1994年に奈良県では初、関西でも二番目となる電動車椅子サッカーチームを結成。
1995年6月「全国電動車椅子サッカ−全国大会in名古屋」出場。以後の「日本電動車椅子サッカ−選手権大会」に毎回参加する。
1998年11月にチーム作りのノウハウを生かし、新たに「アイコンタクトなら」が誕生しました。上手な意思伝達と人の気持ちをできる限り正確に読み取れる能力を身につけたいというコンセプトに基き、家族的な雰囲気で明るく楽しく練習をしています。
アイコンタクトならのメンバーはサッカーを愛し、人間を愛し、自分の可能性を信じて、ファンタスティックなサッカーを目標に飽くなき挑戦を続けています


ペガサスの翼

アイコンタクトなら 代表 山本公三

 学生時代は授業の合間など少しの休み時間でも、すぐに運動場へ飛び出して野球をして夢中で遊んでいたものです。養護学校で共に学んだ友達は障害の程度も様々で、僕のように車いすを使っている人もいれば、障害を持たない人とかわらないほど軽度の人もいました。それぞれ障害が違っていても個人個人に合わせて野球のルールを変えて、歩ける人も車いすの人もみんな一緒に遊べるようにいろいろ工夫していました。例えばバットが重くて持てない人はボールを手で投げたり、キックベースボールのように足で蹴るというふうに使える機能をフルに発揮して 生き生きとプレーしていたのてす。
 高校を卒業して本格的に芸術活動をしているうちにスポーツもやってみたいなと思うようになり、昔遊んでいた野球のことを思い出して、「そうだ、野球チームを作ろう」と思い立ち仲間を募りました。「いっしょに野球をやってみませんか」と呼びかける原稿を書いて市民のための機関誌に載せてもらったこともありましたが、全く反応がありませんでした。重度の障害者にとってスポーツはテレビなどで観戦するだけのもので、自分ではできないものなんだと思い込んでいる人が多いようです。
 そんな訳で野球チームは作れませんでしたが、あるときパソコン通信で知り合い、友達になった人から電動車いすサッカーの 話を聞きました。彼の障害は筋ジスで、電動車いすのジョイスティックをあごで操作していました。その彼が奈良から大阪の身体障害者スポーツセンターまでサッカーをするために電車で通っているというのです。すごく積極的に生きている人だなと思いました。たいへん興味をもった僕は彼に「電動車いすサッカー」のことをいろいろ尋ねました。
 電動車いすのステップ(足を乗せる部分)に自動車用のタイヤを半分に切ったものを取り付け、そのタイヤの部分でボールを押して転がしながらゴールへ入れるスポーツです。ボールは直径47センチの特大のものを使っています。大阪では1980年からこのユニークなスポーツをやっていました。
 Jリーグが始まるずっと以前からサッカーが好きで、毎年正月に行われる高校サッカーの大会をテレビで見ていました。自分でも実際にやってみたいと思っていましたので、電動車いすサッカーの話を聞いて「よし、奈良県にも電動車いすサッカーのチームを作ろう」と決意をかため、その準備のために大阪のチームに入会して一年と半年の間、練習に通いました。代表選手に選ばれ名古屋へ遠征したこともあります。
 学ぶべきことは学んだので、いよいよ奈良県にチームをつくるべく活動を開始したのです。会員募集のパンフレットやボランティア募集のパンフレット、さらにルールブックなど全部ワープロで作成し、母に手伝ってもらってお百度参りならぬお役所回りをして福祉関係の方にご協力のお願いをしました。あのときはあちらこちらに飛びまくってすごく忙しい思いをしました。ボランティアを集めるために家の近くにある奈良女子大学の校門の前でビラを配りました。
 そして1994年に念願の電動車いすサッカーチームが奈良県に誕生したのです。その後、チーム作りのノウハウを生かし、新たに「アイコンタクトなら」が誕生しました。家族的な雰囲気で明るく楽しく練習しています。ファンタスティックなサッカーを目標に日々の練習に励んでいます。練習は月に二回のペースで行っています。
試合のときもサッカーを楽しむ余裕が大切だと最近つくづく感じています。
 鳥に翼があるように人間には想像力の翼で夢と言う名の大空へ羽ばたいて行ける力を持っています。私も絵心の翼で真っ白い紙に線を引き、色を塗り、ひとつの世界を作り出すことができます。言葉の翼で魂の語部となり、誰かを癒し、誰かを励まし、誰かを応援することができます。文明の翼をつけたペガサスで自由自在に走ることができ、フィールドでボールを追いかけて疾走することもできるのです。これからも黄色いペガサスに乗って未来へ走って行こうと思います。
 アイコンタクトならのメンバーはサッカーを愛し人間を愛し、自分の可能性を信じて飽くなき挑戦を続けています。


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