Location : Home > Contemporary Files > 1999 Title : Now in 1999 |
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毎年秋になると各シンクタンクが明年の展望をまとめて本にする。
それを年末年始の休みを利用して読み比べてみた。
ちなみに入手したのは以下の通り。
これらの本は別に内容の構成がそろっているわけでもないので単純には比較できないが。。
日本経済・景気全般
これが上記の本に共通した見方である。
でも、まあ、基本的には、これでもか、というくらいに日本が不景気である/になった理由を章を割いて説明している。たとえば三和総研(『1999年 日本はこうなる』)の日本経済に関する章では、
個人消費:雇用不安と所得の伸び悩みで低迷が続く。
雇用・賃金:構造的調整圧力から厳しさが続く
設備投資:設備ストック調整が尾を引き低迷が続く
…
という具合だ。そこまで「低迷だ」と言いたいのか、おい、って感じ。
しかしながら、低迷する経済のなかで苦しむ企業があるなかで−って今の職場の受注状況もけっこうたいへんだけど−、一方では伸びて行く企業の話も耳にし始めている。悪くなる一方だった去年前半のことを考えたら、最近は、沈んでしまう力とはい上がろうとする力のせめぎあいが起こっているような感触がある。12月の堺屋経済企画庁長官の発言は、単なる希望的観測というわけでもないような気がするのだが。。。
最近では「日本は復活する」という意味のタイトルの本がいくつか出回っており(たとえばL.サローとかB.トッテンとか。あ、アメリカ人ばっかり。そういえばもっとすごい不況/恐慌がくるとか言う本は日本人が書いてたりするな。)、その根拠は日本経済は全崩壊に至るほど脆弱ではないことに加え、金融危機が基本的に終わり、在庫調整や不良資産の処分などが終わりつつあることだ。個人的な意見としては同意したい。2000年の正月は、今年の正月よりは明るい気分で迎えられるのではないだろうか。
世界
野村総研の『日本の優先課題 99』の第1章に掲載されている、円ドルレート(対前年比)とアジアの経済成長のグラフが一目瞭然である。といっても勝手にここに載せるわけにいかないので−最近のシンクタンク本って元データの出所がオープンなものでも、「統計より○○研究所作成」って書いて著作権をモロ主張しちゃうから−おおよその動きを説明すると、1986年〜89年やあたりの円高期には対アジアの直接投資額が伸び、経済成長率も高くなっているというグラフである。まあ、グラフがそうだからといって因果関係が成立するわけではないが、何らかの共通の要因が潜んでいることは確かである。
で、アジアの成長率が高くならないと日本も進出していけないというわけで、悪循環。
アジアのためにも、がんばれ日本! 日本チャ・チャ・チャ!!
我が世の春を満喫するアメリカ合衆国。アジアとロシアの経済悪化がジワリジワリと響いてくる。それと、昨今の「好景気」やここ数年の株の高騰で、必ずしも国民全員が潤っているわけではなく、貧富の二極分化先鋭化していると伝えられている。
株価が急落し、消費者の購買意欲が急激に冷え込んでしまったら、結構ヤバイかも。
1999年元旦に始まったユーロ。導入前の不安視する声も何のその、今のところユーロ高気味−というか上記のようなことで先行不安でドルが勝手に安くなっているのか−である。
ユーロについては各本で、まったく一致していて、「米ドルに次ぐ第2の機軸通貨に」である。ただし、思ったほど経済的な効果がない場合、ナショナリスティックな反動が各地に出て社会不安が引き起こされるだろうという点まで同じである。ま、その通りだけれども。
おまけ:99 & Y2K
不思議と各本で、「2000年問題」に触れていない。たいしたことないって踏んでいるのだろうか。あ、それ以前に、「99年問題」−業務系&メインフレームやオフコン系のコンピュータシステムでは「99」というコードに特別な意味(「終了」とか「該当なし」とか)を持たせることが多く、99年になった瞬間に妙な挙動をするんじゃないかという問題ーというのがあるという指摘が昨年12月にされていた。そんなもん、そんな時期になって言うなよという感じだが、99年になった今、これが原因でシステムがダウンしたという話を聞かない。仮にダウンしていてもそんなこと公表できないということなのかも知れないが、とりあえず騒がれてないということは、さほど深刻な影響は社会全体で見たときにはないということだろう。…ってことはだな、「2000年」になっても実は破滅的なことまでは起こらなかったりして。
ん? え? 1999の年、7の月で人類は滅びるから誰も問題にしないって?
でも、さあ、五島氏のノストラ本の最新版『ザ・ラストイヤー』って2000年問題から始まってない?
1999年はどうなったんだよーとつっこんでしまいましたがな。
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Updated : 1999/01/11
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