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Title : Disarmament
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Contemporary Files #19990705
武装解除の難しさ
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 コソボ難民の窮状が伝えられている。安保理でも決議が採択され、KLA(Kosovo Liberation Army;コソボ解放軍)の武装解除が謳われている。KLAはコソボの自治を求める民兵組織であり、ユーゴ軍が展開している際には抵抗力として作用したが、現在ではコソボ地域の安定には寄与できていない。

 新聞を見ていると、北アイルランドの和平に関しても IRA(アイルランド共和軍)の武装解除問題で難航している。こちらは、IRA の政治組織シン・フェイン党が和平合意にしたがって2000年5月までに IRA の武装解除を段階的に進める案を提示したが、着手時期は明確でなく、問題となっていた。

 最近では、なかなか報道されなくなったが、カシミール地方ではまだインドとパキスタンとの間で紛争が激化している。両国は事態打開を模索しているが、パキスタンの武装勢力の掃討がうまく作動していない。

 武装解除。これは信頼と背中合わせである。

 自分が武器を置いたとき、相手も武器を置くこと。相手が武器を隠しもっていないこと。
 もしくは、武装解除を進める組織が双方の解除を保障すること。

 日本で400年ほど前に行われた「刀狩り」は後者の方法である。が、国際社会では、国家より上部の組織が存在しない。だから後者の方法は取ることができない。では前者はどうか。相手を信頼するから武器を置けるのか。相手が武器を置いたら信頼できるのか。これは「鶏と卵」問題である。このレベルで押し問答している限り、事態は改善しない。

 信頼醸成のための枠組み−この検討・構築が望まれる。


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Updated : 1999/07/05