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Title : Reduction putting in the red ?
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Contemporary Files #20080426
赤字になるかどうかは

…スタンド経営者の腕の見せ所だと思うのだけれども。

 うわぁ。ずいぶんと前の更新から時間が経ってますね。
 4月になって私の住んでる周りでもだいぶガソリン代下がりました。私は車を運転しないので正確にその落ち幅は確認していないけれども…って一応公式なデータに当たっておこう。
 まあ、今ではガソリンスタンドの価格比較をしてくれているサイトはいろいろあるけれども、公的とみなされているガソリン価格のデータは(財)日本エネルギー経済研究所の石油情報センターの一般小売価格・給油所石油製品・週次調査でしょう。私の住んでいるのは奈良県なので以下その値を参照することとして。(他府県の方は自分のところに勝手に読み替えるように。)

調査日ハイオク [\/L]レギュラー [\/L]
3/17
3/24
3/31
4/07
4/14
4/21
165.0
165.2
165.2
142.4
141.4
141.3
153.3
153.6
153.6
130.9
130.0
129.9
(出典:http://oil-info.ieej.or.jp/price/price_ippan_kyuyujo_syuji.html;アクセス日は 2008/04/26)

 んー、まあ、レギュラーもハイオクも23〜24円の下落、といったところですか。4月1日になったとたん、ニュースでは「赤字覚悟の値下げ!」とかなんとか言ってたと思うんですけど。(証拠はと言われると… まあ、ググってみてちょーだい→「暫定税率 赤字覚悟」でググった結果
 うちの近所でも4月になったとたん10円くらい下がったという記憶があるんですけどね。ただ、その時、ほんとに赤字になるんだろうか、というひっかかりがあるったわけですよ。もちろん赤字になるガソリンスタンドもでるだろうけど、値下げしたとこ全てが赤字になるとは思えなかったんです。
 えー、以下に数字を使って説明するけど、あくまで考え方だけを説明しているだけで、こんな数字に表れない、個別の事情があるっていうのは百も承知ですので、そこんとこよろしく。

 揮発油税に限って言うと、暫定税率が48.6円/リットルで、本則税率は24.3円/リットルでしたね。

 えー、面倒くさいけど、これも根拠を示しておくと、揮発油税上第9条に「揮発油税の税率は、揮発油一キロリットルにつき二万四千三百円とする」とあるので、1リットルあたりだと1000で割って 24.3 円ね。
 で、その規定が租税特別措置法第89条の2で平成20年3月31日までは「揮発油税法第九条(中略)の規定にかかわらず、揮発油一キロリットルにつき、揮発油税にあつては四万八千六百円の税率により計算した金額」とあるので1リットルあたりだと1000で割って 48.6 円。

 仮に1か月に10キロリットル売るガソリンスタンドがあったとして、これまで1リットルあたり 100円 + 揮発油税 48.6円 で仕入れて 11.4円 の利益を乗せて 160円 で売ってたとする。
 月の売り上げは\160×10kL=1,600,000円、仕入れ値(みたいなもの)は1,480,000円、利益は114,000円。(あ、少なすぎ。でも例だと思って。)
 で、仮に月初めに2kL分の在庫(148.6円/L以上で売るべき)があって、その後はローリーでもってくる(124.3円/Lで売るべき)とし、消費者が安くなった!と勘違いして売り上げが1割り増しになったとすると仕入れ値(みたいなもの)は2000×148.6+9000×124.3=1,415,900円。仮に20円引いて140円/Lで売ると売り上げは 140×11,000=1,540,000円。利益は124,100円。

 ね? 利益増えてるでしょ?
 値下げ幅がきっちり 24.3円/L でないのなら、在庫量との関係で損にならない範囲で設定してる可能性が高いですよ。
 って言うか、モノの単価が下がっても、客がたくさん来るか、客単価が上がるか(これまで 「\2,000分だけ入れて」と言ってた客が「満タン!」と言い出すとか)すれば、ある期間を見れば必ずしも損にはならないでしょう。「赤字覚悟で」と言うのは、暫定税率が乗った高い仕入れ値で卸から買ったガソリンを、暫定税率抜きの価格設定で小売した間だけで、それ以降に元を取ることは可能だと思いますよ。もちろん確実に入荷ができて機会損失がなければとか、細かい条件はつきますけど。
 たとえばね、「赤字覚悟!」とか言われてた割りに、今回の騒動が原因でつぶれたガソリンスタンドって見たことありますか? 少なくともうちの周りにはありません。(全数調査したわけじゃないのでひょっとしたら1つや2つはあるかも知れないけど。)

 まあ、別にあらゆる新聞・著作・その他学術論文、ネット中のページとかブログとかをチェックしているわけではないので既にこういうことを指摘している人がいるのかも知れないけど、まともに検証したのをまだ見てない。誰か−ここを見ている経済学者だの経営学者だのは−きちんと検証して発表するように。

問題は暫定税率復活後、だよ。

 まー、なんと申しましょうか、与党は暫定税率を復活させるみたいですな。
 福田首相が道路特定財源を一般財源化する方針を表明したことと、揮発油税を今後10年間道路整備に充てることを定める道路整備特別措置法案との矛盾は既に指摘されているのでそのことには、今ここでは触れないとして。
 もし税率が戻ったら上のパラグラフで書いた逆のことが起こることになります。しかもおまけに(!?)この暫定税率の切れてた間も着々と(って言うかニュースにもなってない)原油市場は上がってて、 24.3円/L 以上上がるだろうなと思っていたら、ジャパンエナジーが、5月から暫定税率が復活したら石油製品の卸価格を4月に比べ1リットルあたり30円以上引き上げることになると発表してた。卸値がそうなんだから小売はそれを同じだけ上げて、しかも販売量が同じであったときだけ収支が維持される。でも、今回の反動で販売量は激減するよ。もちろん値上げを全くしないというのは無理だと思うけど、今度こそ「赤字覚悟」で上昇幅を決めなきゃならなくなる、ガソリンスタンドにとっては地獄のような状況になる。たぶん、大混乱はGW明けくらいから始まって、マジに潰れそうになるスタンドが出てしまうんじゃないか。その時の支援策はどうなることやら。。。


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Updated : 2007/04/26