Location : Home > Contemporary Files > 1999 Title : What should we buy? |
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バブル崩壊による不良債権の大きさは、平常の金銭感覚をはるかに超えており、最終的にツケを払わされる国民にはピンとこない。これをわかりやすく表現してくれた絵本が最近出版された。それが村上龍著&はまのゆか画の『あの金で何が買えたか』(小学館)である。
いくつか例を挙げよう。
投入額(単位億円) | その額でこんなものが買えた | |
項目 | 金額(単位:億円) | |
日本興業銀行 公的資金 6,000 | 難民への経口補水塩補給 バリアフリータウン建設 おつり | 985.500 5,000.000 14.500 |
第一勧業銀行 公的資金 9,000 | スフィンクス修復 途上国の子供すべてに基礎教育 アフリカ象保護プロジェクト(100年分) おつり | 3.375 8,400.000 24.000 572.625 |
さくら銀行 公的資金 8,000 | ワシントンポスト シカゴ・ブルズ タイガーウッズ(1年契約分) おつり | 6,600.000 1,200.000 48.000 152.000 |
っと、これは掲載順だが、面白いなと思ったのは、次の2つ。
投入額(単位億円) | その額でこんなものが買えた | |
項目 | 金額(単位:億円) | |
東洋信託銀行 公的資金 2,000 | 家電リサイクルセンター建設 公立の全学校にパソコン設置 全都道府県に蛍光灯のリサイクル施設 おつり | 500.000 1,368.000 47.000 85.000 |
中央信託銀行 公的資金 1,500 | アップル社 ロベルト・バッジョ(2年契約分) シベリアトラ保護プロジェクト(50年分) おつり | 1,440.000 3.500 18.000 38.500 |
アップル社にバッジョなら手元に置いておいてもいいかな、なんて不埒なことを考えてしまった。
この本には、公的資金のほかに、不良債権額や、債務超過額で同様のことを行っており、なかなか面白い。
読んでいると、2つの方向の驚きを感じることができる。
いかに、それらの額が大きいのかという驚きと、逆に、それに対比されているもの(「こんなものが買えた」とされているもの)の額が、思った以上に安いという驚きだ。だから、なおさら、銀行に出すくらいなら。。。なんていう感想を持ってしまう。
たとえば次のようなものだ。
こんなものが | こんな額 |
ルワンダの全家庭にマラリア感染予防のために蚊帳提供 | 45億円 |
敦煌修復 | 81億円 |
カンボジアの地雷被害者に義足提供 | 120億円 |
世界中のこどもに小児麻痺の予防接種 | 300億円 |
国連予算 | 1200億円 |
世界のすべての地雷撤去 | 3兆9600億円 |
ふむむむむ。
お金。
どう使えば活きるのだろうか、と考えさせられる絵本なのであった。
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Updated : 1999/09/13
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