Location : Home > Contemporary Files > 2006 Title : Rank in the world |
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世間は今、トリノオリンピック一色である。
いやー。まあーね。スポーツ番組では開催前はバンバンメダルが取れそうなこと言ってたけど、全然ダメだねぇ。
もちろん選手は全力出してがんばってると思う。それは評価すべきだ。でも、注目される種目だと、何でもかんでも「メダルが取れる」みたいな言い方してて、それってどうなのかなぁ、と思ってた。
日本のサッカーがもっと弱かったころ。いや、Jリーグが始まったころでもそうだったけど、海外の代表チームとの試合を見るのはなかなか心臓に悪いことだった。すごくヒヤヒヤしながら見てたものだ。最近はなんだかんだといってそこそこレベルが上がってきて、ある程度安心してみていられるようになった。最近の若い人は「ドーハの悲劇」「ジョホールバルの歓喜」を知らないみたいなのでちょいと衝撃を受けたこともあるけど、まあ、そんな時代から格段に強くなった日本代表サッカーチームでも、世界のレベルの中では、まだまだだってことが認識されてるほうだと思う。FIFAのランキングは、国際Aマッチをどれだけ開催できる資金力が国にあるかってことにも影響を受けるので日本は実力よりも上に表示されてるってことは、サッカー関係者や心あるサッカーファンにはわかってる。まだまだ日本は「W杯でて当たり前」のレベルではないんだ。
ところが、それ以外のスポーツになると、突然、世界における日本のスポーツの水準が見えなくなってしまってるように思う。もちろんきちんと世界を見渡し、きちんと伝えようとしているスポーツジャーナリストはいることはいるが、ちょっと日本(のマスコミ)で騒がれた種目や選手が出れば、世界で通用するみたいなニュアンスをもって報道される傾向があるように思う。
もちろんね。応援したり、景気づけに強気の希望的観測を述べるのはあってもいいだろう。けれどあまりにその度が過ぎると長期的に見たときに、そのスポーツにとって良くないのではないかと思えてくる。
一番いい例は野球かも知れない。日本の野球は合衆国の大リーグの次くらいに強いと認識してた人は多いと思うんだけど、最近のオリンピックではメダルをとるのがやっと。そもそも世界的な競技人口が少なすぎてオリンピック競技からはずされるような状況だってことは、かなりの人にとって驚きだったようだ。
いろんなスポーツについて、それぞれの競技が世界でどれくらい行われていて、どういう勢力分布で、日本はどれくらいの位置にいるのかを普段から冷静に伝えておくことが、オリンピックのときだけ盛り上がって「メダル!」と騒ぐよりもよっぽどいいと思う。
世界における日本のレベルを認識してないスポーツ番組のキャスターが「メダル取れませんねぇ」みたいなことを不用意に発言すると、一般視聴者なら、「この競技はダメじゃん」と思うようになって関心を失う。そうするとその競技へのスポンサーがつきにくくなり、選手強化への資金が薄くなる。これは悪循環になるはずだ。
オリンピックでも国際選手権でも、よく事情のわかってなさそうなキャスターが頭に血を上らせて「日本がんばれ!」とか「メダルを頼む!」とか叫んでいるのは、結局日本のスポーツをダメにする元凶ではないのか、と最近のスポーツ番組を見て思うのであった。
私はスポーツしないけど。
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Updated : 2006/02/15
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