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Title : Kosovo ; and after ...
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Contemporary Files #19990607
コソボ停戦、その後。。。
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 報道によれば、セルビア共和国議会は3日、チェルノムイルジン・ロシア大統領特使と欧州連合代表のアハティサーリ・フィンランド大統領の提示した和平提案を受諾した。その和平案の骨子は以下のようなものであるという。

  1. コソボでの武力行使と抑圧の即時停止
  2. 検証可能な形でのユーゴ連邦軍・セルビア治安部隊・民兵組織のコソボ撤退と完了後の緩衝地帯の設置
  3. 国連指揮下の文民・治安部隊のコソボ展開
  4. アルバニア系難民の安全帰還のため、NATO主体の統一された指揮・命令系統をもつ国際治安部隊を展開。国連難民高等弁務官事務所など国際組織の活動の保障
  5. 国連安保理の指導に基づくコソボ暫定自治政府の設置
  6. ユーゴ側兵力撤退後、国際組織との連絡、国境地帯の監視、地雷除去、セルビアの遺跡保護などのための要員再配置の容認
  7. ユーゴ連邦の領土保全とコソボ解放軍の武装解除。問題解決のための政治プロセスの確立
  8. 地域経済復興のための国際協力
  9. ユーゴ勢力の撤退開始後に空爆を停止。さらに対空砲などを緩衝地帯から移動

 さて、この中で気になるのは、5番目の「コソボ暫定自治政府の設置」と7番目の「コソボ解放軍の武装解除」である。
 どうも日本国内ではコソボ解放軍(KLA ; Kosovo Libereation Army)に関する動向が伝わってこない。
 国連難民高等弁務官事務所のサイト国連 News の記事を読んでいると、「国境付近の戦闘で、難民が越境できない」というような記述が見られる。これは当初、空爆のためだ、と思っていたらそうではない。KLAとユーゴ軍との地上戦なのだ。確かに空爆と言っても、都市全体を破壊するための絨毯爆撃を行っているわけでもないので、時間さえ選べば歩いて越境できるだろう。それができないということは、地上で戦闘があったということだ。
 KLAが武装解除に応じるか。これがキーポイントになるだろう。武装解除が進まなければ暫定自治政府の設置も困難であろう。

 フォーリン・アフェアーズに掲載された「コソボ紛争は分離独立でしか決着しない」("Kosovo's Next Masters" by Chris Hedges;論座1999年7月号所収)によれば、KLAが率いるコソボは、交渉によってであれ、武力によってであれ、セルビアから分離独立するという形で決着するだろうと見ている。
 国際的な治安部隊がコソボに入ったとして、どうやってある人物が KLA の構成員なのかそうでないのかを判別できるのであろう。実はこれから先のほうが大変なのではないだろうか。


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Updated : 1999/06/07