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Title : in Idleness
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第1段:つれづれなるまゝに

【原文】

 つれづれなるまゝに、日くらし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

駄文を書き散らす快楽

 …とはさすが兼好は言わなかっただろうけれど。

 どうも日本語では「随想」と「エッセー」は違うような気がする。前者にはお堅い感じの人、もしくは形式を重んじる文章が集められた中に少し読みやすい、砕けた感じの文章を掲載するときに用いられ、後者は端から無内容な…と言って悪ければ極めて日常的な内容の文章のことを指すように思われる。特に「エッセー」は読者が共感を持つことが前提であろう。もし何らかの主張をもち、読者の注意を喚起するようであれば、おそらくそれは「コラム」とか言われるものだ。

 文章を書くという作業は本来知的な作業で、自分の頭の中にあることを整理して他人にもわかるように表現するものである。が、わかる者にだけわかればよいという姿勢の文章、もしくはとにかく自分の感情や何かを吐露することが目的の文章がある。古来、それは日記と呼ばれるものだ。が、最近は、それはオンラインで世界中に垂れ流されるようになった。ブログだ。

 もし兼好が今の世に現れていたら、元祖ブロガーみたいになって大活躍したのだろうか。それとも今の世の狂気に触れて、書く意欲を萎えさせててしまうのだろうか。

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Updated : 2006/01/31