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Title : What should we buy?
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Contemporary Files #19990913
あの金で何が買えたか
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 バブル崩壊による不良債権の大きさは、平常の金銭感覚をはるかに超えており、最終的にツケを払わされる国民にはピンとこない。これをわかりやすく表現してくれた絵本が最近出版された。それが村上龍著&はまのゆか画の『あので何が買えたか』(小学館)である。

 いくつか例を挙げよう。

投入額(単位億円)その額でこんなものが買えた
項目金額(単位:億円)
日本興業銀行 公的資金 6,000難民への経口補水塩補給
バリアフリータウン建設
おつり
 985.500
5,000.000
14.500
第一勧業銀行 公的資金 9,000スフィンクス修復
途上国の子供すべてに基礎教育
アフリカ象保護プロジェクト(100年分)
おつり
3.375
8,400.000
24.000
572.625
さくら銀行 公的資金 8,000ワシントンポスト
シカゴ・ブルズ
タイガーウッズ(1年契約分)
おつり
6,600.000
1,200.000
48.000
152.000

 っと、これは掲載順だが、面白いなと思ったのは、次の2つ。

投入額(単位億円)その額でこんなものが買えた
項目金額(単位:億円)
東洋信託銀行 公的資金 2,000家電リサイクルセンター建設
公立の全学校にパソコン設置
全都道府県に蛍光灯のリサイクル施設
おつり
500.000
1,368.000
47.000
85.000
中央信託銀行 公的資金 1,500アップル社
ロベルト・バッジョ(2年契約分)
シベリアトラ保護プロジェクト(50年分)
おつり
1,440.000
3.500
18.000
38.500

 アップル社にバッジョなら手元に置いておいてもいいかな、なんて不埒なことを考えてしまった。
 この本には、公的資金のほかに、不良債権額や、債務超過額で同様のことを行っており、なかなか面白い。

 読んでいると、2つの方向の驚きを感じることができる。
 いかに、それらの額が大きいのかという驚きと、逆に、それに対比されているもの(「こんなものが買えた」とされているもの)の額が、思った以上に安いという驚きだ。だから、なおさら、銀行に出すくらいなら。。。なんていう感想を持ってしまう。
 たとえば次のようなものだ。

こんなものがこんな額
ルワンダの全家庭にマラリア感染予防のために蚊帳提供45億円
敦煌修復81億円
カンボジアの地雷被害者に義足提供120億円
世界中のこどもに小児麻痺の予防接種300億円
国連予算1200億円
世界のすべての地雷撤去3兆9600億円

 ふむむむむ。
 お金。
 どう使えば活きるのだろうか、と考えさせられる絵本なのであった。


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Updated : 1999/09/13