもかかわらず!」と取り組む姿勢を挙げている。

 「にもかかわらず」を表すドイツ語の単語は trotz であり、これは名詞の Trotz から派生している。そしてこの言葉は「勇気」「抵抗」という意味だ。どんな苦難があっても、それでも(勇気を持って!)立ち向かう、それが前向きの「それでも」なのだ。


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Updated : 2001/01/17