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Title : To Be Mortal
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死ぬべき命

 週刊ヤングサンデーを買い始めて以来、(このコーナーではお馴染みの)『The World is Mine』を読んでいるのだが、他の作品で気になるものがあった。『海猿』という、海難救助にあたる海上保安官の話だ。
 当然ながら途中からしか読んでいないので、物語の全貌はよくわからないが、とりあえず現在の話の流れから想像できる範囲で言えば、主人公の海上保安官・仙崎大輔たちが任務中に海賊に銃撃され、仙崎の先輩である池澤が殺されたようだ。ところが、今度はその海賊達が救助を求めてきた。仙崎は葛藤する。

「池澤さんたちを殺した奴らが…
 助けを求めている…

 必死で追いつづけた船が…
 沈もうとしている…

 池澤さん…

 理由はいらない…
 相手が誰であろうと関係ない…
 池澤さんを撃った張本人であろうと関係ない…

 助ける…

 死ぬべき命なんて…存在しない…!! 」

 もちろん、この話はフィクションである。…いや、仮に現実であったとしても、その現場に居合わせた保安官は救助しようとするだろう。そう、死ぬべき命などないのだ。少なくともその前提で行動が為されなくてはならない。

 誰かを犠牲することを前提にできるなら、そのほかの誰かを救うことなど簡単なことだ。自分の救いたい相手だけを救うのなら、非常に楽なのだ。もちろん、最善を尽くした結果として全員を救えなかったということはありうるだろう。けれども最初から全員を救わないつもりでの行動は許されてはならない。…そういう理想と、現実に採り得る手段との間で葛藤し、よりよい方策を模索していくことを忘れてはならない。


…ため? : PreviousNext : 『半身』
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Updated : 2000/09/28