バベシア症にご注意!

ギブソンバベシア原虫(Babesia gibsoni)という病原体が犬の体内に入ることにより起こる、犬にとっては致命的な感染症です。バベシア症に感染した犬では重度の貧血が起こり、放置すると死に至るという非常に恐ろしい感染症です。

バベシア症の治療
バベシア症はマダニが媒介する
バベシア症に感染すると・・・・

犬の体内に侵入したバベシア原虫は血液中で赤血球に寄生します。感染した犬の免疫システムはバベシアが寄生している赤血球のみならず正常な赤血球までも破壊することが知られています。こうして致命的な貧血が際限のなく進行していきます。

貧血のため口の中や目の結膜は白っぽくなります。重症の場合には黄疽で黄色っぽく見えることもあります。 また、破壊された赤血球の色素が尿中に出るため尿が非常に濃い色になります。元気・食欲がなくなり、運動にも行きたがりません。ついには起きあがることも出来なくなって放置すると死亡します。感染初期には異常を見逃しがちですので、バベシア症が発生している地域では、上のような異常を感じたときには早めに動物病院で診察を受けることをお勧めします。

バベシア原虫が寄生した赤血球

バベシア症を媒介するマダニ

バベシア症は早期に治療すれば救命できる可能性が高いですが、貧血が重度になると治療の甲斐なく死亡してしまうこともあります。多くの場合殺原虫薬の注射による治療がおこなわれますが、最近では抗生物質の一種でバベシア症の治療効果が高いとされる薬物も見つかっています。いずれにしてもこの感染症の治療には獣医師の経験と技量が必要とされます。

バベシア症はマダニによって媒介されますから、マダニに吸血されないことが最大の予防策となります。それには動物病院で扱われているマダニを予防できる薬剤(首輪タイプやスポットオンタイプ)がもっとも効果的です。市販のノミとり首輪やスプレーやプログラムなどの飲み薬は残念ながらまったく効果がありません。バベシア症が発生している地域ではマダニの寄生を防ぐことがバベシア症から身を守ることにつながります。

この病原体はマダニを中間宿主としています。この病原体に感染したマダニが犬の血を吸血するときにバベシア原虫がダニの体内から犬の体内へと移動します。

バベシア症の症状
バベシア症とは?
バベシア症の予防はマダニの予防!