Location : Home > Contemporary Files > 1999 Title : For whom they fight? |
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シアトルが熱い。
シアトルでは、先月30日から、WTO(世界貿易機関)の閣僚級会議(シアトル・ラウンド)が開催されていたわけだが、まず、WTOそのものに反対するNGOらが、シアトル市長が非常事態宣言、ワシントン州に州兵の派遣要請を出さねばならないほど過激な抗議行動をとったのだ。
なぜ、このような事態となったのか。
海外では、消費者活動団体などを中心に、WTOが進めようとしている、規則の世界共通化が、環境・健康・人権を蹂躙するものであるとの指摘をする動きが、少し前から活発化してきた。どちらかと言うとリベラル(日本語で書くと、ちょっと意味が変わるかも。"Liberal"ね。)な勢力から。
アメリカ合衆国のNGO・Public Citizen はこの10月に『誰のための世界貿易か?(Whose Trade Organization?)』を発表し、世界を1つのマーケットにすることで、結局、強者が独り勝ちすることを是認することになるだろうと指摘している。
おそらくこの指摘は正しい。
単純な貿易の自由化は、脆弱な基盤しか持たない国の産業を容赦なく踏み潰していくであろう。リカードの比較優位説は、学問的には正しいのかんも知れないが、現状を固定する、いや、その状況から逃れられなくする危険性がある。
しかしながら、だからと言って、暴力でWTOの会議を封鎖しようとするのはどうだろうか。
一方で、WTOの会議の内容そのものも、特にアメリカの国益優先の姿勢によって、決裂してしまった。
いったい、誰が、この結果を望んだのか?
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Updated : 1999/12/06
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