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Title : 1984 : Big Brother Watches you!
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Contemporary Files #19991011
1984
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 10月4日、巨大与党が誕生した。

 最近、何冊か政治学関連の本や、自自公体制に関する批判を読んでいるけれども、だいたい切り口は「民主主義の危機」だ。

 まず、「多数の専制」という批判である。多様化した時代では、民衆の意見が一致するわけは無くて、少数意見を尊重するという前提のもとで多数意見に従うという方法(多数決)を採っている。それが守られるか、ということだ。先般の国会での強行採決などなど、危険はないとは言えない。

 次に、その多数で何をやるかである。
 先般成立した、ガイドライン法・通信傍受法・国家国旗法・住民台帳基本法の制定・改定で、何が見えるかということだ。
 個々の法律に関しては、それぞれ「大義名分」や制定理由があるし、その手の法律が全くない状況よりはマシではないか、と思う。

 このあたりは、異論のある方は多いと思うし、心情的にはわかる気もする。
 しかし、何かあった時に対応する法律がなかったら、この国の機構は何も動かないのだから、ないよりは有った方がよくて、いったん成立したら、それが正しく機能するように改変なり条例制定などを繰り返せばよいのではないか、それが現実的ではないかと思う、ということである。

 「反対!」とだけ叫びつづけ、結局ザル法のままにしておくとか、廃止してしまって、この法律でしか取り締まれない行為で多大な影響が出た場合、反対した者ではなく、その時の政府与党が責任追及されるだろう。それはやはり何か変だ。

 この中で、「危険」なのは、住民台帳基本法の運用ではないかと思う。
 その他の3つは、危ない使い方をされるときは、比較的、目に見えてわかるようなもののように思う。

 なぜか。

 国民1人1人に当てはめられた番号を、民間も利用するだろう。そして、それとリンクした、民間が持っている個人データ(たとえばクレジットカード番号・各種保険証の番号等)と掛け合わせれば、個人に関するかなりの情報が、その気になれば検索可能−しかもそういうことをされているとはその番号を持つ本人には確認はまず不可能−がからだ。

 オーウェルの『1984』ではないが、Big Brother Watches you! ということになり兼ねない。

 個人が情報を守る方法も抱き合わせて必要なのだが、この政権はそういうことをやってくれるだろうか?


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Updated : 1999/10/11