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Title : Civil Education
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Contemporary Files #20061218
民主主義のための「教育」
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 私の勤務先は平社員にいたるまで年俸制だけれども、だからといって、人の給料なんてのにはほとんど興味がない。まあ、今の職場にそこそこ満足しているからだろうが。これまでで給料の件でとっても不満だったのは、前にいた会社で、入社後2年間はまったく差がつかないことだった。明らかに「今の仕事は結婚までの腰掛よ」的態度が見え見えで、どう見ても仕事の質も低い同期と給料が一緒だったことだ。まあ、それはそれでいいや。でも、最近のニュースは松坂がいくらで赤靴下チームに入るかなんてで騒いでいる。そんなんどーでもいいことじゃないか。松坂のメジャー契約が決定したその日は改正教育基本法が成立した日で、トップニュースはそっちだろうに、ほとんどの番組では松坂のニュースがトップ扱いだったんじゃないかな。しょせん1社会人の転職の話でしょ。そこの何のニュースバリューがあるのか。

 けどねぇ、その教育基本法の審議を国会で行っている間、どうも野党側は法案そのものの審議以外のことばかりに時間を割きすぎてて、まともな法案の審議になってなかったったんじゃないのかと思う。もちろん、いじめによる自殺の問題も、履修不足の問題もそれぞれ深刻な問題。だったら、それはそれで臨時会でも招集して別途検討すればいいじゃないか。それで審議不足だなんて言うなよー、と思ってしまう。
 #とは言え、もともと十分な審議時間だったのかは問題だがな。

 それと、タウンミーティングのやらせ問題。
 これって、要するに「有権者の声を直接聞きましょう」っていう建前で行われた制度だよねぇ。それが主催者側のやらせで意見が準備されていたのだとしたら、偽装建築ならぬ、偽装民主主義だと言われても仕方がないくらい、実に深刻な問題のはずだ。攻めるなら「責任者出てこ〜い!」「どうやって責任とるんだ」ではなく、「あんた、民主主義をなんだと思ってんの?」のはずだ。前者の攻め方なら「ごめんちゃい」で済まされる危険があるが、後者の攻めでは答え方によっては政治家としての資質を徹底的に抉ることだって可能なのに。

 …が、ね。ここまでは前フリで。

 タウンミーティングを任された自治体にしてみれば、開催したのはいいが、会場がしーーーんとしちゃって進行できなかったらどうしよう、なんて危惧をするのもわかる気がする。でも、だからと言って、やらせを認めたりはしないがな。
 たぶん、この手の会合で積極的に公的に意見を表明するなんてことを、フツーの人は慣れてない。はっきり言おう。個々の社会問題について、つっこんで物事を考えるっていう習慣がないから、何か意見を言えと言われても困る人がほとんじゃないのか? だから、積極的に政治的見解を人前で披露するなんて、何かヤバイ人たちのやること、偏った人たちのやること、という雰囲気があるのではないか?
 そう、意見が出ないということは、それが日本の現実ってことだ。この傾向は一朝一夕には変わらないだろう。

 近い将来導入されることになってる裁判員制度も根は一緒のような気がする。ひょっとしたら、単に、「公務員だけじゃ数が足りないから民間にできることは民間に」とか「公務員だけにやっかいな問題の責任を押し付けないでぇ」ということから始まったのかも知れないけどね、社会を成立させ、運営していくために、何か公的なものに民衆が参加していく機会であると考えれば、それなりの活用方法があるはずなんだ。

 私もね、政府が、民衆は総体として賢明な判断をするという前提で、その積極的な参加をこれからの日本の社会運営には不可欠だと考え、それに向けた制度変更を行っている…とノーテンキに信じているわけじゃない。けど、受ける民衆の側のもっていきようで、そういう風に使うことができる余地があるのも確かだ。

 社会に参加するためにどれだけの知力が備わってることが望ましいか、っていう観点で考え直してほしいなぁ。そのためにはどういう制度が必要なのか、どういう運用が望ましいのか…そういう検討になると思うんだけれども、そういう段階を踏んだ議論をまだ見たことがない。できればね、このサイトをこれからそういうことの基本となる情報を提供できるサイトにしていきたいと画策中なのだがね。

 キーワードは Civil EducationとかCitizenship Education。「市民教育」と日本語にするとちょっと違うんだけれど。


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Updated : 2006/12/18