Location : Home > Contemporary Files > 1999 Title : Will CTBT fade out ? |
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パキスタンで13日、軍事クーデターが発生した。
そのためにあまり大きく報じられなかったが、12日にアメリカ上院は、包括的核実験禁止条約(CTBT;the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)の批准を否決した。
CTBTは実効化するには、条約が採択された時点(1996年)で国内に核施設を保有していた44カ国のすべての批准が必要であり、26カ国が批准を終えている。
核を制御する知識は極秘情報ではなく、いわば、単なる技術情報でしかない。国家がその気になって核施施設を作り、そこで発生する核物質を精製・蓄積して核爆弾を作るのはさほど困難ではない。しかし、これを実質的に利用可能な兵器にするには核実験が必要である。だからこそ、核非拡散のために実験を禁止する必要がある。アメリカがCTBTを支持してきた理由はそこにあったはずだ。CTBTに最初に署名したのもクリントン大統領だ。にもかかわらず、上院は批准を否決した。
報じられるところによると、クリントン大統領の影響力を弱めるために多数派の共和党が反対に回り、しかも、否決されることにより共和党への評判が落ちることを見こんで、民主党側も何が何でも通過させようとしなかったという、国内の党派間抗争の具として用いられたらしい。
ちなみに米上院では、CTBTの他、
といった軍縮に関する条約を批准しないままでいる。
インドとパキスタンに核を捨てろと迫る前に、自らが範を垂れる必要があるのではないか、アメリカよ。
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Updated : 1999/10/25
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