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Title : Who suffers?
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Contemporary Files #20061025
「かわいそう」なのは誰か
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 富山県の高校で卒業に必修な科目を受けていなくて卒業の単位が足りなくて、受験間近になってあわてて補習を受けざるを得ない3年生がかわいそうだという声もあるけど。

 このニュースを最初に耳にしたとき、「おいおい、先生誰も気がつかんかったんかいなぁ」と言うのが第一印象だった。いくら生徒が「受験に関係ない授業は受けたくない」なんて言ったとしても、そこを説得して受けさせるのがスジだろう。それに仮に何らかの配慮をしたとしても、最低限守らなければ成らない決まりに抵触しないかどうかを確認することを怠ったかもしくは誰もが無能で気がつかなかったのか。
 …もしくはこういうことがここの高校(もしくはその周辺)では毎年定常的に行われていて、誰も疑問に思わなかったってことかも…と思い始めたら、案の定、岩手県の高校でも同じようなことが起こってたの報道。もっと調べたら結構やってんのかも知れない。ま、全数調査しろとは言わないけどね。

 さて、そこで対策だけど。

 「『受験に関係ない授業を受験を控えた生徒に受けさせるのはかわいそう』ということで、それらの授業を免除してあげる」という考えはありうるし、当の高校生にはそれが一番ありがたいだろう。でも、それは二重にズルをしたことになりはしないか。まあ、学習指導要領が妥当か否かという問題をとりあえず\(^^\)こっちに(/^^)/置いとくとして、まずその高校生たちは、本来受けるべき授業を受けていなかった。つまり守るべきルールを守らなかった。まずこれが1点。そしてそのことにより確保された時間が、受験に役に立つ授業に割り当てられた(はず)。と言うことは、その授業時間の分だけ、学習指導要領通りに、受験に関係ないにもかかわらず、ひょっとしたらイヤイヤで受けた数多くの他の高校の生徒と比べたら随分なアドバンテージを享受したはずだ。これが2点目。ここで彼らに補習を免れさせたら、要するに「ヤリ得」で終わってしまう。高校3年間で受けるべき授業量全体から考えたら、彼らは補習の嵐を受けるべきだと思う。
 もしくは、どうしても単位が足りないんだったら、ルールどおり該当者は全員留年ってことで。ルールが破られそれによる恩恵を受けてきた者が、そのルールに従って処理されることの何が問題なのか。そこで温情を働かせてはだめ。おいしい目にあってたんだからさ。「かわいそう」なのは彼らじゃないよ。被害者じゃない、受益者だよ。意図的ではなかったかも知れないけど。

 それから、もしこういうことがこれまでも行われてきていて、高校3年間で受けるべき授業内容を受けてないにもかかわらず、履修記録を改竄し、卒業証書を乱発してきた教師たちの法的責任は問題にならんのか?
 ついでに言えば、そういう状況下で卒業証書を受け取った人たちの高校卒業資格には正当性があるのか?

 実はこの問題、根が深いかもよ。

☆ ☆ ☆

 あのね。受験に関係ないからって言って授業とか教科とか省いていいって言うのなら、はなっから予備校並みに体育とか芸術の授業もばっさり切っちゃえよ。高校入学直後に志望校を絞って、その入試科目以外は授業を受けさせるな。
 学校で学んだことは無駄にはならん。無駄になるのは学んだことを活かせない自分の脳細胞のほうが悪いんだってば。デキルやつは何だって使う。受験なら受験の役に立ててしまうんだってば。

 ま、確かにね。受験間近になって、まだ十分に受験に出そうな範囲まで授業が進んでないのに、先生が与太話してるなら「受験に関係ないことやるな」と生徒が言ってもいいと思うけど、そうでないなら、授業は受けとくもんですよ、生徒さんたち。


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Updated : 2006/10/25